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 Milk Crown (3)


「その、なんだ、あのだな」
「な、に」


半ば自棄になりながら、一絞りの声で先を促す。


「お、おっさんは、女の子に恋をしている」


いっそ今までのように、私が『いつもの』ホットミルクを飲んで、他愛ない話をしていた方が幸せだったのだろうか。などと考えているうちに、何か衝撃が駆け抜けた気がした。


「十五も年下の、まだ高校生だ。怪しい趣味じゃないぞ、ただ純粋にだな」
「……」
「一応言っとくが、恋してる女の子ってのはお前のことだぞ」
「……」
「そんな鳩が豆鉄砲喰らったような顔してんなよ」


私が混乱から脱け出す前に、既に彼は私の頭を抱いていて、いつも頭をぐしゃぐしゃに撫でていた手が、慈しむように髪を優しく滑っていた。
そして耳許で『今回ばかりは意地悪で言ってるんじゃないぞ』、なんて囁かれたら。
不意に唇と唇が重なったら、私は一体どうしたらいいのだろうか。
心臓って、こんなにうるさく鳴るものだったっけ。



「……ずるい、あなたのキス、」


ホットミルクの味がする。




祇園さまへ!





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