本と蜂蜜 | ナノ

５

隼人くんの掌が彼の顔を隠す。

「はぁ…紗良さん、仰向けに寝て」
「わかった」
「足上げて…い、いれる……」

入り口を隼人くんのものがぐちゃぐちゃ音を立てかき混ぜる。

「はぁ、…はぁ…っ」
「隼人くん？」
「え？あ、あぁ、…すぐ入れるから、待って…」
「っぁ、…ぅ」
「(手が震えて、入んない…)えっと、こう、かな？んん…っ、は……」ぐちゅッ
「うぅ、ー！」
「はっ、はぁ、半分、入った…。どう？つらくない？」
「うん。大丈夫….」
「無理…しないで。ゆっくりしたい…あ、ぁ、っけど俺…腰、勝手に…動く…かも」
「ぁ、はぁ….っ隼人くん、」
「あぅ、う…、ごめ、ん、止まんない、きっつ…」

ーぐちゅ、ずちゅ…ッ！
隼人くんの腰は緩やかに加速して、私のナカを冒していく。出たり、入ったり、奥を貫かれて、私のからだはがくがくと揺さぶられた。

「はっ…うぅ、紗良さんのナカ、ちょう熱いっ、おかしくなりそ…」
「ぁ、っはぁ、…ん」
「く…あぁ、でも紗良さんも…気持ち良くなんなきゃ、やだ…ッから、ね、どうして欲しいか言って…」
「…なら…さっきのところを触って、欲しい」
「あー…っ、ここ？女ってここ、好きだよね。そんなにいーんだ…っ」
「あ！… ぁは、…ぅ」
「良いよ、いじってあげる…いっぱい気持ち良くなって…」
「きゃ、ぅ、う」
「ぅあ…ッ腰、そんなえっちに動かされると、俺すぐイくよ？いいの？」
「ん、…っ、いいよ」
「ぁ…なにそれ、反則じゃん？ぅう…」

ーズンッズンッズン…ッ
からだの奥の深い部分に隼人くんの欲望に膨れた固いものが抉るように打ち付けられる。そのうちそれが私の全身に甘い快感をもたらすようになった。

「あぅ、ひゃぁ…隼人くん、ぎゅーってして」
「うわぁ可愛いー…！わかった、ぎゅー…ッ」
「ん…っ、あ、あぁっ！」

隼人くんの胸が私の胸にぴったりとついた。首筋を吸われて舐められて…熱い舌がうごめく。

「この体位、女は逃げられないから、余計に感じるらしい、よ…っ」
「うん」
「はぁ…っ結構、俺も、これ好き….かも」
「私も、とても…良い」
「あぁ～だからナカきゅんきゅん、してんだ、ぁ」
「んーっ、あぅ…っ！」
「は…ッあ、紗良さん、もしかして。イきそう、なの？」
「っ？わからない、」
「すっごくナカ、動いてて…はぁっ、腰も揺れてるし…っ」
「気持ちが良い、から…動いてしまう、みたい」
「俺を締め付けてよ…そうした方が感じるらしい、し」
「は、ぅ……っ」
「………ん、そう、もっと、…して」

耳たぶを吸われて、からだがびくって痙攣してしまう。そのままナカを意識的に締め付ければ更に腰が動いた。

「ゃ、…っ、隼人くん」
「ん？どした？」
「ちょっと、ゃめて欲しい…ッ」
「ぇ、…っんん、どうしたの？痛い？」ピタリ
「…凄く、気持ちが良くて、変になりそう」
「な……そうなの？変になっていいよ。寧ろ変になって…！」
「あ！っあぁ、っ！でも」
「うぅ……ッてゆうか、俺のがヤバいかも…くぅ…、」
「ぁう！んん、ぁ、あ！」

更にガツガツ腰を打ち付けられる。
どうしてもナカを締め付けてしまうと、隼人くんが声を漏らした。
律動のスピードが上がり、大変な反面からだの末端まで悦楽が広がる。おそらく隼人くんに求められていることが嬉しいのだ。

投げ出された手の上に、隼人くんの大きな手が重なった。力がとても入っていて、さっき絶頂に達した時の彼と似ている。そう思い当たれば、さらに興奮が増した。

「きゃ、う…っ何か、とても、すごく…ッ！」
「あぁ～、ィくの？俺ので…ィっちゃうんだ」
「んぅ、そうかも、しれない」
「一緒にィこう。俺…も……出る…し…！」
「ひゃ、ぁ！うん、イくっ」
「は…っはぁっ、んん…激しくしちゃう、ごめん」
「っ。大丈夫…ぅぁ！あ、あっ！」
「あ…ッこえ、可愛い…っあぁ、出る、うぅ、出る…ッ！！」
「ひゃ…っあ！ぁうっ！ん！！」

ービクンッ…！！！
隼人くんのモノがナカをかき混ぜて、壁を刺激すると、声が漏れてからだが大きく跳ねた。ナカでビクビクと痙攣している彼の存在に、どうも同時に達したことが分かった。

「紗良さん、ぁ…っひうぅ、んん、…ッ」
「ナカ、で、隼人くんの、凄く、ぴくぴくってしてる」
「んん～…ッはぁ、それはお互いさま、じゃない？」
「わ。ぁう、…またぎゅー…なの？」
「ずっと、ぎゅーしようよ…俺離れたくないなぁー」
「はっ…はぁ、ぅ…うん、私も」
「…んん、ちゅーもしよ…」

重なる唇の隙間から熱い隼人くんの舌がいやらしくささやいた。欲望に任せて求めあえば、からだがまた性欲のはけ口を探してさみしくなる。

「っ、隼人くん」
「なぁに…ッ？」
「ナカで、大きくなってる」
「ぅ！あぁ…っやば、恥ずかし……。だって紗良さんがえっちだから…興奮しちゃう…わけで？」
「…えっちなのは隼人くん」
「えぇー？俺だけ？そんなこと言うのはこの口かー！」ちゅ
「ふ、ぅう…っ！」
「ね…も一回、しよ？」
「うん」
「あぁ、マジでいいの？辛くない？」
「うん、嬉しい」
「はぁ…ッもー、無理……かわいすぎ……っ！」

さらに質量を増した隼人くんのモノが緩やかにストロークを描く。私こそ、もっとそれでナカを犯して欲しいと思った…が口に出すのは違う気がしたので、彼の背中に腕を回すだけにした。

◇

カフェ巡りが号令になった放課後、やっと私達は安住の店を見つけた。カフェマンハッタンは寡黙なマスターとその奥さんが営む店で、コーヒーが有名だった。
学校からほど近いこの店は意外にも他の学生が来ることは珍しく、人も多過ぎないのでなかなか過ごしやすい。

図書館に入ったばかりの新作小説を携えて、隼人くんと私は隅の席でゆっくりと時間を過ごしていた。

「コーヒー！うまいでしょ？ここ有名なんだってー」
「とても美味しい」
「静かだし、雰囲気良いし、長く居れるし…本読んでる人も多いから俺たちがこやって小説持ってきても余裕！だし？」
「そうだね」
「なによりここのフォンダンショコラがすっごくうまい！」
「隼人くん、ちょっとうるさい」
「あ！…ごめん」コソ
「ふふ、それは声を抑えすぎ」
「…えへ……」

隼人くんがオレンジジュースの氷をグシャグシャかきまぜる。

「紗良さんがコーヒーで俺はオレンジジュースかぁ…次は俺もコーヒーにしようかなぁ」
「飲めるの？」
「ミルクと砂糖入れたら飲める！」
「ふーん」
「むむ、やっぱ紗良さんってクールだよね？付き合って一ヶ月なのに超クール」
「嫌？」
「そこが好き～！大好き！！」

『フォンダンショコラのお客様！』

「おわっ！何怒ってんの～？スマイルスマイル」ウェーイ

『俺のバイト先でわざわざいちゃつくのやめてくれないかなぁ？』

「だって別にお前が居るから来てるわけじゃなくてマスターのコーヒーが美味しいから来てるわけよ～」
「ごめん、邪魔だった？」

『紗良は毎日来てくれても構わんよ！』

「そう」
「ちょ、ちょっと！俺だけ対応違くない～？差別だ！」

『お客様！騒がれますと他のお客様のご迷惑に…』

「お前だってうるさいじゃん！もー俺は紗良さんといちゃいちゃするの！どっか行ってよ～」

隼人くんは元気な方がよほど似合う。
コーヒーよりオレンジジュースが、私が食べているカカオの強いショコラケーキよりフォンダンショコラにホイップクリームを乗せたものの方が似合う。どこまでも甘くてとろけそうなところが彼らしい。
相変わらず私は甘い食べ物は苦手だった。でもまぁ…モノによる。

私は読みかけの本に視線を戻して、二人の掛け合いをBGMがわりに贅沢な放課後を過ごすのだった。

END
→番外小話あります

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