あなたの名前
何度も木霊してる
やっと見れたあなたは、
あの場所で見たあなたより
さらに輝いていた

5.『あの日シャッターを切ったのは』

それから後も、何度か例の公園へ行ってみた。
けどタイミングが合わないのかあれから彼に会うことはなかった。

「名前ー!!お待たせ!」
「遅い!10分遅刻!!!」
「ごめんごめん!」

今日は、その三井君からバスケの試合があるから見に来ないかと言われた友人名前に付き添って行くことになっている。
名前ちゃんも絶対連れてこい!と言われたと言っていた。
どうやらあの日以来、友人名前と三井君は連絡を取っていて話の流れでそうなったらしい。

「面白いものが見れるからって。三井の奴、意味深にいうのよ?」

そういうと友人名前は笑った。
どうやら年下の彼とは別れたみたいで、だから三井と話してあげてるんだ!と友人名前は言っていたけど、三井君に惹かれているのかもしれないなと私は思っていた。

「たしか、三浦体育大の体育館だっけ?」
「そうそう」
「友人名前、差し入れでももってく?誘ってくれたのに手ぶらっていうのもさ!ほら、三井君にはお世話になったし」
「そうねー。三井も喜ぶかもね!買っていこうか!」

そして会場に向かう途中で見つけたスーパーに寄ることにした。

「友人名前、試合だしポカリとかでいいかな?」
「そうねーポカリにしようか!」
「あれ?名前さん?」

名前と話していると急に後ろから話しかけられた。

そこに立っていたのはとても背の高い優しそうな顔をした人だった。

「・・・神君?」

彼はにっこり笑ってコクリ頷いた。

「うわぁ久しぶりだね。元気だった?ずいぶん背が伸びたのね!何年ぶりかな?中学以来だから・・・んー7年ぶりくらい?!」
「俺は元気でしたよ?名前さんも元気そうですね!」

神と話していると友人名前が、肘でつついてきて「ねぇ?誰?」と聞いてきた。

「あ!神君。彼女は友達の友人名前で、こちらは神君。中学の時の後輩。」

はじめまして。と2人は挨拶した。2言、3言言葉を交わす。


「ところで名前さん。そんなにポカリを買い込んでどこへ行くんですか?」
「ん?三浦体育大の体育館だよ?バスケの試合見に行くの!」
「え?そうなんですか?これから俺、そこで試合なんですよ。」
「そっか!神君、三浦体育大にいったんだね!」
「違いますよ。海南大です。」

海南大・・・海南大?!と驚いたように目を見開いている名前の顔をみて、友人名前はすかさず神に聞いた。

「え?海南大って流川君がいるところ?!」
「いますよ?流川。チームメイトだから」

すると友人名前は納得したような顔をした。
三井の『面白いものがみれる』という発言の意味が分かったからだ。

「あ、そろそろ時間だから行かないと。それじゃあ、名前さん、友人名前さん!試合楽しみにしててくださいね!」
「う、うん!神君も頑張ってね!」

そういって2人は、神と別れた。

「名前!ほら!私たちも行こう!」
「う、うん」

私はとにかく心臓がドキドキしっぱなしだった。
まさか彼を見れるなんて。
それから友人名前がなにかと話しかけてきたけど正直上の空だった。


「三浦体育大。うん!ここね!」
「・・・ついちゃった。。。」
「ちょっと名前!何、緊張してるのよ!早くいくよ!」

友人名前に引っ張られつつ体育館に向うと


「うわぁ。。人が沢山いるわね!」
「ほんとだぁ、すごい」

私たちは、会場の賑わいくらいに驚いていた。
何分バスケの試合を見たことがないし、どれほど人気なのかも知らない。
なにかの大会なら分かるがこれは練習試合なのだ。

「三井のやつどこにいるんだろ?」

すると控室から三井が出てくるのが見えた名前は友人名前に、三井君いたよ。というと友人名前は息を思いっきり吸い

「三井ー!!!来たよー!!!」
「ちょ、ちょっと声が大きいよ!友人名前!!」

大きな声で呼びかける友人名前に気づき、手を挙げてからこっちに向かってくる三井。
すると周りの女の子たちがキャーキャー言い始めた。

「三井君、人気あるんだね」
「そうね!あんなに口が悪いのにね。」
「え?そうなの?そんな風には見えなかったけど。」

2人で話していると、ニヤッと笑いながら三井が来た。


「おお!友人名前!名前ちゃんも来てくれたんだな!」
「三井が来て?って言うから来てあげたわよ!」

友人名前が憎まれ口を叩くとこいつ!と、じゃれ合う2人。
なんだかんだで、うまくいくんじゃないかなと。そう思った。
けれどこのままではマズイと思い、口論を止めるべく三井にポカリを渡す。


「おお、ありがとよ!みんなでいただくぜ!そーそー名前ちゃん。言ってなかったけど・・・」
「流川君とやらが来るんでしょ?この試合」

と、ニヤつきながら言おうとしていた三井の言葉を遮り友人名前が言った。
すると三井が驚いた顔をして

「おい!なんで知ってるんだよ!俺いってねーぞ?」

また、口論になりそうなので、名前が答えた。

「さっきスーパーで中学の時の後輩に会って流川君が来ること教えてもらったの」
「中学の後輩?誰だ?」
「海南大の神君よ。知ってる?」

ああ、神か!と納得したような顔をした。

すると体育館の入り口から、「ちゅーす」という声とともに背の大きな人たちが続々と体育館に入ってきた。
『来たぞ!海南大』『キャー!!!』と周りが騒がしくなってくると

「じゃ、俺も行くな?試合、楽しんでみて行けよ?」

そう言い残し、三井はコートの中へと歩みだした。


しばらくすると、三浦体育大・海南大ともにアップを始める。
友人名前が11番のユニホームをつけた海南大の選手を指さしながら

「流川君ってあれよね?」
「うん。あれだね流川君」
「名前。終わったら流川君に話しかけるのよ?いいわね!」
「・・・うん。」


『それでは、三浦体育大対海南大の練習試合を始めます。』


友人名前と話しをしていると試合が始まった。
私の緊張はMAXだった。

試合は、最初三浦体育大の優勢だった。
三井やほかの選手たちがバンバンゴールにボールを入れる。
海南大も負けずにゴールして点数を重ねていく。


後半になり残り1分を切った。
点差は三浦体育大87−海南大86の1点差。
バスケを知らない私は1分しかなくて逆転はきついだろうなと思っていた。
流川たちの負けかと考えていた時、流川にボールが渡った。
ディフェンスを抜きぐんぐんゴールに向かっていく。

するとあの公園でみた姿と今の流川の姿が重なった。

くる!そう名前は思った。

「ガコン!!!」

流川による逆転ダンクが決まり、時間切れで海南大が勝利した。

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