ブラックお屋敷 | ナノ




2 使用人長

 
*使用人長南郷のレッスン


『では復唱なさい』

南郷はホワイトボードを裏返して、今まで書いた内容を隠した。使用人部屋で手取り足取り、この家での立ち振舞いをチカに教え込んでいるのだ。

オブジェを壊してこの屋敷で働くことになり母親が来て帰ってそして今…いろんな事がありすぎてチカの頭はキャパオーバーしそうだ。

「は、はい、

長男のワタル様は、年齢は32才、AB型、常磐財閥にて課長をなさっております。七時に起床され、二時に就寝なさいます。黒いセンター分けと鋭い眼差しが特徴的…でございます。

次男の…」

『待ちなさい』
「ハ、ハイッ」
『体位は』
「あ、はい…
ワタル様の…す、好きな体位、は…き、キジョウイ…です」
『よろしい、忘れないことです…次忘れたら』スッ
「ヒィッ」
『手をあげますよ』
「ヒー」
『続けて』
「(クソハゲの癖に…)

次男のサトル様は22才、A型。H大学薬学部の三回生です。この屋敷の中で一番背が高いのでお目立ちになります。六時起床、十一時就寝。サトル様の夜のお世話は要りません。

三男のミノル様は17才、B型。私と同じA高校の二年生です(クラス違い)。八時起床、三時就寝。爽やかな見た目で非常におもてになられます。唯一髪を明るい茶髪に染めていらっしゃいます。体位は…バックを好まれます。

い、以上です」
『よろしい…では最後に私のことも教えてもらいましょうか。覚えていますか』
「はい…

使用人長南郷さん、29才、o型。現在ワタル様の担当と使用人を総括するお仕事をなさっています。大学在学中からこちらで働いておられます。黒髪をオールバックにしてらっしゃいます(ハゲ)」

『まぁいいでしょう』バチーン
「ギャー!何で叩くんですかっ!」
『私は、ハゲテマセンカラ、ね!』
「うっ…」
『さて…大体のことはお教えしましたが…最後は、何かわかりますか?』
「何ですか?」
『何故私があなたに体位のお話をしたかで想像なさい』
「え…」

『あなたには夜のお世話をしてもらいます』

「うええええ!?!?」

南郷はみっともない声を出すチカに呆れた顔でため息をついた。

『当たり前でしょうが。あなたの頑張りひとつで20年の拘束時間が減るかもしれませんよ』
「わわわわ、わたし、お嫁にいくまでは、そんな、」
『そんな悠長な事が言ってられるとお思いですか』
「ううう…」
『なんにせよあなたには借金があります。それも莫大なね。頑張って覚えなさい、拒否権は…わかりますよね』
「くう(クソハゲネ)」
『…』ギロリ
「スミマセン!」
『次はひっぱたきますよ…』
「スミマセンスミマセン」
『まったく…ところであなたはショジョですか?』
「どっちに見えます?」
『…』スパーン
「顔はやめてください!」
『下らないことを言うのは禁止です』
「はい、…しょ、じょ、です」
『でしょうね』
「なっ(シツレーナ!)」
『じゃ、取り敢えず一発やりますか』
「ん?」
『ん?じゃないですよ、アホみたいな顔して』
「アホじゃないですけど」
『はぁ…そこに横たわってください』
「はい。…?」

セミダブルのベッドに言われた通り横たわるチカ。それを背に急に南郷がジャケットを脱ぎ出すのでピンと来た。

「使用人長?まさか…」
『南郷さんと呼びなさい』
「いや呼び方とかどうでもいいんで、なんで脱いでるんですか」
『あなたもそのメイド服脱ぎなさい』
「えっ…嫌……」
『へぇ、脱がされたいですか』

ギシッ

「!!」
『目を瞑って』
「えっ、あっ、わ、わたし、心の準備、が…ぁ、…んぅっ」

唇が重なって、やっと状況を飲み込めた。

「―ぁ、ふ……っ」
『体強張りすぎですよ』
「ぅ、だって…、んんっ!…は…ん…」
『はぁ…これから山ほどやるというのに、先が思いやられます』
「ぁ……」
『さて、』
どさりっ
『よいしょ』
「わっ」

シーツに押し倒したチカの体の下に手を入れて、メイド服の後ろのチャックを下げる。

「あわ…!」
『チカ、17歳。スタイルは、まぁフツー…。胸はDですか、スタイルはBですけどこれはB+の評価です。ですが…ちょっと痩せなさい』
「大きなお世話です…!」
『袖、取りますから協力なさい』
「は、はいっ…」
『…』

―ギュウ
白い手袋を取って、南郷の手が胸を掴む。その雑さにチカは身じろぎをした。

「んっ、―ぃ、た……っ」
『胸の…触り心地はAですね』
―グニャッ
「痛い、です、南郷さんっ」
『おや、失礼』
―さすり
「っ…」ジンジン
『ですが』
―ギュッ
「ぁっ!」
『…』
―サスサス
「ぅ、あ…」ジンジン
『痛くしてからってのも悪くないでしょう』
「わわわ…」
『どうです?』
―むにゅむにゅ
「わ、かりませ…ん…っ」
『そうですか、残念です』
「ふっ……」ビクンッ
『フム』
「んっ…ぁ…は…ぁう」
『…あの、』
「――はっ…ぁ、…ハィ」

南郷が手を動かしたまま、チカを訝しげに見下ろした。

『本当にショジョですか?にしては…感度がいい……』
「ん…は……ぁっ」
『あるいは……』
「……」カアアアア
『成る程、自分でやるご趣味がおありで』
「んぁ…っ」



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