び会う



「 稜 」

「 え? 」
「どうした稜?」
「いや。・・・今誰か、僕のなまえ呼ばなかった?」
「いや、誰も呼んでないけど?」

放課後何人かで遊んでたら、不意に懐かしい声が聞こえたような気がした。友人達と首を傾げてたら、背後に影が差した。

「稜、ひさしぶり・・・」

ぎゅ、と後ろから肩を包まれる。
目の前に居た友人たちが目を見開いて驚いてて、何事かと思った。けど、その声に聞き覚えがありすぎて混乱する。

「? 稜?」
「り、陸・・・!?」
「うん、・・・久しぶり」
「え、どうしてここにっ!?学校は?全寮制、じゃなかったっけ?」

目を白黒させる僕に、陸は薄く微笑んだ。目が悪戯に輝いてるのをみて、やられた、と感じた。

「ほら、言っただろ陸。稜のかわいー反応見るには、ドッキリが一番だろ?」
「ゆず、・・・、うん」
「ど、ドッキリって・・・!ホントに吃驚したんだからね!?それに可愛いってなに!?」
「稜、かわい・・・。」

陸の背後から現れた人物、譲くんはにやにや笑ってこちらを見ている。でも、ほわほわと微笑む陸を見て、それ以上の文句が言えなくなった。ああ、その顔でその笑顔は卑怯だ。

口篭る僕に、譲くんは楽しそうに笑っている。前までは黒一色だったその髪に、鮮やかな青色のメッシュがいれられてて驚いた。だって吃驚するぐらい似合ってるんだもん。
・・・陸も譲くんも、ちょっと見ないうちにかっこよくなったなあ。

「な、なあ!稜知り合いかよっ?」

じい、と二人を見つめてたら後ろからつつかれた。ああ、すっかり忘れてた。友達と一緒に居たんだった。

「ごめんごめん、この二人は僕の友達で、」
「麻埼譲だ」
「・・・桂木、陸・・・」

ニヒルに笑う譲くんと、無表情に戻った顔で呟くように言う陸。二人を見て友達らが頬を染めてるのが目に入る。確かに二人ともありえないぐらい顔整ってるもんね、同姓でも・・・いや、同性だからこそ憧れるものがあるよね。

陸と譲くんに話しかける友人達をみて、心のどこかがもやっとした。・・・ん?なんで?譲くんが笑って友人の頭を撫でるのをみて、さらにもやもやする。

この気持ちは、・・・・・・嫉妬?

いやいやいや!それはないでしょ僕!嫉妬、って、二人は別に僕だけのものじゃないんだから・・・!確かに、陸が譲くんにつられて頭を撫でてるのを見るとありえないぐらい胸がもやもやするけど、これはそんなんじゃなくて・・・!

「・・・ぅ、」

なにこれ、なにこの気持ち。でも嫉妬意外に当てはまりそうな言葉が見つからない。ああ、どうしちゃたの僕・・・!しかも譲くんが撫でてるの見るより陸が他人を撫でてる姿の方がなんだかショックだ・・・!

「稜、・・・」
「えっ!?」
「・・・どうした、の?」
「り、陸!いいいいや、なんでもないよっ!」

こてん、と首を傾げる陸。青い目で見つめられて、ドキリとしてしまった。・・・いやいや、本当に最後に会ったときより格段に美貌に磨きがかかってるんだもん陸。だからドキッとしてしまうのも当たり前だ。・・・あたり、まえだよね?
胸の辺りを押さえて、自分自身に問いかける。

「稜、ほんとにだいじょうぶ、」
「わあああ!!」
「っ、」

するりと頭に手を回されて、そのままおでこをくっつけられた。吃驚しすぎて陸の胸を突き飛ばす。僕程度の力じゃ倒れはしなかったけど、すこしだけよろめいた陸は驚いたように目を見開いた。
突然叫んだ僕に、譲くんも友人たちもこちらを見ている。は、恥ずかしい。

でも、壊れそうなほどに胸をたたく心臓に、・・・。



僕って、陸のこと、・・・好きなのかな・・・。

、なんて。


top

2010/03/21/

×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -