先ほどと同じように、小枝がちょこちょこと寄ってくる。今度は咲乃と沙夕里も同じようにやってきた。番号の確認だろう。
 その場の流れというやつで、わたしは三人に自分の番号の書かれた紙を見せた。

「1番かー、わたし3番だから違うグループだよ」
「えっ、嘘。あんた3なの?」
「小枝ちゃんと咲乃ちゃんは同じグループなのね。私、4番」
「そっか、沙夕里とも違うんだ。他に3番の人って誰がいるかな?」

 小枝と咲乃が3番、沙夕里は4番、わたしは1番。なるほど、おかしくない振り分けだ。

 そこへやってきたのがいつもの男子三人組。今日は癖毛くんが欠席なので三人組。前髪くんと小人くんと、葉山楓。

「俺が4で楓が2、簸川が1だったんだけど」

 あまり興味はなかったが、いざ聞いてみると、同じグループの相手というのは意識するものだ。ほう、小人くんか。
 まるで小動物のような彼と目が合うと、パッとそらされた。こういうところは素早いらしい。ますます小動物に似ていると思った。

「わたしと咲乃が3番でね、沙夕里がハルと一緒の4番、そしてことりは1番です! 残念だったね、楓くん」
「まだまだっ! 聖、オレのと番号交換しようぜ!」
「えっ」
「こら、楓」
「ハルは固いんだよー!」
「それじゃくじの意味ないだろ」

 攻防を続ける男子グループは放っておいて、わたしは不意に浮かんだ疑問を口にしてみた。

「癖毛く……えーと、沙夕里の彼氏さん、は、どうするの?」

 そのとき、前髪くんが目を見開いたのが印象的だったのだが、何をそんなに驚いているのだろう。小枝と咲乃ははっとしている。
 そんな中、まったくと言っていいほど表情が変わらなかったのが沙夕里だ。穏やかに微笑みながら「大丈夫」と答えた。

「わたしが聞いてきてるから」

 それから、はっとしていた咲乃がわざとらしく眉を潜め、びしっと沙夕里を指差した。

「『沙夕里と一緒なら何でもいい』でしょ」
「咲乃ちゃん、すごい」
「当たるとかありえない」

 ……言いそうだ。

「邑弥くんは沙夕里のこと大好きだもんねえ。どうするの?」

 小枝がのんびりと尋ねる。

「もちろん、そんなことできないから、先生の作ったくじで残った数字のグループに入ってもらおうかと思ってたんだけど」

 沙夕里の言葉は逆接で切れた。雰囲気からして、その場にいた大多数がその「残った数字」を想像できたことだろう。

「もしかして、4?」

 前髪くんの問いに対して、沙夕里は申し訳なさそうにうなずいた。

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