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 満月の夜にきみと(2)


「出ておいで、照れ屋な彼女さん」


再びシーツの塊をつついて、辛抱強く待つ。
……四・五分、経った頃だろうか。
ようやくむくりと起き上がり、顔を見せた彼女の耳は、真っ赤に染まっていた。
きっと、『きす』の意図を悟られたのだと気付いているはず。
僕はベッドに寝転がったまま、彼女の細い手首を掴んで引き寄せた。無抵抗に僕の胸の中に逆戻りした彼女は、もう僕の胸を押し返したりはしなかった。


「きす、試してみますか?」


シーツをしわくちゃにしながら、彼女を組み敷く。上から見る彼女は目を潤ませて僕を静かに見詰めていた。
そして、意を決したようにこくりと頷いた。

僕は彼女の頬を包み、瞼に口付けを落とす。
こめかみ、頬、鼻先、それから額。
抑えられなくなっていく自分の衝動を感じながら、口付けを繰り返す。
その度に彼女はきゅっと瞼を閉じる。
次は、唇? そう彼女が言ったから、どうかな、と答える。
すると彼女はゆっくり瞼を持ち上げて、僕を見詰めた。


「月兎が……」
「月兎?」


彼女の手が僕の頬を包み返す。
首に腕を回して僕を引き寄せ、耳元でこう言った。
月兎がみてるの、と。


「それは困るな」


僕は赤面して目を逸らした彼女がいとおしくて仕方がない。
一歩、それだけ進むことはこんなにも大変だ。
彼女にとってそれは、決死の覚悟が必要だったんだろう、彼女の瞳は未だ揺らいでいた。
不安を掻き消してやりたいよ、はやく彼女の笑顔が見たい。

僕はベッド脇のカーテンを閉める。
橙色の満月が隠れたと同時に、少しだけ部屋の薄暗さが濃くなった。
月兎には悪いけれど、照れ屋な僕の彼女がこう言ってるからさ。

これでいい? と彼女を見る。
こくこくと慌てて頷いた彼女は、やっぱりかわいい。やっぱり愛しい。


「夢を見せてあげる」


唇と唇が触れそうで触れない距離で、そう囁いた後、僕たちは、あたたかなキスを交わした。

彼女は笑顔どころか赤面してまたシーツに潜り込んでしまったけど、
楽園にいるようだったでしょ?
震えて、もっと求めたくなったでしょ?
縷々と交わしたキスが、きみと僕を大人にしますように、なんてね。

ほのぼの、恋愛していこうか。




ゆきさまへ!

―リクエスト内容―
カラフル、うさぎ、夢という三題で恋愛

―補足―
カラフルは最後に隠れています。
かのじょは
らくえんに
ふるえて
るると

※縷々…細く長く続くようす。

分かりにくくてすみません;




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