口づけは甘く
2話
だから、どんなに顔ではしかめっ面をしていても、心の奥底では本当はもっとして欲しいと雨竜は思っている。


もちろん態度や、まして声に出してだなんて、絶対に言えないけれど。


とは言え、相手は意外と勘の良い男だから、とっくにばれている可能性はあった。


なんてったって雨竜の恋人は、気付いていないふりで彼をさらりと甘やかすのが、めちゃくちゃ上手いのだ。(ただし、うちのサイトの一護に限る……笑)


決して押し付けがましくない、愛情の押し売りではない優しさ。


そうやって、一護は雨竜の身も心も、その両腕で抱き締めようとする。


多分、言えずに呑み込んだ言葉の数だけ、欲しいだけ、自分にキスをしてくれるのも、だからなのだろうと思う。


人一倍寂しがりやなくせして甘え下手な自分に、変な気を遣わせないよう、一護の方が逆に配慮をしてくれているのだ。


「朝だぜ、石田……おはよう」


今日も、まだどこか昨夜の熱情の名残を引きずっているような甘い声と共に、雨竜は頬に挨拶代わりの軽いキスを受けた。


低血圧で非常に寝起きの悪い雨竜と違い、寝起きのいい一護は、既にばっちり覚醒状態になっているらしい。


促され、寝ぼけ眼のまま顔を上げれば、そっと啄むようなキスの雨が、ゆっくり顔中に降ってくる。


まるで羽根のようにふんわりと、額からこめかみを辿り、耳朶とその裏の柔らかい皮膚にも触れて、それからやっと薄く開かれた唇へ到達した。



※補足※愛し合った翌朝とゆ〜シチュエーションです。

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