あの日、なぜ私はあのカメラを選んだのだろう。
いつもらな選ばないのに。
けど、それこそ運命だったのかな。

2.『あの日シャッターを切ったのは』

今日は日曜日。
あたしは珍しく早く起きた。

「うわ!まだ6時じゃん!」

持っていた目覚まし時計をサイドテーブルに置くと、テレビの電源を入れる。
名前は、大学から歩いて5分の場所に住んでいて学校がある日はまずこんな早い時間には起きない。
二度寝しようかなー。なんて考えていたらテレビから聞こえてきた天気予報を聞いてその考えをやめた。

今日は一日天気だとテレビで言ってたし、写真でも撮りに散策でもしようと思いつき、布団から起き上がるとリビングに向かい食事の準備を始める。
普段は、パンにジャムを塗る程度の朝食で済ましている。
今日は、ちゃんと卵もソーセージも焼いてスープも作って、しっかりした朝ごはんにした。

朝食を作り終わると洗濯機を回してからベランダに置いてある椅子に腰かけ朝食をとる。
ゆっくり食事が出来るし、早起きもなかなか悪くないな!と笑顔になり、ベランダから見える外の景色に目を向けると、ふと先日教授に言われた言葉を思い出す。

『…心を奪われるような、これだけは逃がしたくない!』そんな写真か。

やっぱり頭で考えているだけじゃ何にもならない。私にそんな写真撮れるだろうか。何かを無くした私に。
そんなことを思いながら食事も終わり少しボーっとしていると、洗濯機の終了した音が鳴る。
さて、準備するか。そういい立ち上がると、洗濯物を干し食器を洗い出かける用意をした。


身支度が住むとリビングにあるチェストの前へと歩みを進める。
するとそこには、10台くらいカメラが並んでいた。
どのカメラにしようかな。と考えながら一つのカメラに手を伸ばしかけて手を止める。
そのカメラは、モノクロのみ撮影できるカメラだった。

「モノクロか。」

そう少し寂しげに呟く。
あの日からこれまでモノクロで写真を撮ることがほとんどなかった。
1年前だったら絶対にそのカメラを選んではいなかっただろう。
けれどこのカメラに引き付けられた。
少し考えた後、いつも使っている一眼レフのカメラと先程手を伸ばしかけたモノクロのカメラを持って家を後にした。


さて、どこに行こうかな!
目的もなく道を歩く。
とりあえず駅に行こうと思い最寄り駅へと向かった。

「んー鎌倉方面なんていいかも」

鎌倉方面行の電車に乗り込みはしたが、もちろん目的地の当てもない。
名前が写真を撮るときは目的地など決めずに向かうのが恒例だった。
しばらく電車に乗っていると適当な駅で下車した。

改札を出て当てもなく歩き出そうとした時、
ふと、モノクロのカメラをテストしたいと思いシャッターを切る。
とった写真は思いのほかよく撮るれていて、顔が笑顔になる。
今日はいい写真が撮れそうだな。そう思いながら気の向くままに道を歩き出した。

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