春先の冷たい風が顔にあたって、少しだけ頭が冷静なる。まだ母さんの帰ってくる時間じゃないし、もうちょっとだけぶらついてから帰ろう。結局なんも解決してないけど。


・・・・・・・なんて考えてたあのときの僕を殴ってやりたい。ああ、真っ直ぐ帰ってれば良かった・・・!

「だんまりかぁ?にいちゃん」
「怖くてなんにもいえませーん、ってか」
「なんだよそれ、まじウケるんだけど」

ぎゃはは、と下品な笑い声が響く。ここは何処かって?・・・人気のない路地裏です。そして、僕の目の前に陣取る三人組は所謂不良というヤツです。

「とりあえずー、おれらいま金ないんだよね」
「有り金全部出すならなんもしないでやるよ」
「えー、おれいまちょーサンドバック欲しいんだけど」

ああやばいやばいやばい。かつあげの上に暴行宣言っ!?
反抗しようにも、小柄な僕にごつい三人を伸すことはできない。

「おら、なんとかいえ、うわっ!?」
「ちょ、おまえなんだよっ、うっ」
「や、やめっ!!」

え、なになになになに。俯いてたら、ドサッ、と重いものが落ちる音。というか俯いて地面を見てたんだけど、その地面に今まで僕に絡んでた三人が倒れてきた。

「、稜、・・・」
「陸・・・?」
「なに、してるの・・・」
「え、いや、ちょっと絡まれてて、」
「絡まれて・・・?」
「かつあげされそうに、・・・あとサンドバック?」

ぷつん、と何か切れる音がした、気がする。いや気のせいじゃなかった!陸、落ち着いて、僕まだなにもされてないから!
倒れる三人に向かって、足を振り上げた陸を慌てて止める。

「りりり陸っ、陸はどうしてここにっ!?」
「・・・。稜の家、いこ・・・と思ってたら。稜が、こいつらといた」
「ああ、路地裏に連れ込まれるとこ見てたんだ?」
「ん、」
「・・・助けてくれて、ありがとう陸」

ふるふると首を横に振って、陸がおもむろに手を伸ばす。

「稜が無事で、・・・よかった」
抱きすくめられて、耳元でそう囁かれて。

だめだ。

「稜・・・?」

ああ、もう・・・っ

「・・・どうした、の?・・・かお、赤い、」

僕、陸のこと・・・好きだっ


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2010/03/21/

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