「ほら、行ってきなってなまえ!」
「そうそう。行くなら今しかないのよ?」
「で、でも…私なんかが…」
「何言ってんのよ!後で後悔しても知らないわよ?」


き…


き…


きたきたきたきたー!
ついに待ってたぜこの時を!2月14日、聖バレンタインデー!毎年毎年、そわそわそわそわして1日が過ぎていく…そりゃ、スリザリンのクィディッチのキャプテンともなれば、ファンから大量のカードやら花やらを貰うし、告白だって何回かされたこともある。だが俺は貰ったカードは全てチームの奴らに回し、告白は全部断り続けてきた。理由は1つ、俺には好きな奴がいるからだ!スリザリンの後輩、ドラコと同じ学年で、この寮には珍しい(失礼だとは思うけど本当のことだから仕方ねえ)優しくて大人しい性格、そして何より可愛いんだこれが。少し伏せ目がちに笑う顔に俺は一目惚れした。
セドリックにはチョウとかいう彼女がいるし、ロジャーなんか常に周りに女が群がってやがる。ウッドは知らねえ。…他のキャプテンがこんなにリア充してる中、俺はこいつのため、最終学年まで待っていたんだ!それがどうだ!この背後から聞こえる会話!これは告白フラグだろ!?そうとしか考えられないだろ!?



「じ、じゃあ…行ってくる」


っしゃきたー!
大丈夫、心の準備はできてるぜ!まずは冷静に振舞って先輩らしさを醸し出すんだ。そして、告白と同時に不敵に笑い、「俺もさ」と耳元で囁く。よし、これだ!ああ、考えているうちに足音がどんどん近くなる。くる、くる、くる…


「あ、あの…マーカス先輩!」

「ん?何だ?」

口元が緩むのを必死で堪え、振り返った。








「ズボンのチャック開いてますよ!」




・・・・・。
(よかった、言えて!それじゃあ失礼しました!)


130214

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