セクサロイド | ナノ





「む?また凄いご飯を作ってる…!」
「はい、お嬢様に喜んで頂きたく思いまして、頑張りました!」
「あー!おなか減ったー!」

ロイドが荷物を運んでくれる。
部屋着に着替えて居間に戻れば、ロイドがテーブルの前にちょこんと据わっていた。
ちゃっかり自分の分も用意している。
早く食べましょうと急かすロボットはあんな事がなければ可愛いままだったのに。

「「いただきます」」

「美味しい…(いらつく…)」
「それはよかった!」ニコニコ
「そうだ、お前に服を買ってきた。今のままじゃ堅苦しいでしょ」
「わ!お嬢様!ありがたき幸せです!お嬢様の愛が私に服を買ってき」
「それと!アンドロ社のショールームに行ってきたよ」
「え、はい」

ロイドの顔が曇る。

「聞いたよ、充電の方法。これ、買ってきたから!」
「なんでございますか」
「コレを体に付けて自慰をすることでも性行為には劣るもののエネルギーを補完できるんだってね!」
「嫌です」
「なんて?」
「いや、別に…ありがとうございます…」
「これで万事解決だね!」

ロイドの顔が更に曇る。
どうやら性行為だけでエネルギー補完は大変だろうと、最近出た機械だそうだ。
正直ロイド(の料理)を手放すのは惜しい…と考えた私には願ってもないシロモノだったが、依然目の前のロボットは不服そうだ。

「(なにこれ…初めて見た…自慰で充電とか嫌すぎる)」
「どうしたのかなぁ?ロイド?」ニマニマ
「しかし、コレを使っていれば私をお嬢様の家に置いていただけるんですね」
「まぁ一旦はな。一旦だぞ!」
「この仕打もお嬢様の愛と思えば!わかりました大事にします!」
「愛ではない」

乱暴されて泣き寝入りなんて我慢できない。
しかし、ロボットを捨てるとなると親になんて言っていいのか分からない…。
親も良かれと思って私にこいつを寄越したのだ。
それを娘がこんな状況に陥っているとはどうも言えなかった。

考えた結果、私はロイドをこき使いまくってやると決めた!
そのために服も、充電器も買ってきたのだ!



「そういえばどんな服を買って頂けたのでしょう。ここで袋を開けてもいいですか?」
「うんうん」
「うわぁ素敵な花柄のムームー…」

にまにま笑う私につられてロイドも笑う。
口を開かなければ素敵な素敵なロボットだ。
美味しいご飯を食べながら次はどんな雑用を押し付けようか考えていた。












お嬢様は雑誌を読んでおられる。
一時は強行手段も考えたが、お嬢様が話のわかるお方でよかった。

「お嬢様、風呂が沸いております」
「へい。…そうだ。これ、今使ってみてよ」

渡されたのは先ほど貰った充電機だ。
まず電源コンセントを挿して、そこから伸びたコード類を私の首に取り付ける。
そして、私が自慰をすることによって一日分のエネルギーが補完される。
つまり、毎日充電が必要ということだ。
あの後こっそり本社に問い合わせてみたら今月発売されたもので、ロボットの回路に家主と性行為をしていると錯覚させるとかどうとか、ろくでもないものだった。

目の前のお嬢様は私を困らせたくてしかたがないらしい。
私の反応を楽しんでいるようににやにや笑っている。
可愛らしく私を見る視線に賤しくも興奮するだなんて、お嬢様が知ったらどんな顔を見せるだろう。

「くっ…わかりました」
「おぅ」
「お嬢様が私のこんな姿を見たいような変態とは知りませんでした…とくとご覧ください」
「いちいちそうやって言わないと気が済まないの?」
「ですが、お嬢様。通常自慰と言うものはいわゆるオカズと言うものが必要なわけでしてね」
「む?」
「できれば協力していただきたいのですが」

つとめて申し訳なさそうに微笑んで見せる。
ロストバージンしたての女性だから簡単かと思ったが、お嬢様は小さな顔を頑なに左右に振った。

「い・や。嫌」
「しかしネタもなく自慰なんて…。興奮しようがないのです!」
「…協力って例えば?」
「お嬢様の自慰を逆に見せてもらうとかが望ましいですね!」
「ハァ?なめてんの?」
「なめてないです。全然なめてないです」
「私こそそんなんやったことないからわからんぜよ。それに私がそういうことするためのオカズが必要になって無限ループになるよ」
「むむむ」
「なにがむむむだ!」
「仕方ありません妥協しましょう。服を脱いで私にキスしてセックスしてください」
「全然妥協してない!」

お嬢様も頑固な人だ。
可愛らしい見た目に反して、なかなか奥ゆかしい。
そんなところも教え甲斐があって好ましいが…。

「私を信じてください」
「バレてるんだよ。その曇りのない瞳の向こうにはどうしようもないことを考えているってことをな」
「まさか」にこり
「そのイラつく笑顔やめろ!」
「脱ーげ、脱ーげ、ですよ?」
「脱がない」
「だったらできません。さぁセックスしましょう」
「もー!つべこべ言わずに早く機械つけなよ」
「はいはい…」

首の後ろに手を回してコードを取り付ける。
お嬢様はどこか期待を孕んだ眼差しを私の体に向けた。

「ふぅ…。あとはお嬢様が服を脱ぐだけです。もうこの際上半身だけでもいいです」
「やだ。嫌です」
「うーんではお嬢様、キスしてください」
「しつこいなぁ!」
「じゃあ私からキスは、駄目ですか?」
「わぁ!ち、ちかよるな…!」
「ほっぺたですよ?」
「ほっぺた…」
「外国人の挨拶のようなキスです!如何でしょう」
「わかった、それくらいならいいよ」ドキドキ
「では…」
「あ!わ、…っ!」

お嬢様の体を引き寄せて、ほっぺた…と見せかけて、首筋にキスをした。
跡が残るくらいに、きつく吸い上げて、舐める。

「ちょっと、ほっぺたじゃないの!?」
「すみませんお嬢様。ほっぺたと言いましたが、あれは嘘です」
「えっ、ぁう!」

お嬢様の体を抱き寄せて、自分の胸にお嬢様の胸の感触を感じさせる。
平均よりすこし大きめのサイズだな、などと普遍的なことを思いながらも、自分のものを取り出した。

「わっ、あ、舐めないでよ!」
「舐めるの、好きです。それに、得意ですよ」
「ひゃっ、くすぐった、わ、ぁ…っ」
「じゃあ自慰しますんで、お嬢様は私の腕の中にいてくださいね」
「え、見たいって話だったのに」
「恥ずかしいじゃないですか」
「嘘をつけ、嘘を」
「あは、ばれましたか?……ッ」

女性の肌の感触で、反応してしまうくらいは感度が良い仕様のこの体なので、終わらそうと思えば早く終わらせれるだろう。けれどそうするのはあまり”おいしく”ない。
お嬢様に早漏と勘違いされないことを祈って、手のひらでそれを包み込んだ。

「…ッ…はぁ、…」


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