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コレットとクラトスさんに付いて行って村に戻ってくると、村の人たちに無事を喜ばれた。

魔物もどうやら一時的に減っているそうだ。



「おお、コレット!心配していたよ!!エルも無事でなによりだ・・・、その首の・・」


「お父さん・・そのことで話が・・」


一番に迎えてくれたのはコレットの父のフランクさん。

聖堂に向かって出て行ったのを心配して待ってくれていたらしい。



聞くと先に戻っていたファイドラさんから粗方事情は聞いていたそうで、話は既にまとまっているらしくとりあえずクラトスさんと私はコレットの家に招かれた。



会議は村長さんとファイドラさんとフランクさんとリフィルさん私達を含め7人。


私の素性はきっと彼らにとって不安だろうけれどソーサラーリングが無いと旅が出来ないらしく、旅の同行者はリフィルさんとクラトスさんと私になった。



申し訳ないなぁ・・ダイクさんやロイド達にも迷惑しか掛けれていないのに・・・。



「エル、突然決まってしまって申し訳ないがこれも運命だ。・・明日の明け方出発するからロイドたちと別れを済ませておきなさい」

「・・、」



話がまとまっていく中、不甲斐ない気持ちを胸に仕舞って話を聞いていると突然ドアが開いた。

コレットがいち早くそれに気付く、


「あ、二人とも!さっきはありがとう」

「おぉ、先程はご苦労じゃったな。これは礼じゃ、受け取っておくれ」

「ありがとうございます!」

ファイドラさんが図鑑をジーニアスに渡した。

ジーニアスは嬉しそうに顔を綻ばせる。



「ありがとう、ばーさん。・・なぁ、今話してたのって世界再生の旅の事か?エルも行くって・・・」

「そうじゃよ」


「すっげー!俺もついて行きてぇ!世界再生ってやつを見てみてぇよ!」

「姉さんも行くなら、ボクも行きたい」


本で見たけど試練の旅というのは想像がつかない御伽噺のような話だった、こうやって興味を持つのは自然な事だと思う。


「ジーニアス・・」

リフィルさんもそんなジーニアスの姿に言葉が詰まっているようだ。


「足手纏いだ、断る」


そんな空気の中、口を開いたクラトスさんがピシャリと言い切る。


「な・・・なんだと!?」


「聖堂の戦いとは訳が違う。子供は村で大人しく留守番でもしている方がいい」


喧嘩になりそうな雰囲気が室内を包んだ。

クラトスさんの言い方は悪いけど確かに正論だった。


「クラトス殿の言う通りだ。・・・さぁ、私達はまだ打ち合わせがある。お前達はもう帰りなさい」


「・・・・・」


村長にまで言われて返す言葉も無い二人、言われたまま家に帰るしかなかった。


「っ」


私も慌てて彼らの後を追って席を立つとコレットも一緒にやって来た。


「二人とも待って・・きゃっ!」

「!」

慌ててしまったのかコレットが尻餅をついてしまうと流石にロイドとジーニアスも振り向いてくれた。



「・・ごめんね、二人とも」


「別にお前が謝る事じゃねえだろ」

「そっか、ごめんね」

「あのなー・・・まあいいや」


コレットのどじっ子に場が和む。

良かった、二人はそんなに怒っていないみたいだ。



「あ、そうだ。エル、ちょっと」

「?」

ジーニアスに言われて小首を傾げる、

「昨日のやつ!」

「(あぁ!)!」


忘れそうだった・・・コレットが不思議そうに見ているけど背中で隠して

ジーニアスの持ってきたものを入れてもらって・・・




「コレット、誕生日おめでとう!」

「(おめでとう!)」




そう言ってタイミングを合わせたジーニアスと私は巾着に入ったクッキーをコレットに手渡した。


「わぁ!ジーニアス、エル、ありがとう!」


「ボクはクッキー、エルは入れ物の巾着を作ったんだよ!」


「うれしい!大事にするねっ」



「お前ら・・いつの間に・・」

ロイドの額に嫌な汗が流れている。



「・・・」

「ん?なになに・・くびかざりのやくそくしてた・・よ・・ね・・・」


コレットに手のひらに書いた字を読んでもらうと明らかに苦い顔をするロイド。


「・・・・や、やば」

「まさか忘れてたりして・・」

ジーニアスも察したみたいでロイドを横目で見る。



「いや!あ、あとちょっとで完成なんだ。明日、旅立ち前に渡すよ!ホントだぞ!」


「嬉しい!それじゃあ出発時間が決まったらロイドの家まで知らせに行くね」



「・・でも、危なくないか?」

「私、神子として旅立つんだよ?だからだいじょぶ!それじゃあね」


幸いにもコレットは気が付いてないみたいだ。

でも少し緊張してる感じがする、大丈夫かなぁ・・


「・・・・うそつき」

「これから作れば間に合うだろ」

「ふーん。まぁ、いいけど。」


これから・・間に合うかなぁ。




「ところで今日はもう帰るんでしょ?途中まで一緒に行っていい?」


「いいけど何か用があるのか?」

「友達に会いに行くんだ」


「ふーん、お前。俺達以外に村の外の友達なんていたっけ」

「・・(ロイド、それ酷いと思う)」

「なんだよその目は〜」

「エル、もっと睨んじゃえっ・・あ!準備したいからウチに寄ってって欲しいな!」


「「?」」

今度はロイドも一緒に首を傾げた。






  
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