ボクの夏休み(前編)



セレネside

正十字学園中等学校前、一学期も終わり今日から夏休みが始まる………が、その前に。
祓魔塾の林間合宿が始まるのだ。
僕はお姉ちゃん達と同じく講師として引率する。因みに獅朗ちゃんも来るよ、第一責任者として!シュラ姉は「面倒だからパス!」とか言って二度寝してた。

『あ゛ー暑ィいいー……なんとかならねェのかよこの暑さ、おいセレネなんとかしろ』
「いや外でそんなこと言われても……こうなったら奥の手だ、“ペル〇ナ、ジャックフロストッ!!”
〈ヒーホー!お喚びかホ?〉
『ってなんでもかんでも悪魔にさせてんじゃねェよッ!!』
「えー、だって悪魔って何でも出来るじゃん。ねぇーヒーホー君!」
〈ねー!〉
『もう何もツッコまねェよ……』






「ようお前ら!今日から楽しい夏休みだぞ!若い姉ちゃんとイチャついたりにゃんにゃんしたり出来「本音が出てますよ藤本さん」 ゴスッ 痛ってッ!!……ゴホン、冗談はこのくらいにして。」

正十字駅に集合した塾生達。
獅朗ちゃんは今回の林間合宿の責任者として皆に説明するが、少し本音が混ざってしまいお姉ちゃんに拳骨を喰らう。咳して誤魔化そうとしてるけど、志摩ちゃん以外皆呆然としてるよ獅朗ちゃん。
そういうのは志摩ちゃんみたいな思春期真っ只中の男子にしか通じないネタだよ!燐兄はちょっと吹いてたけどね!

「候補生のお前らは、これから“林間合宿”と称し“学園森林区域”で3日間、実戦訓練を行う」
「引率は僕奥村と藤本先生、時渉先生と………………セレネちゃんが担当します」
「………うん、名字同じだから皆気軽に下の名前で呼んでね。なんかゴメンね雪兄」
「夏休み前半は主に塾や合宿を強化し、本格的に実戦任務に参加できるかどうか、細かく皆さんをテストしていきます。この林間合宿もテストを兼ねていますので、皆さん気を引き締めていきましょう」
「「「「はい」」」」

お姉ちゃんの言葉を合図に、僕達は現地へ向かう。


†††††††††††††


―遡ること前夜20:00 理事長室―

「燐兄のことをわざとバラす……?」
「おい……本当にやるのか?メフィスト」
「ええ、隠していられるのも時間の問題ですからね。身動きしづらい今の状況よりも、バラして公表した方が自由に動きやすい。」

「各自食事を終えたら理事長室へ来て下さい」とメフィストから言われていた僕らは、メフィストの元へ訪れた。さっちゃんはコソコソと隠し事をされると不機嫌になるので、さっちゃんも一緒に連れてきた。メフィストも自分の父親だから良く分かっているようで、連れて来ても何も言わなかった。

「まぁ確かにソッチの方が、アイツも吹っ切れて行動しやすいだろうなぁ。けどよ、バラすったってどんな作戦でいくんだ?」
「それなんですが……今回の作戦はこうです」

そう言って、メフィストはポンッ☆と大きなホワイトボードを出し、既に書かれていた手順と図解(イラスト付きだが絵心が無い)で説明する。

「まず最初に、林間合宿のことは既に話しましたよね?この林間合宿中にアマイモンを乱入させ、燐と一戦交えてもらいます」
「はぁッ!?あのお前の弟をッ!?」
『おいおい大丈夫か?アイツ一度スイッチ入ると止まんねェだろ暴走してよォ』
「だからこそ愚弟を使うんですよ。奴はスイッチが入れば本気で燐に向かっていきます、そうすれば彼は降魔剣を抜かざるを得ない。まぁアマイモンが暴走したら厄介なのに違いありませんが。」
「うーん、問題はそのアマイモンを止めることだよねぇ。あの怪力どうやって抑えよう」
「大丈夫ですよ、これ程のメンバーが集まっていれば」

メフィストが言った言葉に、僕達は顔を合わせる。そういえばこの部屋にいるのは魔神・時の王・元聖騎士・召喚士だったね。
あのメフィストがここまで僕らに作戦を話すのは珍しい、いつも何か企む時は僕くらいにしか教えてくれないのに。
……今回は協力してくれっていうことかな。慎重にいかないと上層部の判断によっては燐兄の命が危ないわけだし。

「まぁ藤本はもうお年寄りですから、無理しなくて結構ですけどね☆」
「煩ぇな、俺は未々現役だっつーのッ!!何万歳も年とってるお前には言われたかねぇよッ!!」
『俺は基本観覧してるからな、頑張れよお前ら』
「僕の肩から見てないで手伝ってくれたら良いのに……ていうか自分の子供でしょ」
「次にその後考えているのは…「まだ続いてたのッ!?」」



―山中14:00 現在―



「おーい小っちゃい滝あるぞーッ!飲めっかなコレー!!」
「止めなさい奥村君。その水が本当に綺麗かどうかなんて分かりません、お腹壊しますよ」
「ちぇー、レイまで雪男みてぇなこと言うのかよ。流石熟年夫婦は似てるな」
「それ以上熟年夫婦なんて言ったら口縫いますよ。あとどうしても飲みたいのなら、空の缶にその水を入れてホースを別の容器と通し、缶の下で火を起こして沸騰させれば安全に飲めますよ。水蒸気となった水がホースを伝ってもう一つの容器に入るので、そちらが綺麗になった水となります」
「前言撤回似てなかったッ!!何その本格的なサバイバルッ!!」

…………こんな調子で燐兄大丈夫かなぁ?
僕は燐兄を見て溜め息をついた後、明後日の方向を見るかのように空を見上げた。


To be continued…
*H27.3/27 執筆。



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