セーショリブ | ナノ




2


梓さんの背中をさする。
冊子にはそうやって撫でるところから始めるべきと書いてある。
梓さんの背中はとても華奢で、強くすれば折れてしまいそうに思えた。

暫くさすっていると梓さんが退屈そうにこっちを見た。

「岳くん、ねちゃいそうだよ。緊張してるの?」
「え、あ、じゃあ」

マニュアル通りに僕が取り出したのはいわゆる、電動マッサージ器である。
気分が盛り上がったら使いましょうと書いてあるが…。

「こいつを使いましょう」

電源の入ったマッサージ器を腰の辺りでゆっくりと旋回させてやる。

「くすぐったいよ」
「(マニュアル通りに聞かないと…)どこをやってほしいですか?」
「…んー任せる」
「わかりました…仰向けになってください」
「はーい」
「…目が合うと恥ずかしいですね」
「…うん」
「目隠ししますか」
「うん?」

梓さんの返事を待たずネクタイを外す。
視界を奪ってやると緊張したのかちょっと体が固くなった。
ついでに手足も道具箱にあった手錠でベッドに拘束した。
すべてこの冊子に記載されている内容だが部長は変態だということが発覚した。

「わぁ、岳くん、こわいよ〜」
「お任せされたので」
「んー、手錠って冷たいね」
「では」

梓さんの豊満な胸がマッサージ器の先によってグニャリと形が変わる。
左手は腰や太ももを優しく触れるだけがいいと言う。
…冊子を見れば見るほど、僕の今までの性生活はきわめてシンプルなものだと思った。

「ん、ん…」
「どうですか?こんなかんじでいいですか?」
「っは……うん……」

マッサージ器が角度を変えるたび、びくん、と体が反応していく。
どうやらうまくいっているみたいだ。
呼吸が徐々に早くなり、もじもじと太ももを擦りあわせるので、僕はいけないことをしている気分になる。

「っふ……ん……っ」

押し殺した声が続いている場合は、
「声、我慢しなくていいですよ」と言うべきらしい。

「我慢なんて、してな……ああっ!」

声を掛けたあと、返事をする時を狙ってマッサージ器を乳頭に当てるべき…らしい。

「あぅぅ…」
「下着とりましょうか」
「ぁ……」

これまたマニュアル通りにスカートにインしていたシャツを捲って、上半身を浮かしてもらうと、背中の方へ手を伸ばした。
下着をめくり上げてまた手を戻す。
直にシャツに触れた胸の先はピンと布を持ち上げていた。

…冊子には、手でそれを鷲掴みにしろという。
おそるおそる手を伸ばした。
そして徐に梓さんの胸を揉むと、

「ぁうっ!」
「あっ、痛かったですか?」
「ゃ、そうじゃ、なくて…ぁん…そこ、弱くて…」
「こうですか?」
「っあ!ぁっ、…っは、あ、あん、ゃあ…っ!」

片方はマッサージ器を、もう片方は手を使ってやる。
すると声を押し殺すのも忘れてひっきりなしに甘い喘ぎが聞こえてくる。
そんな、こんなにすぐこんなに感じるなんて、僕の経験上例がないことだった。

マニュアルに目をやれば次はマッサージ器を下に下ろしていくといいらしい。
徐々に徐々に腹を伝って黒のスカートの上まで来た。
太ももや股の回りを軽く経由してから短いスカートをたくしあげる…。
見た目通りのかわいらしい下着の染みを確認してまた冊子を見る。

「ぁ、みるの、だめ…」
「これ、どうしたんですか」
「岳くんがぁ…あっ!あん!ぁーっ…!」

……指で…下着の上からつついたり、かき混ぜたり。

「…っは、ふぅ、ふ…っ…あ、それぇっ音、立てな……」
「だって梓さん、すごく濡れているのが悪いんですよ」

梓さんが一際大きな声を出す場所を重点的に攻める。
さらにそこにマッサージ器を当てる。

「…ゃ、あ、それ、だめ、岳、くん…!まってぇ…」
「やめた方がいいですか?」
「っあん、…はぁ、ぁう、いいからぁ、はやく」
「はやく?」
「どけてないと、いっちゃ…ぁう…」
「え?」
「あぁっ、やめてっていってる、のにぃ…っあ!ゃ…はぁ、ぁん!」

部長の言う通りにどけてといわれてもマッサージ器ははなさない。するとがくがくと腰が揺れてきて、すごく感じているみたいだった。

「ゃ、ひぁ…っ、ぞくぞくって…、岳くん、ゃだぁ、っふ、い、いく」
「どうぞ」
「…ぁ、ひゃあああっ…!!!!!」
「わ」
「っ…、ふぇ……」

ベッドの上で梓さんが絶頂を迎えたらしい。
ぐったりとしているのでとりあえず頭を撫でてやる。

これでやっと終わりだろうか、普段の仕事より疲れるなぁ…なんて思いながらマニュアルを読む。

『俺の経験からするとそうなればあとは君の好きなようにされるのを女性は待っています!』

え、部長、それ、本当でしょうか。
僕絶対そんなことないと思うんです。

「梓さん、いかがだったでしょうか?」
「はふ…よかったけど、ひどいよぉ」
「それはそれは…手錠とりますね」

目隠しと手錠をとる。
息を整える梓さんの姿をじっと見る…んな状態を見る日が来るなんて…思ってもみなかった。
ちょっと泣いてしまったようで目が赤く潤んでいる。
あの梓さんもそんな誘うような顔をするなんて、意外だった。

「…どうでしょうか、性処理、できましたか?」
「んん……仕返ししてやる」
「わ、ちょっと!」
「岳くんはセーショリまだみたいだね」

梓さんの小さな手が僕のが持ち上げていたスラックスをぎゅうって握った。


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