エステ | ナノ


2-3


「ああ、もしかしてあれかも。あんねこれ僕にとってはわりとあるあるな現象なんやけど、こうやって普通に触るだけで……」
「っゃ!ぁう……っ……わわ……!?」

彼の掌が私の腹にべたりとつく、さすられて妙な声が出た。さすがにこれだけで興奮を覚え鼓動が速くなるなんて、と驚いて柏木さんを見つめると困った笑顔だ。

「やっぱりや〜どないしよ。なんかね、たまーになんやけど。マッサージしてるだけのはずやのに、僕が触ったところどこでも、性的に感じてしまうようになることがあるんよ……」
「え……っ!?(え……!?)そんな、なんで、……え!?」
「あははそやねえ、その反応なるわ〜。でもごめん、僕もなんでそうなるんか分からんの。こっちは普通に触っとるだけやのにおかしいわあ。マッサージできへんからエステシャンとしてはかなり困るんよ」
「(えええ!?柏木さんの手、凄すぎでは!?)」

半信半疑の私だったが、現に触られているだけでかなり気持ちいい。こんな話の合間にも、乱れた呼吸がおさまらなくて、胸が高鳴る、興奮が途切れない。
だけど、これは多分、柏木さんのゴッドハンドだけじゃなくて……。

「(柏木さんが好きだからな気がする……!これってどうなんだ自分……!)あの、これどうしたら治るんですか?」
「治しかたわからへんから普通はマッサージ取りやめやね。……他の解決法としては、とことんアレを……したら、流石にえっちい気分にならんくなってやっと普通にマッサージできるようなったりとか……するんちゃうかな?きっと」
「アレって言うのは……」
「もちろん、君が思っとるやつ」

思わず目が泳いだ。
して貰いたいがどう切り出しても恥ずかしい。今日は色々起きすぎていっぱいいっぱいで処理しきれない私に対し、柏木さんはあやすみたいな優しい声で問いかけてきた。

「なあ、僕にマッサージしてほしい?」
「……は、はい……!」
「僕もちゃんとしっかりマッサージして、ミドリさんに疲れとって貰いたいんよ」

と、言いつつも柏木さんの手がウエストラインを撫でる。思わず手の方を見て視線を落とした私の、耳元に唇を寄せられた。

「じゃあ、えっち……する?」

動揺で柏木さんの顔が見れない!

「え、えっと……」
「したそうに見えるけど、うーん、僕の勘違いかなぁ」
「…………う」

機嫌のいい、それでいてたしなめるような声が私の心の中全部知ってるみたいで焦る!
長く返事が出せない私の、体を這う彼の手が退こうと離れた。それは困ると思わず手を掴んでしまった。

「ん?どしたん?」
「し……」
「うん」
「したいです。かも……」
「かも、なん?」

かもをつけたらだめらしい。見られなかった柏木さんの顔を見たら、もっとちゃんとと言わんばかりの待ちの姿勢だ。
仕方なしに俯いて、つぶやいた。

「し、したいです……」
「ふふふ。やった、僕もやわ〜。じゃあ、しよか」
「柏木さんも、したいんですか?」
「当たり前やん。ゆうたやろ、ミドリさんのこと好きやって。好きな人とはそらしたいやん」
「……!!」

好きと言われてまたしてもときめいてしまう。ほだされすぎだ、自分でびっくりするほど簡単だ。わかっていても動揺は凄まじく、手の甲で熱くなった顔を隠した。

「ああ、顔隠してしもたらキスできへんよ。……僕に好き言われて顔真っ赤にしたんが恥ずかしいん?」
「そ、そうです、ああ……本当に恥ずかしい!」

布団に顔を埋める。表情を隠すのと熱を逃がす作戦だ。

「なにもう、そんなんええやん見せてくれたら。隠すことなんもないやんか〜」
「あります……」
「えっちするんやないの?せえへんの?」
「します……」
「やったら起きてや。僕キスしたいんよ」

と言われてしまい照れてなおさら起き上がれなくなった。そこに柏木さんが近づく気配がする。

「キス、しよ。……起きてこおへんと僕なにするか分からんよ」
「た、たとえば?」
「うーん。せやね……」
「!ひゃ……っん!?」

首筋に口付けられて声が出た!見えないけれど、機嫌のいい柏木さんの笑い声がする。私に覆いかぶさった彼の左手はふとももをさすり、密着するところが興奮を呼んだ。

「んんう……んっ……、はぁ、」
「ふふっ、何してもええんよね?起きへんのやもん」
「ぁ、……ぅ、……きゃ、ん、……ちょ、待っ」
「待たれへんわ〜。でも、キスさせてくれたら考えよかな」
「〜〜!!!!」

柏木さんの手が触れるほど、カッと欲情を抱くのを感じる。べたべたべたべた肌を触られてしまえば、興奮がせり上がって呼吸が苦しくなってきた。
涙目の私は耐えきれず体を起こす。

「お、起きました、起きましたから!」
「よし。ようやっとお顔が見れたわ。……じゃあキス、して。ミドリさんからがええなあ」
「!」

まっすぐこちらを見られて待たれる。高鳴る胸をぐっと抑えつつ、見下ろす柏木さんに恐る恐る口付けた。控えめに唇が触れる、すると彼は舌をぬるりと入れて、いきなり深いキスをしてきた!

「んんっ……ふぅ!ふ……っ」
「…………ん……、」
「わ、わわ、……っぁ、……ん……ぅ!」

少し体を起こしてキスをしたはずだったが今や完全にベッドに押し倒される形だ。キスしながら肌に触れる柏木さんの手がやらしくうごめいて、キスだったりそれだったり、複数からせり上がる快感に思わず涙が出る。

「っぷあ!はあっ、はぁ」
「んん、はあ、……こんなモードやと、ただ僕の好きなようにしたって感じてくれるから、……ふふ。加減わからんなるわ」
「んっ。んゃ……、っあ、あぁ!はぅ」
「こら逃げんとって。気持ちようできへんよ?」
「っ!ぅ、……んんっ、はぁ、……ひ、ん……!!!」

バスタオルの中忍び込んだ右手が胸の表面をなでる、先端に触れる。いきなりの直接的な接触に腰が浮いて、頭の中がふわふわ曖昧になった。
つい開いた口をふさぐように口付けられたら、舌が重なり吸い付かれて、胸への刺激とキスで体がびくんびくんと跳ねた。
だけれど、ベッドに仰向けの私の右手側には柏木さんの体が、左手側には彼の手が。私の体を逃げられないようにがっちり自分の方に引き寄せている。

「ちょっと……感じすぎ。やよ、そんなん……」
「はぁ、はぅ、きゃ、ぁん……っああどうしようっ柏木さん」
「ん?こやって触られんのきつい?」
「あんん……っふ……、はい、だって、ゃだ……ーーっあぁ……!」

なんて会話している合間も胸を触られまくって、快感で涙がでる。先端を挟まれぎゅうと圧を加えられ呼吸が乱れた。気がついたら、もうイキそうなほど高まってしまっている!
耐える私の唇を舐めてにっこり笑う柏木さんが、耳元にも唇を寄せて、我慢せんでええよ、とひそひそ声で囁いた。

「ミドリさんイッたら僕の入れたいわあ。ナカならしてないけど、……もうめっちゃドロドロやろ?いきなりに僕のを根本まで入れたったらきっと気持ちええよ」
「……うゃ……ぁ……っ!……ん……!!ぁ、まっ、まって、まって……!ーーんっ……!!!!」
「あはは、想像してイッたん?かわええねえ」
「(う、うそ……!)」

恥ずかしくて顔が、体が、今以上に熱くなる!カッと血がたぎるのがまざまざわかった。
取り乱す私に柏木さんは頭をなでなでしてきて、それがまた恥ずかしく顔を見られまいと彼の体に抱きついた。

「わあ、イきながら抱きついてくるて、……ミドリさんあざとくない?めっちゃよしよしってしたなるわ」
「はあっ、はぁ、……っんん、ふぅ、はぁ」
「ミドリさん髪サラサラやね。触ってて気持ちええわ」
「あわ……(何故だろう一緒にいればいるほど、もっともっと好きになっていっている気がする……危険だ!)」
「さて。さっき言ったとおり……ちょっと早いけど僕も一緒に気持ちよおなりたいな」
「!!」

肘をベッドに突き立てて軽く体を起こした柏木さんが私にきちんと覆いかぶさる形となる。
彼は前を開けてポケットから取り出したゴムを口でビニールを切ったら、慣れた手つきでするするとつけた。それから自分のを握り込んで私の入り口に先端をぐいと押し付ける。
裏メニューのセオリーどおり入れる確認を取られると予期した私だったが、ナカをいきなりに奥まで貫かれた!

「っ!!!!あ……っ!?ん……っ!?ぅあ……ああっ!」
「うん、可愛い……まだちょっと体痙攣しとるね」
「!んんぅ……!ひゃ、っあ、う、柏木さん、」
「ならさんかったから、ああ……めちゃめちゃ、ナカびっくりしとるみたい、ふふ……」
「んぁ、う……うぅ……っ!だめ……っだ、だめ……、!!!!」
「っ!っぁ……動いてへんのに、入れただけでまたイッたん?」

衝撃で開いた口から、うわ言のように本能的でだらしない声が出てしまう。感じて震える体を隠したいが、ナカにおそらく根元まで入っている柏木さんのものの圧迫感が生む快感は凄まじく、二の腕で口元を隠すのが精一杯だ。
さっきイッたばっかりなのに、また本気で達してしまって恥ずかしくて仕方ない。

「はぁ……っほんとミドリさんは羨ましいくらい、気持ち良さそにするやんね……」
「!ひゃ、っぁん……っか、からだ、触っちゃ……今は、だ、だめ……っ」
「そう?ナカもっとぎゅーって狭なるけど。腰もめっちゃ動いてやらしいし……」
「(だ、だから、だめ……っ)ぁ、ぁん……っ、す、スゴイ、はぁ、…….っぁあ……っ!」

ぐりぐり奥の壁に性器を押し付けられて、全身にじんわり気持ち良さが巡る。

「ゃっ、やぁ……っうぅ、(変になっちゃ……)」
「なあミドリさん、どうせ顔隠すんやったら僕に抱きついて。……そうそう」

望まれるまま彼の背中に手を回す。
ぎゅっと密着したところで、ずるりと先端の方まで柏木さんのが引き抜かれ、それからまた奥まで、ぐちゃぐちゃ音を立てながら激しく腰を打ち付けられた。

「っ!きゃぅ、……っ!……〜〜ッ!!」
「声になっとらん声出とるよ。なんかそれ妙にリアルやわ……」
「ぁ……うぅ、…ん……っんぁ……っ!(ひええずっと気持ちいい……!?)」
「あはは、抱きついてくんのほんまかわええ〜……っかわいすぎて、ふふ……、もっと気持ちよおさせたなるわ」
「んん!ぁ……っあぁ!ふ…………っ!(キス……!)」

キスまでされて、もうなにも考えられなくなってきた……!
ぎゅっと握っていた彼のシャツだったが指先までしびれる快感にどんどん力が抜ける。柏木さんは柏木さんで、キスの合間漏れる乱れる吐息が抑えきれない興奮を示す。

「ぷは……ふふ、お腹に手え置くと感じてるのよりよお分かるわ」
「(やだ、……またイく……イっちゃ……)」
「はぁ……ふぅ……ふふふ。好き、ミドリさん……」
「!!ぅ……ゃ……ぁ…………っ(そんなこと言うのは)」
「……めっちゃ好き……」
「はぁ、はぁ……っあ、……ぅあ……!(ズルすぎる……!)」
「多分の話なんやけど、ミドリさんも僕のこと好きなんちゃうかなって」
「あ……っ」
「思っとるんやけど……違う?」

ずるりと性器を抜かれ入り口をなぞられた。イきそうなところ焦らされて、彼の顔をじっと見てしまう。
そりゃもちろんその通りだ!けれど、好きと口に出して伝えたら、今以上の関係を望んでしまいそうでおそろしかった。私にとって柏木さんは少々高嶺の花なのだ。しかし……

「私も好きです……」

口をついて答えてしまった!とにかくこの先を求める気持ちが思考回路を鈍らせる。もうずっと前から頭の中がふわふわしていた。

「大好きです柏木さん……毎日会いたい……ずっと一緒にいたい……」
「!……あはは、めっちゃ熱烈やあ。そない言ってくれるとほんまに嬉しなるわ〜」
「(思うままに言ってしまった……!!)」
「僕も……」
「……!ん……っ」

先端がゆっくり入る!ぬるりとした感触を引き連れて拡がる感覚が快感を呼んで呼吸が乱れた。そのまま徐々に押入られる、半分ほどまで達したらぐいっと根元まで入れ込まれ、最奥をズンズンと突かれた!

「一緒の気持ちやよ、」
「!ぁ、あぅ……っあ(や、やばいとこ……)」
「やから、ミドリさん今日はうち泊まり」
「ふぅ、……〜〜ッ!(当たる……!)」
「したら朝まで一緒やんか」
「ん……っ、んく……ぅ……(それに)」
「身体中触ってないとこないくらい触ってあげるし」
「…………あ、ぁ……ッ!あ……っ!(柏木さんの手が……!)」
「愛したい……」

ベタベタと彼の手が体に触れる、ゾクゾク興奮がせり登った。ひと時も離さないで欲しくてたまらなくなる。ガクガク身体が震える、腰が動く!
とろけるみたいに気持ちよくなって

「い……っちゃ……あ、……ーー!!!!」
「!あ……、すごい、良さそ……、腰、えっちやあ」
「ぅ……ん…………ーーッ、はぁ、はぁぅ」
「……っ」

派手な痙攣を隠しきれない!肌に触れる柏木さんの腕を掴み力を込めることで快感に耐える!

「(だ、だめだ……、よ、良すぎて、……な……考え……)」

ゆっくりと、柏木さんのが出たり入ったり、こちらがイッたのを受けてペースを落とした彼だったが徐々にまたガンガン動き出した。
感度抜群のナカを好き勝手にされて甘い声が抑えられない。それに抱きつきたくも力が入らない……神の手が体の縁をなぞるから余計にくたくたになってしまう。

「っきゃ……ぁぁう……、ぁっ……あぁ……」
「んっ、んん……っ、はぁ、ミドリさん気持ちよおなると僕もめっちゃええ、から、……っごめん、やめてあげれへん……」
「ぁ……んゃぁ、や、……はぅ(待っ……)」
「くっ……うう、……は、ぁ……、ふふ、ミドリさんまだ痙攣してんの……っあ……」
「ひゃ……ぅ……(だっ……て……)」

奥、壁をえぐられるたびにとんでもなく気持ちよくて腰が勝手に動く。柏木さんに対する愛しさが溢れるみたい、体がどこかしこも熱っぽい。
くちづけられると余計に熱くなった、柔らかい唇や舌が触れ合うと胸が高鳴る。柏木さんを見ると若干苦しそうに眉間にしわを寄せている。

「……っ、……ぅわ、あかんもう、我慢できんわ……」
「!ん……っ!く……ぅ、ぁ……はぁ……っ(はやくなっ……!!)」

夢中でキスをしながら腰を動かす柏木さんだ、ただ気持ちよさを求めているようだ。

「ふふ……そんなふうに可愛く見つめられると恥ずかしいわあ、なんか……」
「(見るのやめられない……かも!)」
「っぁ、はぁ、……ごめん、僕……」
「んう……っあ、あぁっ、はあ、(ていうか)」
「もうすぐ……。すぐ出るから、もうちょっと……、……っ!」
「(柏木さんの、動いて……!っ!)」
「あ、……あぁ、……く……っイ……く……!!」
「!!ん……っふ……ぁぁ……(気持ち良いんだってわかると……)」
「ッ……ぅ……ーーーー!!……ッ!……っく……」
「(私までなんか……!)は……ぁん……っひゃ……あぁ……」

感染するのか気持ちよくなって、またイッてしまった!自分はこれほど感度の高い人間だっただろうか?不思議でたまらない、神の手の力なのか、はたまた柏木さん本人の力か。
そんな間もどくどくってナカで精液が吐き出されている。柏木さんは奥に差し込んだまま動きを止める、時折もっとナカに入りたがって腰をぐいっと動かした。

「ん……んん…………っは……、ふぅ……」
「は、はわ……(く、くたくたで動けない……、)」
「あ……。ミドリさんごめん僕やめたれんくって。……大丈夫やった?」
「は、はひ……」
「ふふ、ならええけど……。はぁ、めっちゃ良かったぁ。よいしょ……あ、あはは、いっぱい出てしもたみたい。僕ちょっと興奮しすぎちゃうかな……」

ふふっと笑って頬にキスをされた。そんなこと一つでとんでもなく幸せだから私はもう完璧に落ちてしまった!と自分で思った。柏木さんに……柏木さんの手に……?どちらが欠けても駄目な気がした。

「……こんな良うなるんはきっとミドリさんがスペシャルかわええからやわ。僕らめっっちゃ、……ふふ。いい感じやね」
「(そうなのかな?)えへ……ふぁ……」
「あ。眠そ……。寝てええよ?僕も眠いし……あぁでもマッサージ……」
「(本当に寝ちゃいそうだ……、もったいない……!もっと……)」
「は後でしといたるから……。もう寝よっか」

頭をゆっくり撫でる彼の手のせいでか抗えず眠りに落ちてしまった。連日の疲れや今日の緊張も手伝ったのだろう。ぼんやりしていく意識の中で、夢にしたくないまだ起きていたいと切に願った。


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