憂愁の恋
2話
何よりも、多分余計に相手を好きなのは自分の方だという苦い自覚が、雨竜の行動にどうしてもブレーキを掛けさせてしまう。
一護には、雨竜以外にも傍にいてくれる人は沢山いる。
死神の力を与えたルキア、一途に慕う織姫、固い友情で結ばれたチャド。
その他にもクラスメイトや尸魂界の死神達が、彼の周囲に自然と集まって来るのだ。
だが、自分には一護しかいない。
彼に代わる存在など、何もない。
思う強さと思われる強さ。
その落差が……時に耐え切れないほど、雨竜には痛かった。
心を開いて全てを受け渡して、けれどその先に別れがあったなんて惨めな事になったら、絶対に自分は立ち直れないだろう。
一護には大勢の中の一人でも、雨竜にとって彼はたった一人の存在だったから。
きっと耐えられない。
これ以上、好きになりたくない。
もう手遅れかもしれないけれど。
それでも出来る事なら、今以上に一護と深い関係になりたくなかった。
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