ぼくたちは恋しあう
5話
飾り気のない一護の言葉が、切なく雨竜の胸を震わせて。
掠め取るかのような口付けと熱を孕んだ微笑みに、バクバクと早鐘を打つ心臓。
彼の近くにいるだけで、何もかもか熱くて堪らない。
意識のしすぎだとは、理解しているのだが。
恥ずかしくて恥ずかしくて、とてもくっついて座っているなんて出来そうにない。
思わず一護の腕を振り解くと、さっと立ち上がった。
だが、足早に逃げ出そうとした雨竜は、強い腕に阻まれて、ベンチへと半ば強制的に引き摺り戻された。
「黒崎……!」
上げた苦情は無視された。
「何で逃げるんだよ」
「…………別に」
両腕で雨竜の身体を背もたれとの間に囲ったまま、なんでだよーと拗ねる男に、上手い言い訳が見つからない。
「別に、じゃねぇだろ。…俺といるのがイヤなのか?」
「………そうじゃない」
「じやあ何で逃げんだよ?」
「………逃げてない」
まさか一護の一挙一動にワタワタしていたなんて、そんな恥ずかしい事は、流石に言えない。
好きすぎて意識しまくってるなんて、本人に言えるわけがない。
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