多くの思い出がつまった体育館
今日も一つの思い出が刻まれる

22.『あの日シャッターを切ったのは』

現在午後10時。
今日もいつもどおり海南大へ流川の撮影に行き、家へと帰ると軽く夕食を済ませお風呂から上がった今、名前は扇風機の前で涼をとっていた。
もう既に夏は始まっており毎日毎日暑い日が続いている。
風通しのいいこの部屋は、この時間であれば窓を開けて扇風機を回していれば、寝るのにも問題ない。

本当にいい部屋に住むことが出来たな。と考えていると
携帯の着信音が鳴る。

着信:三井寿
ん?三井君?珍しいな。と思いつつ名前は電話に出る。

「はい、もしもし」
「あ、名前?俺、三井だけど。今って少し話せるか?」
「うん、大丈夫だよ」
「よかった。名前って今週の日曜、時間ある?」
「え?日曜?ちょっと待っててね。いま、予定みてみるから」
名前は、カバンの中から手帳を出しめくると、日曜は特に予定もないし大丈夫だよと答える。


「実は、ちょっと頼まれてほしいことがあるんだけど・・・」

頼まれてほしいこととは、「写真を撮る」ことだった。
話はこうだ。
今週の日曜に、三井が高3の時にスタメンだったバスケ部のメンバーや、他校のバスケ部の人々と集まることになっていて、来年はみな就職やら進学やらでなかなか会えなくなるし思い出作りに写真をたくさん撮っておこう。という話になってそうだ。
なら撮影の適任者を探さないとということになり、適任者はいないかと友人名前に相談したら、『人物写真なら名前のが上手いし、毎日のように流川をとっててなれてるから名前に頼んだらどうか』といわれ、今、電話かけてきたということだった。

事情を聴いた名前は、少し考えていると「あーほら、流川もいるし!」との三井の発言に卒業制作に使える流川の写真も撮れるかもしれないと考え、「わかった!じゃぁ、撮影引き受けるよ」といい承諾した。

「助かったぜ!じゃあ、日曜の午前10時に湘北高校で待ち合わせな?」
そういい電話を切った。

日曜か、楽しみだな。どのカメラ持っていくか決めとかないと。と考えていたが、
時計の針は既に0時近くを指していたため、今日は寝ようと名前は布団に入った。


次の日、流川はいつもどおり自転車に名前を乗せ送っている途中

「名前」
「なに?流川君」
「今週の日曜って空いてるか?実は…」
流川が言いかけると「湘北でみんなで集まるんでしょ?」といった名前の言葉に驚き、
あれ?俺行ったっけ?と考えている。

その様子をみてクスクスと笑うと、

「ごめんごめん!実は昨日の夜、三井君から連絡が来てカメラマン頼まれちゃってさ!だから日曜はそこに私もいくよ?」
誘おうとしてくれてたんでしょ?ありがとうね。と笑顔で名前は言った。

その時流川は三井に先を越された気分で少し不機嫌になったが、日曜に名前に会えると思うとまぁいいかと気分を切り替えるのであった。


そしていよいよ約束の日曜日。
名前は、荷物を玄関を出る。

一人湘北へ向かおうと歩き始めると急にもっていた荷物が軽くなり、見ると荷物を奪い取った流川は、「いくぞ」といい歩き出す。
名前は、あれ?一緒にいく約束してたっけ?と疑問に思っていると「荷物多くて大変だと思って迎えにきた。」そういい少し顔を赤らめスタスタと歩いていく。
その様子をみた名前は、ありがとうねと笑顔で答えた。


暫く歩くと湘北が見えてきて、校門には三井の姿があった。

「おーい、三井君!」
「おお!来たか!・・・お!流川が荷物もちか?なんだ流川も隅におけねーな」
「うるせー」
三井は流川をちゃかして笑うと、「そろそろ体育館いくか」といい3人は歩き出す。


体育館に近づくともう人が来ているらしく話声が聞こえてくる。
「お!あいつらもう来てんのか?はえーな」と三井が呟いた瞬間、まるでそれを聞いていたかのように「ミッチーはまだこねーのかよ?!」という桜木の声が聞こえ、どかどかと体育館の玄関に向かってくる足音をきいて三井は、

「おい!俺は、もういるぞ!!桜木!」
「なんだ、ミッチーおせーじゃねぇか!待ちくたびれたぞ。」
「桜木君こんにちは。この前はありがとうね?」
「おー名前さんも来てくれたんすね! いえいえそんな!この天才にとってはあんなこと朝飯前ですから!」
「はぁ・・・どあほう」
「ぬ!ルカワ!だれがアホだって?・・・ん?なんだその大荷物は、ミッチーのパシリか?ざまあみろ。馬鹿め! だーはっはっは」

そう豪快に笑っていると桜木の後ろから
「おい、花道!そんなとこでなにしてんだ!早くこっちこい!」

と遠くからする声を聞き、三井が「ほら桜木!そこに立ってると入れねぇだろ」といい桜木を押しのけ体育館へと入ると、湘北のメンバーは三井達が最後だったのか既に全員そろっていた。

名前達は三井と分かれ荷物を置くために部室へと向かうと

「名前、ここでいいか?」
「あ、うん。そこにおいてくれる?」
いわれた通り流川が床に荷物を置くと、

「あとは私がやるから流川君は先にいって大丈夫だよ?」
「いい。手伝う。」
としゃがみ込む流川に、じゃぁ。といい一緒に作業を始めた。


「三井。遅かったじゃないか。」
「おお!小暮!久しぶりだな」
「三井、最近の湘北の様子はどうだ。」
「おー赤木。あいつらもよくやってるぜ?今年はなんとか全国いけるんじゃねぇかな」

そう当時の3年達が話していると、ちーすという声が聞こえて来た。
なんだまだ湘北の奴らしか来てないのか。といい翔陽の面々が入ってくると、続いて海南、陵南の人たちがやってきた。
みな久々の再会のため、あいさつを交わしている。

「あー仙道さんはまだでっしゃろか、越野さん。」
「どうせいつもの寝坊だろ。」
「はよせんとみな待ってはるのに・・・」
越野と彦一が話していると、おい!彦一!せんどーはまだか?と桜木に言われてちょっと電話してきますと彦一は外へと出る。

「なぁーもう始めようぜ?ゴリ。」
「なにをいう桜木。我慢せんか!」
「そーだそーだ!少しくれぇ待てねぇのか?花道は」
「そうよ!桜木花道!少し落ち着きなさい!」

仙道が来ていないことに周りがざわつき始めていると、

「三井。そういえば流川と一緒に来ていたみたいだけど流川はどうした。」
「ああ、小暮。流川なら・・・」
三井がいいかけると流川は名前と部室から出て来た。
名前を知らない面々は流川が知らない女と歩いていることに驚き、知ってる面々は名前に話しかける。

「あー名前さん!来てたんすねぇ!」
「名前さん。こんにちは。」
「なんだ、名字も来ていたのか」
「牧君に神君、清田君も来てたのね!」
とあいさつを交わしていると、
ざわついていた方向から、「名前!こっち!」と言われ三井に呼ばれた方向へと向かう。

周りに誰だあれ?と始まり収集がつかなくなってきたのでここらで紹介しておこうと思ったからだ。
名前が三井の元に向かうと、「皆に紹介する」といわれる。これまでの話の渦中にいた人物が来た為かみな静かになった。

「あーえっと、彼女は今日写真撮影をお願いしている名字さん」
「あ、みなさん初めまして。今日は皆さんの写真を撮らせていただきます名字名前でよろしくお願いします。」
挨拶を終えると、じゃ、学校ごとに紹介すっからと三井に言われ後についていく名前。

こいつらは湘北と三井が言うと、その場にいた赤木・小暮・宮城・彩子はそれぞれ挨拶をする。
次は翔陽、といい藤真・花形・長谷川とも挨拶を済ませると、
海南のやつらは同じ学校だし知ってるよなと三井がいい、最後に陵南の面々の所へと向かう。

「はー間に合いはりましたね!仙道さん」
「あーわりぃわりぃ。」
仙道と彦一が体育館へと入ってきた

「おい!仙道!なにをしてたんだ」
「すいません魚住さん。寝坊です。」

あいかわらず人を怒らせない笑顔で答える仙道は、こちらに向かって来てる名前をみると

「あ!名前ちゃん!」
「あ!仙道君。来てたのね!」
話をする陵南の面々は、おい仙道知り合いか?あの方はどちらですか?と質問攻めにあう仙道をみかねて三井は、『おい!そんなんじゃ紹介できねーだろ』といい話を収めると、魚住・福田・越野・彦一を紹介した。

一通り紹介をし終えると、
「じゃぁそれぞれ着替えたら集合だ!11時には試合開始だ!」
赤木がいいそれぞれ部屋に入り着替えを始めた。
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