憂愁の恋
2話
何よりも、多分余計に相手を好きなのは自分の方だという苦い自覚が、雨竜の行動にどうしてもブレーキを掛けさせてしまう。


一護には、雨竜以外にも傍にいてくれる人は沢山いる。


死神の力を与えたルキア、一途に慕う織姫、固い友情で結ばれたチャド。


その他にもクラスメイトや尸魂界の死神達が、彼の周囲に自然と集まって来るのだ。


だが、自分には一護しかいない。


彼に代わる存在など、何もない。


思う強さと思われる強さ。


その落差が……時に耐え切れないほど、雨竜には痛かった。


心を開いて全てを受け渡して、けれどその先に別れがあったなんて惨めな事になったら、絶対に自分は立ち直れないだろう。


一護には大勢の中の一人でも、雨竜にとって彼はたった一人の存在だったから。


きっと耐えられない。


これ以上、好きになりたくない。


もう手遅れかもしれないけれど。


それでも出来る事なら、今以上に一護と深い関係になりたくなかった。

2/11ページ

[ 前 へ ][ 次 へ ]

[ 目 次 へ ]

[TOPへ]






×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -