毎日そこで時間を潰してる僕に、陸はそれこそ毎日のように会いに来てくれた。

お父さんがいない所為で仲間外れにされてること。
誰もいない家に帰るのが嫌で、いつもここに来てること。

ポツポツと語る僕の言葉に耳を傾ける陸は、言葉少なに自身のことも語ってくれた。

陸も片親しかいなくて、どうやら僕とは違ってお母さんがいないらしい。仲間外れにこそされていないけれど、周りから何故だか(僕は陸の綺麗すぎる容姿が原因だと思ってる)敬遠されていた陸は、でも彼の幼馴染のおかげでそんなに悩むこともなかったらしい。

自分のことを陸に語るときに、不覚にも泣いてしまった僕の手をただ無言でぎゅ、と握り締めてくれる、陸の体温が嬉しかったのを憶えている。

それから紹介された幼馴染の譲くんも、にっと笑って僕の頭をぐりぐり撫でてくれた。初めて紹介されたときは、陸が自ら人を連れてきたことにとても驚いたらしい。

放課後に二人と遊ぶ僕。草陰に隠れて、一人こっそりとしていたあの頃がうそのようだった。


いくら年をとろうとも、僕たちの関係は変わることなく。小学生高学年になり、陸と譲くんに励まされて自分から積極的にクラスメイトに話しかけたら、普通に返答されてとてもビックリしたのも懐かしい記憶だ。
残念なことに、僕よりひとつ年上の彼らは全寮制の中学に入ってしまい、頻繁に会うことはなくなった。たまに電話や手紙でのやり取りはある。けれど会わなくなってどれくらいたっただろう、半ば思い出の住人と化してきた二人が、また色濃く僕の記憶に影を落としたのは、中学二年生の春だった。


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2010/03/21/

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