意味が、分からない。
義理じゃないって俺のこと嫌いなのか…?
違う、ルーシィはもっと重要なことを言ってた気がする。
義理は"仲間として"好きな人にあげるチョコ、ってルーシィは言っていた。
じゃあルーシィは"仲間として"俺のことが好きじゃない…?

あと少しで答えに辿りつける気がするのに、それ以上が分からない。

「ルーシィからチョコ欲しいなぁ」

頭の中で悶々と自問自答を繰り返していると、後ろからロキの声がした。

「…今家に帰るって言って帰ったぞ。欲しいなら家行けばいんじゃね?」

そう提案すると僕はもらえないんだ、とロキは苦笑いで首を横に振った。

「今年は1人にしかあげないんだって」
「1人…?」
「大切な、大好きな人にあげるって。気持ちを伝えるんだって」

そう言って二コリ、とロキは微笑んだ。

1人にしかあげないって俺はもらったのに。
義理だからいいのか?いや、義理じゃないって言ってた。
でも気持ちを伝えるってなんだ?
俺ルーシィに何も言われてない。

…違う。
ルーシィが何か言う前に俺が泣かせたんだ。
何がいけない、何がいけなかった。

もう一度会話を、ゆっくり、反芻する。

……仲間として、か?
それは自分とルーシィの間に何かを作り出した物なのは確かだった。

「なぁロキ。"仲間として"じゃない好きってなんだ?」
「なんだろうね。でもルーシィはその思いを持ってるから、たった1人にしかチョコを渡さないって決めたんだろうね」

俺はルーシィを"仲間として"好きで…仲間じゃなかったら好きじゃないんだろうか。

……いや、違う。
好き、なんだ。
つまりルーシィを見ると胸が痛いのも、全部、そうなんだ。

「俺、ルーシィのとこ行ってくる!」

ロキに向かって大きく宣言するように叫んで、ギルドを出た。
強く蹴りだした足はルーシィのもとへ。




「…行ってらっしゃい」

ギルドを飛び出して行ったナツに向かって、小さくロキは呟いた。
一連の様子を傍で見ていたグレイはグッとジョッキを仰いで口を開いた。

「いいのか?ナツの背中押すようなことしちまって」

ルーシィのこと好きなんだろ、とグレイが言えばロキは肩をすくめてみせた。

「ルーシィが幸せならそれでいいんだ」
「面白そうな三角関係が見れそうだ、ってミラちゃん張り切ってたけどな」
「三角関係?違う、僕が邪魔なだけだよ」

悲しそうに微笑むロキを見てグレイは、ミラちゃん酒ー!と声を張り上げ、隣に座れ、とロキに言った。

「今日は俺のおごり」
「そんなに優しくされたら僕、グレイのこと好きになりそう」
「勝手に言ってろ」
「あーあ、ルーシィにチョコ用意したのにな。」
「お前は女子か!」
「グレイ、受け取って?僕の愛だよ」
「いらねーよ!つーか横流ししてんじゃねーよ!」

あはは、と楽しそうに笑うロキを見てよかった、とグレイは小さく呟いた。






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男の友情。

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