いのかたち



逃げたはいいけど、逃げれば勿論追いかけるのが人のさが。その上ここは陸の家なのだ、逃げ切れるわけがなかった。もし逃げれたとして、母さん達になんて言い訳するつもりだったんだ僕は。


「稜っ!!」

聞いたことない大声で、陸が僕の名を叫ぶ。あっと思った瞬間には腕を掴まれて、後ろから陸に抱きしめられていた。

「り、りく・・・はなし、「稜」」
「・・・っ、・・・陸・・・」
「・・・稜、稜・・・。すきってなに?俺が持ってるすき、と・・・稜のすきは違うの?」
「・・・陸?」

迷子になってしまった子供のような、酷く心細げな陸の声。

「俺、・・・ごめん、わからない、んだ・・・。すき、って・・・俺が稜にもってる、あったかいのと、・・・稜がもってるのは、違うの?」
「・・・」
「・・・おれ、俺・・・。稜と、家族になるって・・・聞いて。すごく、嬉しかった」
「・・・なん、で・・・?」

後ろから抱きしめられてるから見えないけど、陸が優しく微笑んだ気がした。

「だって、稜と家族になれたら、・・・・・・ずっと、一緒・・・居られる、から」
「っ!!」
「・・・え、っ稜、稜?なんでなくの?・・・やっぱり、俺と家族は、や?」
「っがう、ちがう・・・僕、・・・」

「稜のこと、だいじだよ。稜は・・・稜は、俺とコイビトに・・・・・・なりたいの?」

ぐるり、身体を反転させられる。止まらない涙が鬱陶しくて、でもそれ以上に心が歓喜に溢れていた。

「稜のこと・・・すき、だよ」
「っぼくも・・・!」
「・・・」
「僕も、陸と・・・・・・家族になりたいっ・・・!」

ふわりと、青い瞳が微笑んだ。

僕は、いつか終わってしまう恋人じゃなくて・・・永遠に繋がっていられる家族に、なりたかったのかもしれない。
静かにこっちをみて微笑む青い瞳を見てたら、今までの自分が恥ずかしくなった。陸とずっと一緒に居たい。恋人として? その問いかけがされたとき、今の僕は頷くか自分でもわからなくて。僕は陸と、なにになりたいんだろう。

恋人?家族?

判りきってる答えに、涙が止まらない顔で、それでもきっと今日一番の笑顔を浮かべた。


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2010/03/21/

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