if彼氏跡部との年末


if 跡部と付き合っていたら。年末編

今日は跡部家主催の年越しパーティ。さすが跡部家なだけあって、招待されている客の面々はどこかで聞いたことがあるような名前が多い。しかし、今日のパーティには跡部家と親交のある財閥名家の他にクラスメイトたちも呼ばれており、普段の主催パーティに比べると少し気楽なもので、パートナーがいなくても参加可能であったり、ドレスコードも比較的気軽な参加しやすいものとなっている。


パーティ開始時刻の3時間前に家に来るよう、名前は跡部に呼び出されていた。
ドレスも髪もメイクも何もしなくていいとのことだったのでお言葉に甘えて少し気を使った私服で向かう。冬休みに入って以来、お家のお仕事の手伝いやパーティへの参加などで会うことができなかった為、本当に久々に会えるということもあり気持ちが明るくなる。
すぐに会えるんだろうか、それともやっぱりパーティの準備で忙しいんだろうか。もしかしたら会えないかもしれない。でもまあそれでもいいか、連絡すらまともにできない状態だったから、顔を見ることができるだけでも満足だ。
入り口に着くと、跡部家の誇るメイドさんたちが待機していた。彼の心遣いだろうか、いつも遊びに来た時にお会いするメイドさんばかりで、少し安心する。


「苗字様、お久しぶりですー」
「最近来られないので、我々一同心配しておりました」
「お元気そうでなによりですわ」
「今日は私たちの腕によりをかけて今以上に綺麗にしますから、大船に乗った気でいてくださいね!」
『わー、ありがとうございますー!みなさんならほんと安心です、よろしくお願いします』


そう言って部屋に通されると、メイク、ヘアメイク、ドレスと順調にドレスアップしていく。イヤリングを付けた後、ほら見てください、と声をかけられ、鏡に目を向ける。そこに映るのはとても綺麗な女の子で。


『これ...私...?』
「苗字様お綺麗ですー」
「思った通り、このメイクが苗字様にもドレスにもあってますわ」
『みんな、本当にありがとうございます!なにこれ、本当に私?すごーい..』
「とてもお綺麗で、外に出したくないぐらいなんですけど、そうも行かないので..」
「呼んでおきました。」
『呼んでおいた..?』
「仕上げはお願いしてありますのでー」
「我々は少し失礼します」
「また後で来ますから!」
「では、後ほど」


それぞれが述べると足早に部屋を去っていった。なんだろう?少し頭を傾げたものの、その際に目に入った鏡に映る自分に、そんな疑問すっかり忘れて見とれる。なんだこれ..本当に私??綺麗にしてもらって..お姫様みたい..なんて。
少しにやけながら鏡を見つめていると後ろから声がかかった。


「名前」
『!?』
「そんなに鏡ばっかり見てねぇで、俺にもちゃんと見せろ」


振り返ると、そこには彼がいた。上品な白いタキシードに身を包んだ彼はいつもの数倍かっこいい気がする。なんだか色気が漏れ出ているような気がして、少し顔が赤くなる。心臓がうるさい。



「あーん、馬子にも衣装ってやつか」
『ひど!』
「うそだ。似合ってんじゃねえか。俺が見立てただけあるな。」
『え、これ選んでくれたの!?』
「当たり前だろ?お前は俺のお姫様なんだからな。お前をプリンセスにするのは俺の役目だ。」
『嬉しい..』
「おい、せっかく綺麗にしてもらったんだ。泣くんじゃねえ」
『だって..』
「泣き虫なお姫様だ。まだ魔法はかけ終わってねえぜ?」
『え?』


跡部の言葉に顔を上げると、いつも通り強気な笑顔の彼がいた。ほら、後ろ向けよ、と言われて素直に従う。サラッと髪をかきわけられくすぐったいな、なんて思っていると、キラキラしたネックレスが掛けられた。


『わ、これ、』
「それだけじゃねえぜ?ほらこっち向け」


そう言って肩を引かれ、向き合う。王子様みたいな彼をどきどきしながら見つめると、それに気づいた彼は、ふ、と微笑み頭の上にぽん、と何かを乗せた。


「完成だ。どうだ?プリンセス」


彼の言葉に先程まで覗き込んでいた鏡を見る。キラキラして綺麗なネックレス、メイドさんたちがつけてくれたイヤリングやドレスと凄く合っている。そして..


『わぁ...』
「お前に似合うティアラを、と思ってな」
『素敵...』
「似合ってるぜ。可愛い。」
『っ、』


いつも以上にキラキラかっこいい彼に褒められて、心臓の高鳴りが止まらない。顔が熱い。これならチークはいらねえな、なんて笑いながら言う彼を少し膨れつらで睨む。


「そんな可愛い顔して、どうされたいんだ?」
『怒ったの!』
「見えねえな。お前はどんな顔してても可愛いぜ」
『も、もう!恥ずかしいことばっか言って!』
「あーん?俺は思ったことは素直に言うことにしてるからな」
『もう。..綺麗にしてくれてありがと。今日もすごくかっこいいよ、私の王子様』


そのままぎゅっと抱きつくと、少し驚いたようだったが、背中に手が回され、きつく抱きしめられた。


「どうした?」
『んー?あのね、ハグ納めってやつ。今年もありがとう。きっとパーティ中は忙しいだろうから、今。』
「....。冬休み、連絡取れなくて悪かった」
『忙しかったの知ってるし』
「でも電話なりするべきだった。お前と連絡取ったら、どれだけ時間があっても足りねえと思ってな」
『確かにちょっと寂しかったけど。でも私から連絡すれば良かったんだよ、ちょっと気を使っちゃったし、お互い様ってやつ』
「なかなか構ってやれなくて悪い。」
『私が選んだ道だよ』
「それでもだ」


少し体を離して彼を見上げにっこり微笑むと、上から優しい口付けが降る。


「キス納めだな」
『良いお年をって?』
「来年は今年よりもっと幸せにしてやるって宣戦布告だ」


2017/1/31 誤字修正


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