蛇と対峙していたスティーブンたち四人は、ガスで顔をいくらか焼いていた。首や手が赤くやけどしたようになっていて、酷いところは皮が剥がれかけてただれていた。どんなガスかわからないからとにかく水で流して首元はずぶ濡れになっている。ガーゼが触れるだけで痛いのか、手当てをされながら眉をよせていた。
 フランクが、集合したレオナルドにいきなり飛びかかってきた。なんだか大げさに興奮している。
「ジュニア! お前最高だよ!」
 驚いて固まってると、ノーマンまでさらに飛びついて来た。筋肉質の男二人を支えきれずにの入口で盛大に尻もちを突く。
「ぎゃ! ちょっと!」
「今晩部屋に来いよジュニア!」
「今晩なら俺もまざりたい! 抱いてくれジュニア〜」
「嫌です! 離して! 誰か!」
 スティーブンさん! と助けを求めると、彼は笑った。たちまわった後だからか、すっきりとしているものの疲れた顔をしている。
「正体不明のやつがでてくると、よく死人がでるんだ。今回もちょっとやばかった。お前のおかげだよ」
「僕何もしてません」
「いや、ガスはヤバかった」
 ロイド達も、それに口々に同意した。体は焼けたものの、レオナルドのかけ声がなかったら目と気道までやられていた。視界がふさがれ息ができないところを尾でやられたら、皆が死んでいたところだ。
 少しオーバーに四人が話すものだから、フランクが感極まってレオナルドに頬ずりまでしはじめる。一緒に抱きついてるノーマンの方はそれを楽しんでからかってるだけだ。
 ダンは少し離れたところにいたが、おもむろに口を開いた。
「アドルフは?」
「そのうち来るんじゃないか?」
「俺とジュニアは一応全員が帰り始めたのは見届けたし、一番最後のつもりだったんだけど」
 レオナルドにひっついていたフランクがいつもアドルフとバディになっている。フランクはロイドとスティーブンに見られて頬をかいた。
「最近は気をつけてたんだけど、蛇がでてからとにかく合流しようと思ってて……ごめん」
「いや」
 手当てを終わらせたスティーブンが立ちあがった
「しばらく待ってみよう。無線はもってるはずだから、困ったら連絡してくるはずだ。いつものことだよ」
 正直、この時は全員が疲れていた。怪我の手当てを受けている四人はもちろん、戦いに参加しなかった他のメンバーたちも、仲間のもとに現れた蛇に強い緊張を強いられていた。これで何度目かになるアドルフの単独行動に、呆れた気持ちもある。
 ただ一人違和感を訴えたダンも、深く追求しようとしなかった。ネズミのグール達は蛇が飲みこみ、その蛇は既に殺した。
 今は休みたいから後回しにしよう、口にはしなくてもそれが全員の総意だった。

 そしてアドルフは帰ってこなかった。

 日暮れになってようやく、数人が捜索隊のチームをくんだ。あたりをまわるが一向に見つからない。遠くにいるはずはない、と今度こそ誰かが口にした。
 そもそもグール退治のために、付近一帯は封鎖され隔離されている。
「包囲網を抜けちゃった、ってことはないんですか?」
 レオナルドの素朴な疑問に、全員が首を振った。フランクが困ったように教えてくれる。
「ただの封鎖じゃないよ。この近辺には結界が張られてるんだ」
「えっ」
「ジュニアもスティーブンの血凍道を見たならわかるだろ? 呪術っていう特殊な方法を使ってるの、生身じゃどうしようもない」
 出ようとしても、出られるはずがない。解除されるまでは、外から入ることもできなければ中から出ることもできない。
 だから、すでに結界を張り終えたあとになって見つかったレオナルドを、彼らは街の外に避難させることができなかった。
 レオナルドは呪術には素人だ。単純に頭を傾げた。
「その結界って壊れたりしないんですか?」
「呪術は呪術でしか壊れない。どっかから変な力が加わったりしない限り、まず誤作動なんてしないはずだけど」
「変な力、ですか」
 思わず口元に手をあてる。
 レオナルドはこの町に魔法陣で飛ばされた。呪術的な力で、外から中に。
「……あの、もしかしたら、僕のせいかも……しれません」
「なに馬鹿なこと言ってんだよ」
 ノーマンが笑い飛ばそうとするのを、ロイドが小突いた。
「僕、この町で逃げ遅れたわけじゃありません。記憶も別に、おかしなところないんです。僕はここに結界の外から来たんです」
 レオナルドは未来のことや、魔法陣を調べていたことは喋らずに、自分が魔法陣の突然の発動に巻き込まれた事。そのせいで遠くに飛ばされたこと。どうしたらいいかわからなくて黙っていたことを説明した。
 話すうちに、アドルフがこうしていなくなってしまったのは、どう考えても自分の責任のような気がしてきて、顔がうつむいてくる。きっと結界をやぶってしまったのだ。
「ごめんなさい……」
 もっと早くに話していれば、皆は不在に気づいた時点でアドルフを探しに行ったかもしれない。
 ロイドがレオナルドの肩に腕をまわした。厚みがあって、がっしりとついた黒く硬い腕だ。
「スティーブン、今日はお前のおかげで皆助かったよ」
 最初、レオナルドは反応ができなかった。みんなにジュニアとよばれ、スティーブンにだけ少年と呼ばれ、今やすっかりその呼び方に慣れてしまっていた。自分がスティーブンだなんて名乗ったことを忘れるくらい。
 だから、いくらか遅れてロイドを仰ぎ見た。彼はなぜか微笑んで、怒ってないことをアピールしていた。
「いきなりこんなとこにやってきて、よく頑張ったな。ほんと、お前にとっちゃ災難でも、俺達は運がよかった。だから気にするな」
 スティーブン、とロイドは隊長に判断を仰ぐ。スティーブンは少し迷ったようだったが、肩をすくめた。
「ひとまずこれ以上はアドルフの捜索はしない。気になることもあるし、明日外の術師に連絡をとって、一応結界の確認をしてもらおう。僕らは明日からは残党を探すぞ。今日はひとまずゆっくり休もう」
 勢いよくノーマンが手をあげて、叫ぶようにいつもの空気にもどした。
「隊長! 酒はいいですか!」
「聞かなくてもいつも飲んでるだろ」
「ちがうちがう! とっときのシャトー!」
 酒の名前で口笛が飛びかって、雰囲気がぐっと明るくなった。明日の予定の残党狩りも、念のための確認作業にすぎない。グール退治はほとんど終わったといえた。
「僕ももらうぞ! お前らだけで飲むなよ!」
 スティーブンも口調を崩して輪に加わり始める。
 その晩レオナルドの食事は、みんなの分を一口ずつ分けてもらっていた今までと違って、きちんと一人分を食べた。アドルフの分だ。
 赤ワインも注いでもらって、レオナルドは少し離れた隅の位置で食事をした。高い酒をあけたのもあって、まわりはドンチャンさわぎだった。レオナルドもカードゲームに誘われたが、ことわって、皆を眺めながらフォークで皿をつっつく。
 ノーマンの言っていたワインではなく、安くて半分に減ったワインを持って、スティーブンがおかわりを注ぎにきた。ありがたくもらうと、彼はいつかのように隣に腰掛けてボトルから直接飲みしはじめる。
「……傷は大丈夫ですか?」
「うん。まぁ変な毒をもってないといいな」
 会話が続かなくて、レオナルドはぎゅうとフォークをにぎりしめる。思えば、ライブラでもスティーブンとはあまり会話をしたことがない。
 スティーブンからはそれなりに声をかけられていたと思う。
 彼はけっこう部下の一人一人に目をかけていた気がする。でも食事や送迎を提案されても、気のおけないザップの方が楽で断わっていた。
 悪いことしてたなぁと今更反省している。帰ったら一度くらい誘いに頷いてみよう。
 話しかけようとする側になってみたら、すごく気を使う。
 結局、話をつないだのはスティーブンからだった。
「今日は本当助かったよ。ロイドも言ったけど、君がきてくれてよかった」
「そんな、僕なんて」
「いや、君は役に立つし、人柄もいい。みんなに好かれてるじゃないか」
「……よくわかんないです。だれだって今から一緒にすごさなきゃいけない相手なら、愛想よくするでしょ」
 スティーブンだって、はじめは上面の言葉でレオナルドとは一歩引いた接し方をしていたが、基本的には笑顔だったし何も言わなかった。
「僕いろいろ黙ってたし、ご飯だってみんなからわけて貰ってて」
「今日はネガティブだね」
「そりゃそうでしょ……僕のせいだ」
 ラッパ飲みしてたボトルなのに気にせずスティーブンはレオナルドのコップに更に継ぎ足してくる。溢れそうなくらいのワインに、レオナルドは慌てて口をつけた。
 スティーブンもまた流しこむ。
「違うなぁ。アドルフのことは隊長の僕の責任だよ」
「そんな!」
「なめられてたし、嫌われてたし、僕ってほんとトップに立つの向いてない」
 スティーブンが愚痴をいうところなんて初めてみて、レオナルドは思わず目を開きそうになった。他人に弱みを見せない人だと思っていた。
「きつく当たりすぎてたかなぁ。それとも甘すぎた? 統制だってとれてないし、さっきだってロイドに怒られた」
 あいつが僕の前の隊長だったんだ、と補足が入る。体面があるから人前ではやらないけど、時々指導や助言をもらっているという。
 彼のこんな姿は本当に意外だ。思えば、今の彼はレオナルドと二つしか歳が違わないのだ。
 それにしたって今日は距離が近い。
「……酔ってますね?」
「そりゃあね。あーやだやだ」
 そういってまたワインを煽る。レオナルドの所にくるまで一体どのくらい飲んできたんだろう。
「今日はブライアンの前にとびでたのが、ダメだって。指揮官だから守られてないといけないんだって。僕はそうじゃないんだよ、そうじゃなくてさ。僕は刃になりたいんだ。硬くて、鋭くて、かっこいいやつがいい。刃ってのは、体の前に構えるものだろ?」
「そういうリーダー、僕は好きですよ」
 クラウスは、ライブラのリーダーだけど、一番前線に出てる。スティーブンがそうだっていいと思う。
 スティーブンはまた酒をのんでクククと笑った。少し機嫌が上むいたようだった。浮き沈みが激しいなぁとレオナルドもグラスを飲みほした。スティーブンに注いでもらう。一緒に酔ってしまいたい気分だった。
「少年は話しやすいなぁ。部下じゃないからかな」
「そうっすね。部下じゃないですもんね」
 今限定だけど。
「君の前じゃ隊長じゃないもんな」
「そうそう」
 スティーブンの体が、少しレオナルドに寄って傾いた。顔が前のめりになって近くなる。
「下に兄弟がいるんじゃないか?」
「わかります?」
「うん。フランクが気に入るわけだなぁ」
「フランクさん?」
 今晩部屋にきて、と二度言った彼には、たしかに今日オーバーに抱きつかれたが、別に特別好かれてるとも思わない。ベッドに誘ったわりにはべたべたひっついてきたりもしないし、彼はブライアンとばかりよく一緒にいる。もちろん日ごろは口説かれたりしない。
「あいつの夜の誘いってのは、一種の登竜門でさ、仲間って認められなきゃ誘われないんだ」
「えっなんすかその裏事情」
「全員一度は誘われてるよ。まぁ受けたり受けなかったりはするけど。誰かが死んだ夜ってのは人肌が恋しくなるものでね」
 フランクは特にそのあたりが弱い。勝利した日にだってわかちあいたくて誰かを誘う。
「それでフランクが誘えば、他の連中もそいつを仲間として扱うんだ。自然とね」
 フランク個人はあまり人を巻き込む方ではない。中心にいて周りを動かすのはノーマンだ。フランクはそんなつもりで誘ってるわけじゃないだろう。フランクのお相手≠ノ登竜門だの仲間認定だの、勝手に意味をつけているのは周囲の方だ。
「フランクはけっこう人望あるだろ。あいつ、いいやつだから」
「スティーブンさんも誘われたんですか」
「誘われたけど、そのときフランクの鼻折っちゃったんだ」
「蹴ったんですか!」
「殴ったんだ。僕をそういう目でみるな! ってガツン。足じゃなかっただけ手加減はしてるだろ?」
 それでも鼻を折ってるんだから、それなりにヒットポイントがつくような殴り方をしたのだろう。
 手加減って言葉をつかっていても、まったく手加減になってない。
「誘われるまで時間かかったのになぁ。せっかく誘ってもらったのになぁ」
「スティーブンさんって……」
「いやいや、間違っても男とそういう関係になる気は全然ないぞ」
 男を抱く趣味はないし、抱かれるのはもっといやだとスティーブンは言う。
 でもフランクがベッドに誘うのは、彼の欲望じゃなくて好意の表れだ。とくに彼のプラス感情には周りも肯定的になる。
 受ける気はないが、誘われるのはまんざらでもない。誰かに好かれるのは気持ちがいい。
 そんなわがままなスティーブンの主張にレオナルドは苦笑した。
「スティーブンさん、今晩僕と一発ファックしませんか」
「ノーサンキュー。お気づかいどうも」
 棒読みでかわす口説き文句がバカバカしい。
 酔い潰れる寸前で、スティーブンはレオナルドを放置して腕相撲大会をしてるカルロスたちのところに混ざりに行った。酒のせいもあるだろうけど、彼は腕力はあまり強くないようで、負けては口をへの字にしていた。
 レオナルドも飲みすぎたと自覚するころには、どんちゃん騒ぎも静まり始めて、ぱらぱらと人が減り始めていた。フランクは今日もブライアンと上へのぼっていき、レオナルドは――ダンと部屋に行った。



 レオナルドに与えられた一室で、二人して学生のようにベッドに座っていた。頭を振ると、酒がくわんと響く。
 レオナルドは、酔いに勢いをゆだねて最初から全部をダンに話した。
「僕、本当の名前はレオナルド・ウォッチっていうんです。九年後の未来から飛んできました」
 それなりに長い話になった。どう喋ったってSF映画みたいな話を、ダンは半信半疑の顔をしながらも、否定はせずに聞いてくれた。
 紐育が崩壊すること、構築されたヘルサレムズ・ロット、それによって異界の存在があきらかになったこと。レオナルドの義眼。妹のミシェーラ。そしてライブラ。
 特にライブラに入ってからのくだりはドラマの主人公みたいなオーバーな話だったものだから、そのうちダンは興味津々に耳を傾けてくれていた。
「僕、秘密結社のライブラには、最初から接触したかったんです」
「秘密結社なのに素人が知ってるくらい有名なの? 大丈夫なのか?」
「うーん、言われてみれば」
 ライブラは牙狩りが母体になっていて、リーダーのクラウス、副官のスティーブン、戦闘員のザップとツェッドは斗流血法を使う、人狼のチェイン、スナイパーのKK。
「斗流血法!? 幻の二重属性じゃないか!」
「そうなんすか?」
「そうだよ。てことは斗は結局二つの属性を二人の後継者に分けたのか。どっかの奥地に銀髪で炎使いのクソガキが出没してるって噂があるけど、そいつだったのかな」
 そいつだ。たぶんザップだろう。
「人狼ってのはきいたことない。KKなら何度か任務で一緒になったよ。彼女は今産休とってる」
 けっこう共通項が転がっているものだ。ダンはクラウスのことも知っていた。
「ラインヘルツっていったらブレングリード流だ。末っ子がエイブラムスさんの弟子になってるとは聞いてるけど」
「その人です」
「あのエイブラムスさんの側に長期でいて、被害らしい被害にあってないんだから、神のご加護でもあるんじゃないかっていう」
「…………その人です」
 たしかに神に愛されてたっておかしくないような人だとは思う。
 ダンは人脈を広く持っていて、噂話程度でも牙狩りに関係している人間はわかるようだった。もしかしてパトリックもいるんじゃないかと言われた時にはびっくりした。
「ライブラのことは絶対内緒にしといてください。九年も前に秘密を喋っちゃったなんて」
「九年って結構あるね。俺は三十四になっちゃってるよ」
 そのときまで彼が十代みたいに童顔だったらどうしようとレオナルドはちらりと思った。
「俺絶対どっかにいるね。スティーブンがそんな面白そうなことやってたら絶対ついてく」
 ダンは何度もスティーブンのことをすごいやつだと言った。
 頭がまわって、体術が強くて、血法も使い勝手がいい。
「あいつの初任務は圧倒的だった。ロイドと二人で大興奮さ」
 そこから先はレオナルドの話ではなくスティーブンの話だった。二十四歳の今よりもっと若い十代の頃の失敗談や成功談をダンは嬉しそうに語った。ついさっきスティーブンからきいたフランクのくだりもあった。
 どうも殴ってから彼はフランクに大層怯えられているらしい。
「もうほんっと、かわいいだろ」
「かわいいんですか」
「あいつは最高にかっこよくて、ダメな所がかわいい後輩さ」
 ライブラでスティーブンより年上はギルベルトくらいだが、彼はクラウスの執事なので、クラウスよりも年上のスティーブンを甘やかすようなことはあまりない。でもダンにとってはスティーブンがそういう対象なのだろう。
「なぁ、ジュニア、スティーブンのために義眼をつかってくれないか」
「……もちろん、スティーブンさんのために義眼を使います。でも教えたくありません」
 彼にひとつ自分のことを教えてしまうと、何かがダメになってしまうような気がするのだ。つまるところレオナルドは、義眼を秘密にしたいと言うよりも、未来で関わりがある自分をスティーブンから隠したい。
 きっと、今なら未来を変えられるだろう。
 諱名の秘密を隠し、スティーブンにレオナルドが義眼をもたないようにしてもらう。たぶん彼はやってくれるだろう。それは今でも魅力的な可能性だ。レオナルドの罪をなかったことにできる。
 でもスティーブンを騙して義眼を手離せば、レオナルドはクラウスに二度と顔向けができなくなる。会える、会えないではない。ザップを騙すようにライブラに足を踏み入れたあの日、クラウスはレオナルドを卑怯者ではないと言ってくれたのに、今度こそ本物の卑怯者になってしまう気がした。
 そんな未来より、ライブラのみんなには何も知らないまま、またレオナルドと会ってほしい。
 そのためにはレオナルドのことを一つでも教えたらダメなのだ。
「ダメかぁ」
「……すみません。僕、思ってたよりライブラのみんなが好きみたいです」
「思ってたより?」
「へへへ、妹と天秤にかけて、つりあっちゃうなんて」
 それに気づいてしまったことは、レオナルドの世界を崩壊させて積み木のように組みなおす衝撃だった。
 今やレオナルドのミシェーラだけの世界は、ライブラと入り乱れておもしろおかしく、一夜にしてヘルサレムズ・ロットになった。
 ダンはレオナルドの髪の毛をかきまわして、もうそれ以上は義眼を使えとは言わなかった。
「スティーブンに言えなくても、困ったらロイドに相談するんだよ」
 ダンは出ていくときに鍵をかけなかった。
 その日から、レオナルドの部屋に鍵がかけられることはなくなった。


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