出来のいい弟 | ナノ






それから何度かイカされて、耐え続けても止まなくて。やっぱり気持ちいい反面、恐ろしくなる。二度目からは遅漏な廉はそんな私を楽しんでいるようだった。

「もうやだ……」

私が言葉を漏らすと廉は呆れた様子でこちらを睨む。

「は?なんで。散々イッたくせに」
「気持ちよくて…やだ……もうやだ……っ」
「ふ……泣くなよ…笑えてくるだろ…」
「あ……ッ」
「言葉と体が姉ちゃんは逆だな。本当はして欲しいんだろ。腰、動いてんぞ、ねーちゃん?」
「あ、ぁ、…これは、……ッ」

ぼろぼろこぼれる涙を廉の親指がなぞる。私が非難の目線を向けるが、廉はそれさえ面白いらしい。

「嫌だなん言ってられないくらい気持ちよくしてやる。もっと姉ちゃんの好きなところ、開発してやるよ…」
「……っ!ぁあ、…ゃっ!」
「俺、姉ちゃんにはすげえ気持ちよくなってもらいたいんだよ…全身快感に浸って、たまらなくなってほしい。なんでだかわかるか」
「ど、どうして…?」
「こことか、」
「ん…っ!?」
「ここ……」

廉の指先が体をなぞる。触れられるだけで体がびくんと跳ねて、気持ちよくされるんじゃないかって期待してしまう。浅ましいその根性に嫌気がさす。

「俺が開発してやった場所…触られるとそれなりに気持ち良いだろ」
「……っ」
「ナカも俺の咥えこんで離さないし、俺の形覚えちゃったんじゃねえか」
「な、なに、なにが言いたいの」
「こうして開発してさ。俺しか知らない姉ちゃんの気持ち良い場所いっぱい作って…俺が一番姉ちゃんの体を理解してやるよ」
「え…?」

一拍貯めて、廉が一段と低い声を出した。

「したら姉ちゃん、この先誰に抱かれたって満足できなくなるよ」

一瞬、私の呼吸が止まった。

ーーズッ…………!!!!

ぐちゅ、と粘り気のある音を立てて廉のが奥をグリグリいじめてきた。ドキドキ早鐘を打つ私の心臓は二つの意味で取り乱している。

「あ、あぁっ!ま、って廉くん!廉くん…っむぐ……!!」
「こぉら…大きな声出すんじゃねぇよ……ッそんな気持ち良いの?」
「んんっ!んー…ッ!…んむ…!?」
「母さん来ちゃうだろ。いいのか」
「んっ……っぅ………うぅ…!」
「…はぁ……っ喜んでくれたみたいで嬉しいよ。ねえちゃん…」

私の気持ちと真反対の言葉を選ぶ廉は非常に機嫌良い。わざとらしいくらい心底嬉しそうな声色だ。

ーーどうしたらねえちゃんが逃げないか考えてたら閃いたんだよ。
ここまでねえちゃんを気持ちよくしてくれるのは俺だけ。これから大人になっても、本当にイイセックスは俺とだけ…。ちゃんとそこを理解しろよ。

ストロークのペースが速くなる。焼け付くような秘部の快感に満たされる。廉の言葉を半分夢見心地で聞いた。

「それにもうナニされたって気持ちいいんだろ。目を見ればわかる!ほら、もっとして欲しかったら俺に奉仕しろ。うまくいったらご褒美をやるよ!」

口に差し入れられた指を舐めろということらしい。もう抵抗する気もない私はちゅうちゅう吸って舐める。

「上手だよ、姉ちゃん。やりゃあできんじゃん…言うこと聞いたらその分気持ちよくなれるんだよ。俺たちは犬とご主人様みたいな関係ってわけ…犬のがずっと賢いけど」
「ぷは…っ廉くん、あ、あぁっ!」
「はぁ…!はぁっ…!ずっと、こうして、そんで、俺から離れらんなくしてやるよ…!」
「んきゃ、ぁ…ぁう……っ!」
「そのために、嫌ってくらい…感じさせなきゃな…っほら!」
「……っ!ん……っ!んんっ…うぅ…」

ゾクゾク、全身を染める、とある予兆。廉の言葉通り気持ち良くて仕方ないから、もう良いかって思った。そんな自分に気がついて、涙がまた溢れる。

「良い考えだろ。思いついた時俺は天才かと思ったんだよ。これでずっと、俺と姉ちゃんは…」
「ぁ…っ……廉、くんっ」
「…俺と、姉ちゃんは……」

続きの言葉が言えないようだ。廉は口をつぐんだまま、私の良いところ探って腰を動かす。
あっぷあっぷと溺れながら酸素を求める私の呼吸。独り言みたいに、自然に言葉が出た。

「廉くん、どうしてこんなことするの…」

すると廉が目を大きくして私を見た。

「ねぇ、なんで…廉くん…」
「やめろよ。そんな風に、俺の名前を呼ぶな……」
「廉…」
「呼ぶなって言ってんだろ…黙ってろよ…」

なぜか廉が表情を見られるのを酷く嫌って目元を拭う。震えた奴の声は最後泣き出しそうに水っぽく途切れた。そうした腕が下された頃には、平静に戻っていて、咳払いをする。
一つ大きく息を吐いたら少し苛立ちを見せつつ、奥にみっちり自分のを埋めて、ピタリと動くのをやめる。

「なぁ、このまま、イけよ」
「あ……っ!」
「イケるだろ、さっきみたいにさぁ。自分で、締め付けて、いくんだ…そう、自分で……」
「ゃ、やぁ、…無理、だよ廉くん…っ」
「は……大丈夫…すぐ物足りなくなって勝手に腰動かすことになるから」

予言通り、ナカはずっぽり埋まっているのに刺激が足りなくて、やりたくなくてもぎゅうきゅうナカを締めつけてしまう。廉は笑って、私を眺めた。冷徹な目で見下ろされれば私の体はもっと求めてしまう。

「お願い、……廉くん…」
「ねぇちゃん、腰すげぇエロく動かすんだな。別に俺がわざわざしなくても感じるわけ…」
「あ、ぁ…っゃ、……っはぁ、…はぁっ」
「はぁ……ッねーちゃん、イくんだろ、淫乱…。弟ので感じて…馬鹿じゃねぇの…マジで」
「……っあ!…あぅ…っ、う…ーーーー!」

私の体が跳ねるのを廉は至って冷静に見ていた。瞳の奥の熱さえ目をつむれば。
腰をビクンビクンと痙攣させて、自分から廉のモノをより深く咥えこもうと押し付けて、肌と肌が擦れあった。はー、はー…呼吸を落ち着けるために、空気を深くまで吸い込んでは吐き出す。廉を見る。相変わらず見下している。私は何も言葉が出なくて、ただ天井を見た。
廉が笑う。体をふつふつ揺らして、抑えきれない笑みが口を覆う奴の手のひらから漏れる。繋がっている私の体も揺れて、私はそれさえ感じてしまった。ナカを締めつけたら廉にも気がつかれて。

「姉ちゃん、まだ欲しいの」
「…ぁ…ちが……っ」
「俺まだイってないし。付き合ってやるよ、気がすむまで」

乱暴に取られた私の腕。手首にキスして、唇をつけながら廉が腰を動かす。絶頂に達したとはいえ、待ち望んでいたものに思わず声が出た。

「気持ちよさそ…さっきより」
「ん、んぅ……っ廉くんが動いてくれないと…」
「俺が、動かないと…何?」
「イったのに、全然、」

足りないよ…。
そう、言いかけてやめた。廉は別に言及もせず。ただ、続きの言葉は容易に想像できたのだろう。にやにや笑って、指を舐めて、舌を絡めて…随分早く欲望を吐き出した。






「本当に忘れてた?将来の夢」

唐突に廉が私に問いかけた。
酷くされて疲れ切った私はベッドに深く沈んでいる。廉はベッドサイドに背中を預けていた。振り向いて私の顔を見たようだが、こちらは目も開けられない。
頷く私を確認したのか奴はため息をついた。筋の通らない女だな、と普段の…前までの廉ならなじっただろう。

薄眼を開けて、奴を見る。もう私の顔なんて見ていなくて俯いていた。目元が髪に隠れて見えない。暫くして、おもむろに立ち上がったら、重苦しい体を引きずってヒタヒタ音を立てながらドアノブに近づいて手をかけた。

「俺は覚えてたよ。姉ちゃんの夢」

音も無くドアが開く。出て行き様に廉は私をちらりと見て笑った。それから一言、私に投げかけると、

ーバタン!

ドアが閉まって、さっきまで淫らに染め上げられていた自室はまた違った静寂を取り戻す。

ベッドに顔を埋めて、ドアをじぃっと見た。さっきの奴の言葉を思い出す。

ーー姉ちゃんが忘れてて、どうすんの。

廉がどうしてそんなことを言うのか…頭が働かない今だから、答えがまるで分からなかった。


end



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