出来のいい弟 | ナノ


AFTER―4 a


職員室に呼び出された理由は明白だった。先週末の進路希望調査で俺が書いた第一希望が担任は気にくわないらしい。

教師の言う通り、クラスメートの偏差値が自分より10や20も下…そんな学校にわざわざ入るのは変わっているだろう。しかし、良い学校に通うよりも俺には大事なものがあった。
そう言うと教師は呆れ顔をさらに深めて俺をたしなめる。

「やめとけやめとけ。中学生時分の大事なものなんてな、大人になったらどうでもよくなるものなんだよ。俺も思い返せばなんであんな事に必死になってたんだって、不思議に思ったりしたもんだ」

――だから、急に志望校変えたりしないでさ。今まで通り勉強頑張って良いとこ入っとけ。そっちのがよっぽど財産だ。――

俺は考えますとだけ言って職員室を出た。呼び止めようとした教師の声は喉まで出て塞がれた。何言ってももはや仕方ないと思っただろうか。


――中学生時分の大事なものなんてどうでもいい……?――


廊下、放課後、入り乱れる生徒の賑やかさも俺の耳には入らない。さっきの教師の言葉をただ何度も思い返していた。






出来のいい弟。4






学校から帰って、一目散にあの女を探す。
自室に籠もれば俺にいいようにされるとわかって、最近の姉ちゃんは居間にいる。

(よかった、まだ逃げてない。)

そう安堵するが、逃げられるわけないのに俺も馬鹿だ。頭の悪い姉ちゃんは、どうせここから逃げ出す勇気さえないんだ。

おもむろに背後に近づいたら、欲望を持った指先が姉ちゃんの肌に触れた。もはやこうしないと姉ちゃんは俺と目を合わせない。あぁ、違った。そもそも目なんて合わせることなかった。ここ数年はもう姉ちゃんと関わるのが嫌で嫌で仕方なかった。

「ねえ廉。お父さんとお母さんもう帰ってくるから、さすがに……やめて」
「その時がきたらそうしてやるよ」
「う……やだってば……」
「はぁ……聞こえない」

テーブルに肘を置いてカーペットの上に座り込む姉ちゃんを背後から抱き寄せた。シャツを弄って生の肌の上を掌が這う。
がぷりと軽く噛み付いて肩に吸い付いた。びくんと体を反応させる目の前の浅ましい女をもっと汚してやりたい。
しかし。

――ガチャン

「ただいまー」

「チッ…」
「…」

呑気な母親の声を合図に姉ちゃんから離れる。ほっと胸を撫で下ろした様子だ。俺は平静を保ちたくて強く爪を手に食い込ませる。

何度体を重ねても俺たちはまるで一つになれないから、胸が苦しくてたまらなくなった。







「今日は廉が角煮を作ってくれたの」
「おお!一日あくせく働いた甲斐があったなぁ」

夕食、両親の会話が弾んでいる。姉ちゃんは黙って半分は俺の作った飯を食べている。父親の大好物の豚の角煮は俺の得意料理だが、実のところ俺は料理が好きじゃない。きっと誰も知らないけど。

姉ちゃんの食事のスピードはトロトロ遅くて見ていてダルい。流し見ながら俺はてきぱき大皿のサラダを分けて、親と姉ちゃんの目の前に置く。

「で、廉は高校、どうするんだ」
「お父さんも言ってやってよ。お姉ちゃんと同じとこ受けるって言うんだから」
「別にいいだろ。高校変えても今まで通り勉強はするから」
「最終的にはお前の判断に任せるが……、ははは、廉は相変わらずお姉ちゃんが好きだなぁ」
「父さんには負けるよ」
「最近仲が悪いようだから心配してたんだ。いつの間に前みたいに仲良くなったんだ?」
「いつだろうな。ねーちゃん」

「……え?あぁ、なに、なんの話だっけ……」

「どうしたんだ、上の空だぞ」
「ほらほらお姉ちゃん、ぼーっと食べてると零すよ」

「あっ、うん。ありがと、お母さん」

母親が空になっていた姉のコップにお茶を注いで渡した。そもそも聞いてないあたりが姉ちゃんらしい。俺と関係が変わってこうなったわけじゃなくて、わりと前からそんな感じだ。特に俺の話は聞いてない。
もういいだろ早く終わってくれ。
夕飯の後何をするのか、それだけが今興味あることだ。







夜。

俺の次に風呂に入った姉ちゃんが今日はいつまで経っても二階に上がってこない。

居間を見に行くと、随分熱心に父親と何でもない話をしていた。彼は娘を溺愛している。そして姉は約束を守れない。

実際はそうでもないのに、待つ時間は随分長く感じられた。そしてようやく二階に上がってきた姉ちゃんを呼び止める。

「なあ。俺を待たせて、どういうつもりだ」

ビクッと体を震わせて驚く姉ちゃんが俺を睨む。 部屋に招いて、最近買った簡易的で安っぽいドアの鍵を閉めて。彼女に向き直るとばつが悪そうによそを向いた。

「だって、お父さんと……色々話してたから仕方ないじゃん」
「それが免罪符になるとでも思った?」
「(あぁもう!なんで廉に睨まれなきゃならないんだろ……)」
「おい」
「ひ……っ」

姉ちゃんをこちらへ引き寄せたら俺は噛み付くそぶりで歯を見せた。
そのまま口をふさいでしまう。

「んくっ!?ん……!?〜〜!」
「……っぷは。…はー…口開けろよ」
「っ!ん!は……ぅっ」

窒息させるぐらい長く激しく口付けて、やっと離すと顔を赤くした姉ちゃんが肩で呼吸をしている。
俺はべろりと自分の上唇を舐めて……女を見下ろした。

「な、なに。お父さんと話すのもダメなの?けほっ、はぁ」
「そうだよ。姉ちゃんは約束を破った」
「やくそく?」
「俺以外の男と話すな。何されっか分かったもんじゃねぇんだから……何回も言わせんなよ」

姉ちゃんが息を飲んだ。
動揺が窺い知れる。たしかに男と話すなと言われたが、それに父親も含まれているとは思っていなかったようだ。

「お、お父さんが私に何かするわけないじゃん」
「わからないだろ。現に俺が」
「え……っ」
「こんなことしてんだから」
「……あ……」
「父さんは姉ちゃんがやたら好きだし。もしかしてもう抱かれてんの?」
「なっ!?馬鹿なこと言わないでよ」
「俺のさぁ……」
「っ……!」

言うことの何が馬鹿らしいっていうんだ!
――俺は言葉を飲み込む。激情をやっと胸に収めて、真剣に真剣に考えてきたことを整理する。ふー、ふー、上擦った呼吸の音をようやく抑えつけたら。

「もういい。姉ちゃんはわかってくれない」
「な……そんなの、わかるわけないよ。廉のことなんて」
「俺のこと"なんて"?……姉ちゃんはずっとそうだ」

睨んでやったら背筋が凍ったらしい。一歩足が後ろに下がる。こんなに俺がイライラするのは全部姉ちゃんのせい……声のトーンを暗く抑えて話しかけた。

「ちょっとは可愛くできないのかよ。愛嬌がない、あんたは」
「わあ……っ!あ、廉、」
「今日は仕置きだ。ってか、今日もか。二度と約束破らねえように教えんのは、姉ちゃん頭軽いから結構大変なんだけど……仕方ねえよな」
「……ひぇ……」

できるだけ優しく頭をなでてやっても、姉ちゃんは両腕で自分の体を抱きしめて震えてしまう。こうして怖がる癖にいつまでたっても学ばないからおかしい。

「……ご、ごめん。もう、お父さんと話さないから、……痛いのは嫌……」
「許さない。一度許すと甘えるだろ。こういうのは徹底的にするのが肝心なんだ。それに痛くしない。下に親がいるんだ、姉ちゃんに叫ばれると困るからなあ」
「……廉、お願い」
「可愛こぶってる?……今更。明日は休みだろ。ゆっくり躾けてやるよ」
「……廉……」

姉ちゃんがちょっと涙ぐむ。可愛こぶらなくても、こんな顔は最高に可愛いけど。







「姉ちゃん……気持ちいい?」
「んんっ!んん……っ!は……っ」
「ちゃあんと、舐めなきゃ駄目だろ。俺のも……」
「ん、ぷは、…はぅ、……んっ」
「そう……っもっと、……あぁ……」

無機質な機械の音は静音設定でもそれなりに響く。俺はベッドサイドで立って、顔を赤らめて体をよじる女を見る。なかにぎっちり入っているおもちゃでも、姉ちゃんにはたまらないらしい。

「そんなおもちゃで感じるとか。なんだっていいんだ、姉ちゃんって」
「っんんぅ!……けほ、…はぁ」
「喉まで咥えて、なかかき混ぜられて、返事もできない?」
「……〜〜っ!は……ぁ……」
「返事。しろって」
「んっ!……っは……気持ちいいよ……」

きちんと言わないと喉奥を乱暴につくようにしたら、彼女は従順に自分の状態を言葉にできるようになった。

「……ふー……っはぁ、吸えよ、もっと強く。甘ったれんな」
「……!んん……っ!んっ……」
「何?その目……もしかしてイくの?」
「ぷは、あ……っ。あぁ、ぁぅ……っ」

姉ちゃんが耐えかねて俺のから唇を離す。ぢゅぱ、などやらしい音を立てて勃ち上がったものが飛び出して跳ねた。

「ゃん……!っぁあ、…は、ぁん、はぁ、はう……っ!」
「……堪え性、ほんと無いなあんたって……」

俺の部屋着のシャツを掴んで顔を俺の体ににつけて、まるで縋り付くポーズで姉ちゃんはイッたらしい。はー、はーと肩で呼吸をして、時折喘ぎを漏らした。

「なに勝手にイッてんだよ」
「ひう、……ごめ、……でも廉」
「言い訳すんな。ほら、俺の、さっさと良くしろって……」
「は、い……あむ……んんぅ」
「ふう……あぁ、そう……っ奥まで……して……」
「……っ!ん……っふ……」

苦しそうに歪む姉ちゃんの顔。俺のを喉の奥まで咥えこんでる。厚い舌と粘ついた唾液を絡ませてぎっちり隙間なく俺のに吸い付く。どろどろ溢れる先走りも飲み込んで、ジュプジュプ音を立てた。
――と、急に姉ちゃんが口を離した。

「廉、あ、あぁ、……なかの、抜いて……」
「なんで」
「っう、ごいて……あぅ、……廉の、舐めれないよ…」
「姉ちゃんは我慢が足んないから、それにハメられてるくらいが丁度良いんだよ。つうか、サボってないで舐めねぇと、俺がイけない……」
「あ、あ……っはぁ、はい……」

竿で頬の形を変える。押し付ける。すると姉ちゃんは観念したみたいにしおらしくなってまた涙ぐみながら俺のを口に含んだ。
なかは大きめサイズのバイブがマックスのパワーで動いている。腰を振って快感を逃しているのか、なんにせよこれはかなりくる。

ドクドク脈打つのは心臓と俺の性器で、頭まで血が上って熱くて思考回路が変になる。
一旦始まってしまえばどうしようもなく欲望に脳が支配される。これではどうしたって止められないわけだ。

「あぁ……っ出る……姉ちゃん、出る……」
「んんっ、んっ……んむ……」
「もっと奥まで咥えろ、……で、直接喉に出させて……っ」
「!?んぅ!んっんっ!!」
「駄目だ、そのまま……抜くなよ、出るから、……っはぁ、あ゛ぁ、……っく……う……!」

がっちりと姉ちゃんの後頭部を両手でおさえて、自分の腰を打ち付けた。呻き声も俺ので塞いで奥まで先端を入れ込んだら、精液をどぷどぷ注いでやった。

「っあ、あぁ……っはぁ、はあっ……!」
「〜〜!!っんん……!!」
「っは……休むな、吸えよ、出してる間もっ……」
「んく、んんっ……ふ……」

がくがく足腰が痙攣して立つのもやっとだ。断続的に吐き出される精を姉ちゃんは喉から直に胃に入れて、最後の一滴まで吸い尽くす。ヂュプヂュパ音を立てて最高にやらしい長めで。
俺が乱暴に掴んだからくしゃくしゃになった髪を解放して、ずるりと性器を抜き取ったら、まだ硬度が残ってるそれがぴたんと跳ねた。

「っごほ!けほっ、……んっ、は……」
「はー……っはー……もう少し、舐めろ……咥えなくていい」
「 んぅ、はぁ、ちゅ……ぅ」
「……」

一生懸命俺のを舐める姉ちゃんを見ていると胸が熱くたぎってくる。裸にひん剥いて俺のを全身にかけてやりたくなる。それから奥まで犯したい。
欲情は一度ぶつけたらなくなるものではなくより酷くなるらしい。
昔からくすぶっていた他人に対する征服欲は肥大して、もはや自分じゃ抑えられない。
でも一番の問題は、姉以外じゃ満足できないことだ。

「もういい。ベッドに寝転んで自分で足を抱えろ」
「……っうん……」

姉ちゃんは仰向けになると、両膝を折って両手で抱え込んだ。なかの奥まで蹂躙している、なるべくグロテスクなのを選んだおもちゃがうごめいている。姉ちゃんは浅く息をして、たまに体をぴくんと反応させた。
ぐちゃぐちゃに濡れたそこに手を伸ばす。取っ手を握り込んでゆっくり取り出す。締め付けのせいで多少苦労して抜くと、栓をしてほしいって言ってるみたいに愛液が溢れた。

「面白いほど濡れてるけど、下もなんか咥えてないと駄目な体にでもなったのか?」
「ん……っそんなわけないよ……」
「どうだか……」
「ぁう……っ、は……ぁん……」

三本、なかに指を入れる。姉ちゃんのいいところをぐいぐい押すと、またどぷりと溢れ出る。べたべたになった指を一度引き抜くと、もっと下の方へ……塗りたくった。

「廉っ?な、なに、やだよ」
「そのうち開発してやろうと思ってたけど今日にした。だって仕置だから」
「え、ええっ!?待って、な……あっ!あ、ぁ、」
「くそ、力抜けよ」
「そ、んな、無理、……っ無理……」
「チッ……はぁ……落ち着けよ」

覆いかぶさってキスをする。最初は体を固めていた姉ちゃんも、ゆっくり力が抜ける。

「あ……ふぁ……」
「ん……一本、指、入った……」
「ひぅ、う……っ苦しい、廉くん……」
「あぁ本当だ。くるしそ……」
「んっ!に、にほん……!?」
「姉ちゃん濡れすぎ。潤滑油いらないな」
「……ふ、……ぅ、はぁ、……はぁ」
「三本……」
「廉くん、も、もう、やめようよ……っ」
「いやだ」
「な……っう……んぅ……あ……」

言葉にならないらしい。姉ちゃんは俺のシャツをぎゅっと握って汗をかいている。とろけた目から滲んだ涙が艶っぽく、下はぎちぎちに締め付けて俺の指が痛いくらい。

「おい、動かせねぇよ。そんな締めたら」
「……っ無理……」
「っはぁ。じゃあなか……もっかいこれで塞いでやる。気持ちいいのに集中してろよ」
「え……っあ!……ぁ……あぁっ」


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