桃井side



はぁ…、と大きな溜め息を吐きながら幼なじみがいるであろうコンビニへと歩く。
大ちゃんの馬鹿ーっと心の中で叫ぶ私は悪く無いはずだ。

桃井の幼なじみ、青峰大輝はバスケ馬鹿であり、大の巨乳好きだ。
お気に入りは堀北マイちゃん。
中学の時から好きだったけど、夏祭りに行ってから益々マイちゃんに拘っていた気がする。

……っていうのはどうでもよくて、私はコンビニにいて堀北マイちゃん写真集を買っているであろう大ちゃんを探しに来たのだ。




が。


「ありがとうございましたー」

「…」


店員の声を聞きながらコンビニを後にする。
隣には誰もいない。

そんな私の手にはスポーツドリンク。
コンビニに入ったにも関わらず、何も買わないのはいけないような気がして、必要も無いのに買ってしまったのだ。


しかし、本来の目的であった大ちゃんはいない。


もうっ、おばさんと大ちゃんを連れてくるって約束したのにーっ!!


珍しく部活が休みである今日、大ちゃんを探していたのは、偶然出会ったおばさんの頼みがあったからである。
何でも、久しぶりにお昼を一緒に食べられるから、腕によりをかけて大ちゃんの好物をつくるらしい。
そこで、きっと外食で済まそうとする大ちゃんを無理矢理でもいいから連れてきてほしいと頼まれたのだ。

昔から何かと世話になっているおばさんの頼みを断ることなどできるはずもなく、大ちゃんを探しだしたというわけだが。


「…み、みつからない」

見つかる気配がまるで無かった。


とうとう歩き疲れた私は人気のない公園のベンチに座る。
もう限界だ。足が動かない。
しんどい。疲れた。

何気なく空を見上げると、見ているだけで私の残り少ない体力を奪いそうな晴天が私を見下ろしていた。
それに、無意識のうちに眉間に皺を寄せる。
紫外線は乙女の肌に天敵だ。
忌々しいことこの上ない。

大好きなあの人のために可愛くありたい私にとって、この天候は少し嫌いだ。
とはいいつつ、雨が降れば登下校中に濡れるから嫌いだし、曇りは晴れの日より紫外線が強いから嫌いだ。
とどのつまり、好きな天気などその時の気分によって変わってしまうどうでもいいものなのだ。


紫外線から逃げるために顔を俯かせる。
長い桃色の髪を影にすれば、少しは紫外線を避けられるだろうと考えて。

そしてその途中、桃井の目に大好きな彼の髪と同じ色をしたものが目に入った。
無意識に叫ぶ。


「…テツ君!?」

大好きな、片思い中の彼の名を。

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