ぼくたちは恋しあう
6話
誤魔化すように、ずれてもいない眼鏡を神経質な仕草で直した。


目の前の男は雨竜を覗き込むと、その眉間に不機嫌そうな困ったような皺が刻まれた。


吐息がすぐにも触れ合いそうなほど顔を寄せられて、またしても頬に熱が上がる。


近過ぎる位置に、動悸がおさまらない。


そんな些細な事にすら反応してしまう己を半ば呪うように唇を噛んだ雨竜に、一護はふっと眉間の皺を解くと、宥めるように指先で赤く染まった唇を、つつ……と撫でた。


「ん……っ!」


零れ出る、可愛らしい声。


煽られるように、その鋭利なカーブを描く顎を指先で捕えた一護は、小鳥が啄む優しさで、己のそれを触れ合わせた。

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