君のその切なそうな顔は誰がさせてるの? 7.Love Candle それから授業も始まり友達も出来たが、私は時々仙道君と食事に行くようになっていた。 仙道君と食事をしていたある日 「名前ちゃん。」 「なに?仙道君」 「今度の日曜って時間ある?」 「日曜?うん、その日は大丈夫だけど・・・」 「じゃあさ、映画でも見に行かない?2人で」 仙道君と食事は何度もしていたし、何人かで遊びに行くことはあったけど2人きりでは一度もなかった。 少し戸惑いを感じて黙っていると 「もしかして、俺と二人じゃ嫌?」 正直まだ、大輔君の事が振り切れていない。 もうどうすることもできないのに。 けれどどこか躊躇してしまう。 だから、無理やり笑顔を作って元気なふりをして 「え?そんなことないよ!行こ行こ!」 そう仙道君にいった。 *** これまで名前ちゃんと、食事にいったりみんなで遊びに行ったことは会ったけど、 2人きりで遊んだことはなくて名前ちゃんを誘ってみた。 けれど、なんか躊躇されているような気がするんだよな。 気づかないふりをしたけど、なんか時々出す切なそうな顔が今日もちらついてた。 部屋に戻った俺はため息をついた。 「おお、彰。ため息つくと幸せが逃げていくぞ」 「もう逃げて行ってる気がするよ」 「なにいってんだよ。なんだ、ようやく名前をデートに誘ったのか?」 「ああ、さっきね。」 「なんだ、浮かない顔して。もしかして断られたのか?」 「いや、OKしてくれたけど。」 「なんだ、じゃあいいじゃないか。名前は日本人の女の子だから恥ずかしがり屋なんだろ。」 そういってケビンは笑ってたけど、あれはどう見ても恥ずかしいからって態度じゃなかった。 下を向いて俺が黙っていると 「なにか気になることがあっても誘いには乗ってくれたんだろ?じゃぁ楽しませてあげればいいだろ?」 そういって俺の肩を叩くとケビンは部屋から出て行った。 *** 日曜当日。 俺は、寮の玄関の前で待ち合わせをしている為、着替えを終えて向かったいた。 玄関のドアを開けると既に名前ちゃんは、俺を待っていた。 「おはよう。名前ちゃん。」 「おはよう仙道君。」 「ごめん。早く着くつもりだったんだけど、待たせちゃったなかな」 「ううん。私も今来たところだから。」 「それじゃ、行こうか。」 そういい2人肩を並べて歩き出す。 今日の名前ちゃんの格好は、いつもと違ってふんわりとしたシフォンのスカートを履いていた。 俺がジッとみていたせいか 「なに?もしかして変な格好だったかな?」 「いや、良く似合ってるよ。普段のパンツ姿も素敵だけど、スカートもいいね。」 「そっか、ありがとう」 名前ちゃんが少し照れた顔をすると恥ずかしそうに笑った。 この少し子供っぽさを残した彼女の笑顔が俺は好きだった。 「映画って何時からだっけ?」 「あー、たしか11時からかな」 そう答えると名前ちゃんは時計をみて 「そっか。じゃぁまだ時間あるよね。ちょっと寄りたいところがあるんだけどいいかな?」 「いいよ。行こうか」 映画館に向かう途中、名前ちゃんの用事を済ませるために俺は彼女の後をついて歩いた。 歩いていくと、そこは画材屋だった。 「ここよ。ちょっと欲しい絵の具があるか見に来たかったの」 そういって彼女は店の中へと入ると俺も続いて店の中に入った。 その画材屋は老舗の画材屋でそこらへんじゃ取り扱ってない絵の具も取り扱っているらしい。 俺は彼女が絵の具を探している間店内を回っていた。 するとディスプレイ用だろうか、すごくきれいなネックレスを見つけた。 「仙道君、お待たせ。」 「あ、うん」 俺がネックレスをジッと見ていると、その視線に気づいた名前ちゃんもディスプレイを覗き込んだ。 「うわぁ、キレイ!!素敵なネックレスだね。いいなぁ。私もこんなの欲しいな。」 キラキラした目をしながら言う彼女の顔に俺は見とれた。 「あ、仙道君!そろそろ行かないと映画間に合わないね!」 時計をみると映画が始まる15分前に迫っていた。 これじゃ、走らないと間に合わない。 「名前ちゃん、走るよ。俺の手、離さないでね」 そういい、俺は彼女の手を掴むと映画館へと走っていった。 |