Es ist Showtime!(前編)



セレネside


ヒュルルルル………パァアンッ!!


「あれ、また花火?さっき雪兄行ったばかりなのに……誰だろう?」
「こんな早くにギブアップする奴等じゃねぇ筈だけどなぁ……セレネ行ってやれ」
「はーい、さっちゃんはどうする?」
『俺も行…「この缶の山を片付けてからにして下さいね?」 ゴゴゴゴゴ…… チッ、面倒くせェな。後で合流するから先行ってろ』※さっちゃんは酒豪です by管理人。
「じゃあ行って来まーす!」


Es ist Showtime



「ギャァアアアアアアッ!!僕虫はそこまで嫌いじゃないけど蛾は無理ぃいいいい虫豸なんて嫌ぁああああッ!!」

こんな大量の虫豸皆大丈夫かなッ!?志摩ちゃん辺り気絶してそうだけど……あ、もしかしてさっきの花火って志摩ちゃん!?
さっちゃんがほぼ毎日首噛んでくるから、血の匂いで余計寄ってくるよぉおおッ!!さっちゃんの馬鹿ぁぁあああッ!!
なんて心の中で叫びながら走って、花火の上がったと思われる地点に到着したが、辺りを見回しても誰もいない。

「あれ?この辺だと思ったんだけどなぁ……」

そう呟いて先へ進もうとした瞬間、足に何か引っかかるものを感じた。ふと足下を見てみると、何処からか蔦が伸びてきて足に絡みついている。
それを取ろうとすると、足に白い蛾が這いつくばって来た。僕は驚いて周りを見ると、同じ蛾が大量に囲んでいて僕の足を伝って登って来て、あまりの出来事に動揺して尻餅をつく。

「うわぁああああッ!!え、何ッ!?なんで急にこんなに……あれ、この悪魔蚕蛾(シルクワーム)?滅多に見かけないのになんで……ってうわぁあああ転けたらめっちゃ登って来たぁあああああッ!!」

あ、ヤバいこの子達糸出してる!?ちょっ糸で地面に手足固定するのやめてッ!!僕が抜け出そうと必死にもがいていると、「ひゅー、スタッ」と効果音を自分で言う聞き慣れた声が聞こえ、僕は「まさか…」と声のした方を向くと……そこには案の定アマイモンがいた。

「こんばんは、久し振りですねセレネ」
「ア、アマイモン…?なんで僕を捕まえたの?今回の作戦に関係ないでしょ?」
「関係ありませんが、僕がセレネに会いたかったんです。駄目ですか?」
「いや別に良いけど……こんな演出要らなかったよね?なんかホラー映画にありそうなんだけど」
「凄いですセレネ、僕が兄上の部屋で見つけたでぃーぶいでぃーにあったので再現してみました。セレネは可愛いものが好きなので蚕蛾にしたんですが、どうでした?」
「やっぱりかッ!!僕で実験しないでよアマイモン、軽くトラウマになりかけたよッ!!」

そんなウキウキした顔で聞かないでよ、そういえば僕が小さい頃はよくこんな感じに実験されてたなぁ。僕の反応見て無表情ながらもウキウキワクワクしてるんだよね、ホント悪戯大好きだよなぁこの親子は。

「で、本当の用事は何?アマイモン。」
「……………どうしてセレネは、奥村燐にばかり構うんですか?」
「へ……?燐兄?」
「最近セレネは僕と遊ぶ回数が減ってきた変わりに、奥村燐と遊ぶ回数が増えていってます。まさか………奥村燐を婚約者に選ぶんですか?」
「いや、それは無い。」キッパリ

アマイモン何勘違いしてるの、僕が燐兄に恋するなんてあり得ないよ。八候王と結婚する気なんて更々無いけど、燐兄だけは絶対に無い。

「そりゃあ同じ所に住んでたら遊ぶことも多くなるよ、それに僕は燐ちゃんのことをお兄ちゃんだと思ってるから。そもそも八候王と結婚する気は無いからね!?さっちゃんが勝手に決めたことだからッ!!」
「そうですか、それを聞いて安心しました……ですが」
「え、何?」

そう言ってアマイモンは蚕蛾に退くよう指示し、僕に覆い被さって僕の目をジッ…と見つめる。

「どうせセレネは兄上を選ぶんでしょう?それならいっそ今の内に…僕が……」
「へっ!?ちょっとアマイモンッ!?」

アマイモンは僕の静止の声も聞かずに、何かブツブツと呪文を唱えながら人差し指を僕の額に当て、次に右目、唇とゆっくりなぞっていき、心臓の位置でピタリと止める。なんか僕らの周囲だけ草花がザワザワしてるんだけど、ていうか確かソコにはメフィストの契約印が……。
これは本格的にヤバいと本能が告げている。どうすれば……と考えていると、アマイモンがピクッと何かを感じとり、直ぐ様僕から飛び退いた。何事かと思った次の瞬間、僕の体が青い炎に包まれた。

「ぎゃぁああああ今度は何ッ!?ヤバい燃える………ってあれ、熱くない?この炎の感じ……もしかして」
『おい』

どうやら僕の予想は当たったようだ、この唯我独尊って感じの雰囲気は……さっちゃんの炎だ。さっちゃんは炎で僕の周りにいる蚕蛾や蔦等を一掃し、僕を肩に乗せる。
「ていうか炎出したらヤバいでしょ」とさっちゃんに言うと、『どうせアイツが出したと思うだろ、バレねェよ』と機嫌悪そうに答えた。
ヤバいさっちゃん滅茶苦茶怒ってる、アマイモンも冷や汗かいて逃げ腰になってるよ。

『アマイモン、俺がどういう条件出したか覚えてるよな?今やったのは反則なんじゃねェのか、あ゛あ゛?』
「ち、父上……」
『悪魔なら悪魔らしく堕とせ、この馬鹿息子が。分かったらさっさと失せろ』

その言葉を合図に、アマイモンは超特急でこの場から去った。うん、今のさっちゃんすっごく怖いもんね。そりゃ猛ダッシュで逃げたくなるわ。
さっきのは一体なんだったのか怖くて聞けないよ、何あの呪文。先程のアマイモンも不気味だったけど今はさっちゃんが怖いよ、ていうか僕を掴んでる手が力んでて痛たたたッ!!痛いって爪食い込んでるよッ!!

「ちょっとさっちゃん爪食い込んで『あ゛あ゛?さっきのはアイツが悪かったけどな、お前が無防備過ぎるのも悪いんだからな?』ご、ごめんなさい……」
『確かに俺達は、お前のそういう“普通じゃない所”が気に入ってる。でもな?ああいうヤバい状況の時はもっと危機感持ちやがれこの馬鹿が』

そう言ってさっちゃんは拠点まで僕を運んでいく。さっちゃんの言葉が正論過ぎて何も言えない……しかし僕は、あの時危険な状況だったにも関わらず、何故かアマイモンを拒絶しなかった。
アマイモンの行動を「それは駄目だ」と分かっているのに、心の中ではそんな感情が昂ったアマイモンを受け入れている自分がいた。
きっと他の皆がアマイモンの様な状態になったとしても、自分は先程の様に拒まず受け入れるのだろうと、その時僕は思った。

そう考え込んでいる内に、拠点へ着いたようだ。皆もう既にクリアした後のようで、ヘトヘトになっている。全員クリアということはやっぱり先程の花火はアマイモンの仕業だったようだ。
………ん?全員クリア?そういえばさっき花火は二つ上がった気が……。

「あれ、全員クリア?誰も花火使ってないの?」
「おう、意外と早かったなセレネ。因みに一番は宝だぜ」
「(流石メフィストが雇った傀儡師……)凄いねぇ、流石パペットマペット!」
「〈おいそのあだ名やめろこのクソガキッ!!〉」
「じゃあタカ〇トミー?」
「〈色々とアウトだろそれッ!!〉」
「えー、じゃあパペット君」
「〈なんでそんなにあだ名つけたがるんだよ、諦めるしかねぇのかよこれ〉」

そんな会話をしていると、また蔦が何処からか僕の足に絡まってきた。「何これデジャヴ」と言いながら取ろうとすると、腕を掴まれてしゃがめなかった。誰だろうと思い顔を上げると、そこには目が虚ろになったしーちゃんがいた。

「へ?しーちゃん?ちょっと掴まれたままじゃ動けな……」

言葉を続けようとした瞬間、蔦が物凄い力でグイッと引っ張ってきた。しーちゃんはそれを待っていたかの様にパッと手を離し、僕は逃げようと地面に手をつけるがズルズルと体を引き摺られる。

「うおッ!!おい誰かあの蔦斬れッ!!」
「うわぁああん何これホラーだよぉおおッ!!」
「はぁッ!?なんやあれどうなってんッ!!」

引き摺られて到頭魔方陣の外まで出てしまい、僕の背後で誰かが見下ろしている視線を感じる。

「アイツ誰やッ!?」
「漸くお出ましか……」
「どういう事です藤本さん、何故奴が此処に…」

振り向いてみるとやはりそこにいたのは……

「GO、ベヒモスッ!!」
〈グルルルルァアアッ!!〉

案の定アマイモンだった。
ていうかさっき会ったばっかじゃんッ!!


To be continued…
*H27.4/3 執筆。



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