Nov3 18:25

現在より五分時空のずれた地球。国連軍の支配を受けながら、反帝国主義を掲げる戦闘的小国家としてアンダーグラウンドで生まれた新しい日本。本土に駐留する国連軍相手に徹底抗戦を挑むアンダーグラウンドは、ある作戦を実行しようとしていた。九州東南部にあるリゾートコンプレックス「ビッグ・バン」で発生した感染症の発生源たる、非国民村の抹消である。驚異の致死率を示す「ヒュウガ・ウイルス」が象徴するもの、ロシアンマンボを踊る人類に下される最後の審判とは――



「五分後の世界」、続編ってよりは、同じセカイのお話。相変わらずの、アンダーグラウンドの冷たくてシンプルで完結した雰囲気。かっこいい。これを読むと今の日本の民放なんかに映る人間の顔がさらに醜悪に見えるから厭。
龍のお話は言いたいことがものすごくはっきりしてる。「ヒュウガ・ウイルス」で言いたいのは「おまえらちゃんと危機感持って生きてるか?」ってことだと思う。その「言い方」がすごい。パラレルワールドおっ立ててそのセカイの日本の歴史まで紡いで、その舞台でほんとうに大事なことってのは何かとか“外”へプライドを示すこととか「恥」とか兵士のかっこよさとか、呑み込まれそうな情報量といっしょにものすごい勢いで浴びせてきてあたしは溺れそうになって、でも最後に手のひらに掴むのは必ず龍のいちばん言いたいコトバになってる。ほんとうに言いたいことがあって小説を書いてるんだろうな。
印象に残ってて、すきなシーンがある。レイがUGは嫌いって言うシーン、「五分後の世界」でもそれまでの「ヒュウガ・ウイルス」でも、アンダーグラウンドは殺人マシーンと畏怖されながらも尊敬されてた。アンダーグラウンドをはっきり嫌いだなんて言ったのはレイだけだ。ロックの街・ファーイーストコロニアルで「歌が死に絶えた時代にどの国よりも早く適応したからUGが嫌い」って、面と向かって言えるって、60も過ぎたババアなのにめちゃくちゃかっこいい。

圧倒的な危機感を、エネルギーに変えておまえは生きているか?

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