(信じられない......)

もし目の前にいるのが本物の真田幸村だとしたら、ここは400年くらい前の過去となる。

(タイムスリップしたってこと......?)

しかし彼が何者であれ、ここが本当に戦国時代であるならば、私の生存確率は格段に下がる。今ここで真田幸村に殺されるか、それとも盗賊に殺されるか、どんな未来を想像しても死が必ず付き纏う。

そんなことを心配していた矢先、私の首が絞められ地面に押し倒された。苦しさにもがく両手を縛り上げられる。

「がはっ...」

目の前には鋼の額当てをして頬と鼻の頭に緑のペイントを施している男。切れ長の目は私を睨みつけ、首には刃物が当てられているのか鋭い痛みが走った。

「何者だ、あんた......甲斐に無断で入るなんて、本気で死にたいみたいだね」

「佐助ぇ!何をしておるのだ!」

「何言ってんの旦那ー、間者かもしれないんだぜ?......あんたは忍か?誤魔化そうなんて考えたら痛い目見るよ」

真田幸村にはへらへらと笑っていたくせに、私を睨みつける目は殺気に満ち溢れている。冷や汗が流れる。身体が震えた。

(殺されるっ......)

「佐助!その者は間者ではない!俺は、この女子が光とともに突然現れたのをこの目で見たのだ!」

真田幸村の言葉に佐助と呼ばれた男は納得しない顔をした後、片手で私の目を覆った。冷たい闇に包まれ、私の意識はそこで途切れた。

どうかもう一度、目が覚めるようにと願いながら。


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