Congratulations!! A
昼になり、いっそ馬鹿高い所に入ってやろうかとも思ったが(どこを選んでも良いとの事だったので)無難に小籠包が美味しいと評判の店で食事。
それから再び館内を見て回った。
地域、また日本初出店の店が幾つもあり、2人とも物珍しげな顔でそれらを眺めて、並んで歩く。
普段あまり表情を変えない雨竜の、驚いたり感心したり、可愛い物を見て微笑む顔が何とも可愛いらしくて。
見ているだけで幸せな気分になれた。一護だけでなく、周囲を歩く他の人々も。
始めは不満気な顔、その後は時折困ったような、複雑な顔を見せていた雨竜も(←そんな顔も可愛いとにやけてしまう相変わらず恋人馬鹿な一護;)、どうやら開き直って楽しむ事にしたようだ。
そうだ、せっかく2人でいるんだから、楽しまないと。
だがその時―
「黒崎」
「ああ」
皆まで言わなくとも、雨竜のその様子で判った。
時間と空気を読めない不粋な虚の出現に、早足で建物の裏手に広がるガーデンに向かった。
比較的人の少ないベンチ脇で死神化…したのは良いが…
「Σうおっっ!!??」
「えっ?!」
どう言う訳か、死覇装姿の一護もしっかり襷を掛けていた。
黒い着物に映える事この上無く。それを見た雨竜の肩が小刻みに震える。
「おまっ///、笑い堪えてんじゃねーよ!!まあいいや。待ってろ、勝手に帰んじゃねーぞ?」
どうやら満更でも無いらしく、一護はそのまま瞬歩で虚の現れた場所に向かって行った。