7日の彼女;Attractive stage  後編

「「いい場所連れて行ってやる(あげるよ)」」
その言葉の後、花形達をあのバーへと連れて行った。
相変わらず感じのいい笑顔が素敵なマスターに出迎えてくれた。
前回と同じくカウンターの席へと座る。
少しすると、マスターがやってきて注文をした。

「素敵な店だねー」
「へぇ、こんなこじゃれた店があるんだな」
「いいとこだろ?」
「お酒もお料理もおいしいんだよ」

俺は彼女と2人して花形たちに自慢できるのが嬉しかった。
それから各自お酒と料理が届くと談笑しながら食べていく。

「あ、俺ちょっとトイレ」
「あー私もー!!」

俺と浅海がお手洗いに向かうとその場は、花形と彼女だけになった。

「名字さん、今日はすまんな」
「え?なにが?」
「ん?ほら、俺と飛鳥が来ちゃってさ」
「ううん。いいのよ。私は全然気にしてないから」
「ならいいんだけど・・・」
名字さんが笑顔で言うもんだから俺は少し拍子抜けをした。
もしかしたら名字さんは藤真の事いいなと思ってるかもって思ってたんだけどな。
どうやら思い違いだったみたいだ。

それから少し間があくと、彼女は言いずらそうな顔をして俺をみた
「どうした?」
「あ、ううん。別に・・・」
「なんか聞きたいことあるんだろ?聞いてくれて構わないぞ?」
俺が聞きやすくなるようにと彼女に声をかけると

「・・・ねぇ花形君」
「あぁ。なんだ?」
「こんなこと花形くんに聞くのはおかしいのかもしれないんだけど・・・」
「ん?言ってみて」
「うん。あのね・・・」
名字さんが何かを俺に言いかけた時、藤真と飛鳥がこちらへと歩いてくる。

「あースッキリした!!」
「おい、お前女だろ!そんなこというなよ!!」
「べつにいいじゃん!減るもんじゃないし・・・」
「お前の女としての評価は減るかもしんねーぞ?」
「いいもん。私には透がいるし!」

俺と名字さんは話を止めると「あ、花形君なんでもないの」と名字さんが言うから
少し気になったけど俺は藤真と飛鳥の止めに入った。

「おい、またか。いいかげんにしろ」
「だって!!透?今回は藤真が悪いもん」
「はぁ?どう考えたってお前のデリカシーのなさだろ?」
「へーんだ!藤真が悪い!藤真が悪い!!」
「まぁまぁいいじゃないか。ここはお店なんだ。少し慎め」
なんとか俺は2人の口論を止める。

するとその様子を見ていた名字さんは、

「そろそろ出ようか」
そういうと俺たちは店を後にした。

***

「じゃあ、今日はここで」

俺たちは家の最寄り駅で電車を降りると、2人と別れ俺は彼女と帰ることになった。

「名字さん、今日は悪かったな」
「やだ。藤真君までそんなこという?」
「え?俺までって?」
「ん?実は花形君と浅海さんにも言われたわ」
「そうだったか」
「大丈夫だよ。私は気にしてないから。」
そういい彼女は俺に笑顔を向けた。
正直俺としては彼女ともう少し話したいとも思ったけど、
もう時間も遅いしさすがにどこかにという訳にはいかない。

「3人の姿見てると羨ましいな」
「え?」
「ん?なんか楽しそうで」
「そうか?」
「うん。うちの中学から翔陽にいった子っていなかったから、見てて中学の時を思い出した。」
「あはは、まぁガキみたいだよな。特に浅海が」
「え?藤真君もそうとうじゃない?」
「うわ!ひでぇな!!」
「あはははは」
俺が少し拗ねた顔をすると彼女が笑った。


「じゃぁ、名字さん。この辺で」
彼女の家の前に着くと俺は声を掛けて自分の家へと歩き出そうとする。

「あ!藤真君!!」
俺を呼び留めると彼女は俺の前へと歩いて来た。

「ん?何?」
「あのね。これ」
そういうと彼女は紙袋を俺に手渡した。
さっき店のロゴが書いてあるから先ほど購入したものだろう。

「え?これ・・・」
「うん。さっきのお店でかったの。友達のプレゼントと一緒に。」
「でも・・・」
「いいから受け取って?今日のお礼と就職祝い。」

そういい彼女はじゃあねといい家へと向かって行った。


俺は家につくと早速彼女からもらった紙袋を開け、その中から小さめな箱を取り出した。
なんだろうと箱を開けてみると、それは先ほどとは色違いの名刺入れが入ってた。
濃いグリーン色の名刺入れ。翔陽のユニホームの色だ。
それを取り出すと2つ折りになってる小さなカードがハラリと床に落ちた。

『就職おめでとう!よかったら使ってね 名前』

俺はそのカードを見て笑顔が零れた。

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