知ってますから(菅原孝支)
「スタメン…おろされちゃった」
スガさんは私の目の前で困ったように笑った。皆の前では一度も見せたことがないような顔だった。
「みっともねぇよな」
いつもと違う笑顔。壊れてしまいそうだ。
『そんなことないですよ』
私の本心だった。でも、それはスガさんに伝わっているだろうか。
『私は、潔子さんと違ってスガさんのこと見始めたのは昨年からです。でも、私はスガさんが頑張ってるところたくさん見てますから。かっこいいとこだってたくさん見てますから。だからちっともみっともなくなんかないんです。大地さんのことサポートしてるのだってわかってますし、スガさんが皆がうちやすいようにってトスをあげてることだって、わかってるんですよ』
スガさんは三年生で。これが最後の夏で次が最後の冬。そこで今までの自分の居場所を一年生にとられた。悔しくないはずがないと思う。でも、それをみっともないなんて言う人がいるなら、それは私が許さない。
私はスガさんとの少しの距離を縮めて、スガさんのおでこを小突いた。
『ダメですよ。うちのチームのスガさんにそんなこと言う人はスガさんでも私は許さないですから!』
そう言うと、スガさんは何だか随分間抜けな顔をした。そして、そのあとに。いつものように弾けるような笑顔を見せたのだ。
「なまえちゃん本当に最高」
歯を見せて笑ってるスガさん。元気だしてもらえたのだろうか。
「ごめん」
スガさんの唇が額に触れた。
「体育館では俺を菅原孝支じゃなくて一プレーヤーとして見てって言ったのは俺だけど、破っちゃった」
ニシシ、と笑うスガさんに私は顔を真っ赤にして笑い返した。
◎あとがき
初!スガさん!スガさんの笑顔がとても好きです。影山も普通に好きだけどスガさんの活躍も期待して待ってます。
体育館では彼氏、彼女としてではなくプレーヤー、マネージャーの一人として見ることを約束してたのに、それを破っちゃうスガさん素晴らしい。
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