「ひどい顔してんな」
「…誰のせいだと思ってんのよ」
「ん、ごめん」

ナツがルーシィの家に侵入したとき、ルーシィはベッドの上で泣いていた。

「…また明日って言ったのに、なんで今日来るのよ」
「ん、ごめん」
「ナツさっきからそればかり」

何の用?と怒ったように聞かれてナツは自分の用を思い出した。

「これ、返す」

はい、と貰ったチョコを差し出す。
ルーシィはそれをジッと見つめ、小さく溜め息を吐いた。

「ロキに聞いたのね」
「あぁ」
「つまり……そういうことなのね」

こくり、とナツは首を縦に動かした。

「悪かったわ」

そう言ってルーシィはナツの手からチョコを取って、それをどこかに投げようとした。
ちょっと待て、とルーシィの手を掴んだ。

「何するつもりだよ」
「何って…捨てんのよ。あんた要らないんでしょ?」
「違う、要らないなんて言ってない」
「…じゃあ何よ?」
「もう一回、だ」

はぁ?とルーシィが声を上げる。

「ルーシィ俺に言うことあんだろ?ロキが言ってた」
「ちょっと!意味分かんないんだけど!」
「ルーシィが言わないなら俺が言う」

そう言ってルーシィの手からチョコを引ったくり、それを両手に持ってルーシィに差し出す。

「好きだ」
「ちょっ…!だから意味が…!」
「好きだ、ルーシィが好きだ」

好き、という単語を何回も繰り返すナツにルーシィは驚き、そして小さく溜め息を吐いた。

「…"仲間として"でしょ?」
「違う。仲間じゃなくても好きなんだ。ルーシィが何だったとしても好きだ。ルーシィが好きなんだ」

これ、受け取ってくれないのか?と不安そうにチョコを差し出すナツを見てルーシィは思わず吹き出した。

「あっは…受け取るって、それ私のだし!」

あはは、と笑うルーシィを見て、なんだよ、とナツは口を尖らせた。

「いいじゃねぇか、一回俺のになったんだから」
「そうね、じゃあ一緒に食べる?」

先程と全く違う、すっきりとした表情でそう尋ねてくるルーシィを見て、ナツは安心したように笑って言った。

「あぁ」
「それなら紅茶入れましょう」

そう言ってベッドから降りたルーシィの腕をナツは慌てて捕まえた。

「何?」
「返事、聞いてない」
「あ…」

さっきのナツの好き、を思い出してルーシィは一気にかぁ、と頬が赤くなった。

「なんだよ、もう嫌いなのか?」

心配そうに覗き込んでくる二つの瞳にあぅ、と声を漏らした。

「えっと……だから、その」
「ん?」
「だから、えぇっと……ってあんた分かっててやってるんでしょ!?」

ニヤリ、と口元を緩めているナツを見てルーシィは叫んだ。

「チェッ。別に言ってくれてもいいじゃねぇか」

そう言ってナツはぐっとルーシィに顔を近づけた。

「な、何?」
「んーと、ルーシィ、好きだ」

二カッと笑ってナツはルーシィの唇にキスをした。






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バレンタインなので。


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