面と向かって話した彼は
不愛想でぶっきら棒だった。

6.『あの日シャッターを切ったのは』

試合が終わり歓声が上がる。
けれど、名前の脳内には歓声の声ではなくて、先ほど流川が決めたダンクの音に支配されていた。

「名前!名前!」
「あ、ごめん!私感動しちゃって・・・」
「すごかったわね。流川君!名前が撮りたいって言った意味、少しわかったかも!」
「でしょ?・・・やっぱり今日見ても気持ちは変わらない。私は流川君のあの姿が撮りたい!」

正直試合中に何度かほかの人がダンクをするのを見た。
けれど、私の中で流川君を超える人はいなかった。


「名前さん。」

試合が終わった神がやってきて、名前に声を掛けた。

「神君、お疲れさま。すごかったね!シュートバンバン決めてて!」
「ありがとございます。試合楽しん見てくれたみたいでうれしいですよ。」

ニコっと微笑えみながら答えた神は、思い出したかのように

「そういえば友人名前さん。流川のこと知ってたみたいですけど知り合いですか?よければ呼んできますけど」
「いや、私じゃなくて名前の・・・」
「え?名前さんの・・・」

「おーい。連れてきたぞ!!!」

神が一瞬切なそうな顔をしたのは気になったが、遠くから三井の声が聞こえそちらに視線をうつすと、流川が三井にひっぱられてこちらに向かってくる。

「いてーっすよ。なんで俺が。」
「いーからいーから、少し付き合え!」

こちらについたとたん三井は、ホラといい私の前に流川を立たせた。
だがどちらも話出そうとしないのを見かねた三井が

「おい!おめぇら!見合いじゃねーんだからなんか話せよ!名前ちゃん、流川に言いたいことがあったんだろ?」

そう三井に言われ名前は意を決し、流川の目をジッと見て話はじめた。

「あの、私、桜明大学写真学科の名字名前といいます。
この前公園で、あなたのダンクをした姿を見てその姿を写真に収めたいと思いました。
見た瞬間、心を奪われるような、これだけは撮り逃したくない!そう思ったんです。
だからお願いです。私の卒業制作のモデルになって下さい。お願いします!」

流川は真剣な目をされ話す様子に少し驚いたような表情をしていたが、なんて答えたらいいのか考えているようで何もいってこない。
するとその流川の様子にしびれを切らした三井が、おい!きーてんのか流川!!と声を上げると

「・・・別にいいけど」

そう一言いった。
正直もしかしたらダメなんじゃないかと脳裏に浮かんでいた名前は、流川の返事を聞いてポカンとしていたが、友人名前によかったね!と言われて現実に引き戻される。
そうか、流川君モデルを引き受けてくれたんだ!と2人で喜んでいると

「・・・で、公園ってなんすか?」
「え?」
「公園で見たって言ってたけど・・・」
「え?名前!流川君と公園であったんじゃないの?」
「流川、、、もしかして忘れてる?」

流川がまさか覚えてないとは思っていなくて、名前は拍子抜けした顔をして固まり、友人名前は流川に問いかけ、追い打ちをかけるように神が流川本人に、どうなのかと問いただすと

「覚えてないっす。」

そう流川は言い放った。


「まぁ、流川はバスケ以外きょーみねーからな!」
「名前さん。流川はいつもこうだから。気にしないで」

流川のことをよく知る三井には別に驚くことでもないらしく、同じく流川のことを知っている神にフォローされる。

名前は、悩んでた私はなんだったんだろうと。
そう思ったのであった。

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