第二章-01


 ――キャラバンの団員たちと別れ数日が経過し、もう間もなくバルバッドへと到着するであろう距離まで三人は来ていた。街道とまではいかないながらも今までとは違う草木の無い開けた道に自然とアラジンやモルジアナの顔も明るくなり、楽しそうに話をしている。
 アラジンとアリババを助けたい、そう宴の際に話してくれたことをアラジンにも打ち明けるモルジアナの姿に二人の隣を歩いていたアリシャールも不思議と気分が明るくなってくる感覚がしていた。

「あーあ、僕も早くアリババくんに会いたくなっちゃったな……」

 嬉しそうに笑い呟いたアラジンは不意にアリシャールの腕に抱き着き、「アリサおねえさんにも、早くアリババくんに会ってもらいたいしね!」と言ってくる。そんな彼の様子にモルジアナも同意するように微笑み頷いた。

「……そうですね。白マギ様やモル様のご友人であるお方ですもの、きっと素敵な方なのでしょうね。私もお会いしたいものです」

 僅かに口角を上げ答える彼女にアラジンも力強く頷くと早く行こう!と言わんばかりに彼女の手を引っ張り歩き出す。そんな彼の様子にアリシャールとモルジアナは顔を見合わせ小さくに苦笑を浮かべあい歩き出した。……宴の一件からめでたく“友人”同士となったことで少し前まで“ファナリス様”と呼んでいた彼女の特殊な呼び名を無理やりモルジアナが(不機嫌になりながら)訂正させたのは別の話だ。
 
「やあ、君たち!今日はいい天気だね」

 ――暫く道を歩いたころ彼女達の前を遮ったのは端正な顔立ちをした男だった。その顔と声色だけを見ていれば爽やかな好青年だと感じるが……彼の姿はほぼ全裸の姿に近い。局部だけを大きな葉で隠すアンバランスさに悲鳴を上げることも忘れ、口を空けアラジンとモルジアナは言葉を失うが、直後無表情で目の前にいる男を見つめるアリシャールを庇う様に立ちふさがり構えの体勢を取り始めた。

「モルさん、アリサおねえさん危ない!!下がって、ここは僕に任せて!!」
「えっ?!いや、違うんだ、話を聞いてくれ!!」

 ガーン、と効果音が付きそうな程にショックを受ける男に問答無用で杖を振り下ろそうとするアラジンを制するようにそっと手を前に出しアリシャールは静かな声で話始める。冷静な彼女の対応に彼も落ち着きを取り戻してきたようだった。

「落ち着きください、あの者のルフはとても静かです。何か企んでいる様には思えません。……きっと何か困っているのかもしれません、話を聴かれてはいかがでしょうか?」

2012/12/02
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