出来のいい弟 | ナノ





「いっ………!」
「…しつこいぞ姉ちゃん。あのさぁ、わかんない?俺、姉ちゃんの事嫌いなわけ」
「えぇ?前はお姉ちゃんと結婚するって言ってたくせに」
「それは幼稚園の頃だろ?昔の事をいつまで言ってんだよ。俺の普段の態度見て俺が嫌ってる事くらいわかるだろ、それなのに漫画貸してとか…空気読めって言われない?」
「…え、そんなに姉ちゃんの事嫌いなの」
「大嫌い。ガサツでウザくて我儘で俺を奴隷と思ってるところとか本当に無理」
「なんと…」
「まるで自分が嫌われてるって予想もしてなかったって顔だな、本当馬鹿だわ。話してると頭が足りないのがうつる。わかったらもう俺に必要以上に関わらないでくれ」

ーその方がお互いのためだ。
廉はマジで言っているらしい。こんなに真剣にお願いされるとは思っていなかったから面食らう。

「わかった。私も大嫌いだからちょうどよかった。あんたは体だけデカくて邪魔だし反抗的で全然可愛くないし目障りだったし?ちょうどよかった、そっちこそもう私に話しかけんなよハゲ!」
「…」

廊下のダンボールに入っていた田舎から送られてきた蜜柑を三つばかりぶん投げて部屋に戻る。
チラ見した廉の表情は本当に安心したっていう顔で、ますます苛立ちが増した。


私だって同じ気持ちだった。
弟と比較して私がいかに出来ない人間か思い知らされるのは耐え難い現実だった。
成績だって部活だって私生活だって、充実しているのはあいつのほうだ。毎週違う女と遊んで呑気にチャラチャラしている合間に私はいくら勉強しても模試の成績も微妙なまま内心だってそこそこのまま。だから近所の適当な高校で適当に生きてる。聞いた話によると廉は県で一番偏差値の高い高校を受けるらしい。

奴の部屋にあった、いろんな女たちとのプリクラを気がついたら握りしめていた。指を広げるとひしゃげたシールが台紙から剥がれている。
それをリビングの棚の上に捨てて、自分の部屋に戻った。

これは良い機会だった。あんなやつ、これをきっかけに何処かに消えてしまえばいいんだ。







あれからお互い完全に無視して過ごしている。親の前では事務的な会話をするが、廊下ですれ違った時だってまるで居ないものとして扱っている。
それまでは舌打ちやため息といったコミュニケーションをとっていたがそれすらない。
過去最大の冷え切り具合だ。

「あぁ暇…」
またやってきた日曜日の過ごし方がわからない。
勉強もゲームも漫画も小説もテレビも、とてもじゃないがそんな気分じゃない。

今日は廉も家に居るようだ。珍しくどこにも行かない、誰も呼ばない休日を過ごしているらしい。親も出払っていて、この屋根の下には私と弟二人だけだ。

ベッドで雑誌を読みながらくつろいで居たら、メールが入った。
私がネットで頼んだ小包がそろそろ届いてるはずだったから、母親に知らないかと今朝メールした。その返信だった。曰く、今朝ポストに届いて廉の部屋に間違えて運んだかも知れないとの事だ。よりにもよって何故そういう事をするのだろう。
私はため息をついて立ち上がった。


「廉。お母さんが私のメール便あんたの部屋に置いちゃったかもって。入るよ」
「あ!ちょ…っ、待て……っ!」
「…?」

これは返事も待たずにドアを開けた私が悪い。
廉はパソコンの前で、自分の性器を握って、つまり……。
私が言葉を発せずにいると、廉が凄い顔で私を睨んできた。

「だから…待てって言った…言っただろ!」
「えーっと…ごめん。あ、これ、私のメール便!じゃ、じゃね!」
「おい!」

ダンッー!
 扉を閉じられて、そこに背中がついた。
目の前では廉が右手をドアに押し付けて、私を見下ろしている。

「(や、やべー…!マジギレしてる…!)」
「なんか言うこと無いのか」
「ご、ごめん…」

本当に悪かったって思ってる…ーーそう言葉を続けるが依然廉の怒りは収まらないらしい。
左手でずり下がったジーンズを持ち上げて腰まで戻す。けれど廉のモノは固く立ち上がったままだ。それが目に入って、動揺してしまう。

廉がフーフーと息を乱す。
一見怒りにも取れるが、それだけじゃないのかもしれない。目が充血して血走ってる。

「け、けどまさかそんな事をしてるなんて思わないから!私だって被害者で…」
「あれだけ言ったのに勝手に部屋入ってさ。今度は乱暴されても仕方ないって思わないか」
「はい?」
「姉ちゃん…」
「ん……!?」

ーちゅぅう…ッ
何が起こったのかすぐには判別がつかなかった。
キスがどんどん深くなって、廉が私の両腕を手で壁に縫い付けるまで、頭が真っ白だった。

「ぷはっ!廉!?」
「ふぅ…はぁ……ッ、何が被害者だよ糞女…相変わらずの責任転嫁だな」
「ちょ、っと!?」
「望み通りな事をしてやるよ!おら!」

ベッドに体が投げ出される。
廉に馬乗りになられて、身動きが取れない。ジタバタと足を動かすが、体の芯はびくとも揺れなかった。

「何のつもり…むぐっ!」

私の言葉を封じる為に、廉の右手が口を抑えた。

「んんん!?」
「エロいことする時くらい黙ってろ。口を開けば生意気言いやがって…苛つくんだよ…!」

気が立ってるらしい、私のどんな抵抗もさらに大きな力で蹂躙された。
空いている手でタンクトップを上まで捲られる。下着をつけていなかったのですぐ胸が露出した。ぎゅううっと鷲掴みにされて痛みに体を捻った。

「またこんなエロい服着て…やめろって俺言っただろ?何で言うことの一つも聞けないんだ」
「むぅぅ…!」
「はぁ…ッ…はは、乳首たってる。乱暴にされるのが感じるのか、淫乱」
「…んん!」
「いっつもこんな薄いタンクトップの上から乳首立たせてさぁ、俺を煽ってんだろ?マジで浅ましい女。舐めてしゃぶって噛んでやるよ」
「んく!?」

がぶりと噛みつかれて痛みに体を捩る。

「ーははっ、気持ちいいか?…おい暴れるなって……」
「んんぅ!」
「じゃあここ、舐めてやるよ。優しく、こう…されると気持ちいいだろ?」
「ん……!?」


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