二匹の黒猫



セレネside


「黒猫子猫のクロちゃんは〜♪僕のお膝でにゃーにゃーにゃ〜♪」
『なんだその歌?』

物質界に無事帰ってきた翌日の日曜日、僕は虚無界と違って色鮮やかな物質界を満喫しながら歩いていた。因みにさっちゃんは僕の肩に乗ってる、首が擽ったい。

「マタタビペロペロみゅーみゅーみゅ… ドォォオオンッ!! ………ん?」

突然地響きが聞こえ、僕は某破壊神漫画の替え歌を中断して聞こえた方向を見る。

「ふに゛ゃぉおおおおんッ!!〈どうして獅朗来ないのぉおおこないだ「一緒に一杯やろう」って約束してたのにぃいいいッ!!〉」
『おー、派手に暴れてんなァ』
「………………」ピッ


prrrr……prrr…………プツッ


《セレネ?どうしたの急に「お姉ちゃん今すぐ獅朗ちゃん呼んでぇえええッ!!」







「現在正十字学園南裏門の門番、猫又のクロが暴走中ッ!!大至急援軍を頼みますどうぞッ!!」
「にゃぉおおおんッ!!〈マタタビ酒飲みたーいッ!!〉」


「わぁー……カオスだぁ」


どうやらクロちゃんは獅朗ちゃんと酒を飲む約束をしていたらしいのだが、中々獅朗ちゃんが来ないから拗ねてしまったようだ。
まぁ皆クロちゃんの声聞こえないから分かってないみたいだけど。

《何故暴走したか原因は分かっとらんのかッ!?》
「はい、未だ原因不明ですッ!!」
「クロちゃんは獅朗ちゃんをご指名みたいだよ」
「それは本当ですかッ!?……って君子供でしょ!?こんな所にいたら危ないから下がってなさい!!」
「僕祓魔師だよ、ほら」ピラッ

そう言って僕が免許証を見せると、「えぇえええッ!?そっそれはスイマセンでしたッ!!どっどどどうぞ此方へッ!!」と言って吃りながらkeepoutのテープから通してくれた。

「獅朗ちゃんもう少しで来るから、その間は僕に任せて!」
「えッ!?そっそんな危険です「おーいクロちゃーんッ!!」って聞いてないッ!?」

僕は警備員さんの静止を無視してサイボーグクロちゃん(←おい名前)の元へ走る。
あ、コッチ向いた。

「ふにゃぁああッふにゃぉおおおおッ!!〈セレネ、獅朗が来ないんだ!!他の奴に聞いても言葉通じないしッ!!〉」
「大丈夫だよクロちゃん落ち着いて、獅朗ちゃんならもうすぐで来てくれるよッ!!」
「う゛に゛ゃぁあああッ!!〈嘘だッ!!獅朗は約束破ったッ!!それもきっと獅朗の嘘だッ!!〉」
『ぎゃーぎゃー喧しいんだよチビ猫のクセしてよォ』
「え……ちょ、ちょっとさっちゃん?」

さっちゃんはそう言って僕の肩から降り、巨大化したクロちゃんの前に立つ。あ、そういえばさっちゃんもクロちゃんと同じ黒猫だよね。目の色違うけど。

『すぐに来るっつってんだから静かに待っとけよ、ヒステリックになってんじゃねェよ叫ぶしか能がないのかテメェは』
「うに゛ゃッ!?〈その威圧感はまさか……サタ『俺の名前を人前で言ってみろ、燃えカスにするぞ?』ヒェッ……〉みゅぅ……」

す、凄い光景だ……巨大化した猫又が、自分より小さい猫又に怯えて頭を伏せてる。
だってさっちゃん凄まじい威圧感だもんね、そりゃ黙りこんじゃうよ。ていうかあまりの光景に周りの皆もビックリして呆然としてるよ。


ガチャッ


「よぉクロ悪ぃッ!!最近仕事忙しくて中々抜け出せなくてよぉ「うな゛ぉおおおおおんッ!!〈うわぁああん獅朗コイツ怖いよぉおおおッ!!〉」うおッ!!どうした急にッ!?」

獅朗ちゃんが来た途端、クロちゃんはポンッと元の大きさに戻って獅朗ちゃんの元へ走っていった。うーん、これじゃあこの二匹(内一人)が仲良くなるのは難しいかなぁ。

「あれ、獅朗ちゃんそのタンコブどうしたの?」
「レイに拳骨喰らったんだよ、“悪魔の約束を破るなんて何してるんですか貴方はッ!!”とか言われてさ。そりゃ俺が悪かったけどよぉ、アイツすぐに手が出るよな」
「それがお姉ちゃんのストレス発散法だからね」
「俺はサンドバッグかよッ!!」
「…………ねぇ獅朗ちゃん、クロちゃん貰っていい?また暴走しても困るし」
「切り替え早っ…………て、は?」


その後、妥協してクロちゃんは寮に居候となった。新しい門番にはタッチャンとカッチャンを貸すことにしたよ、狛犬みたいに左右でお座りしてる。相変わらずさっちゃんとクロちゃんは仲悪いけどね。

〈わーいすき焼きだ!いっただっきまー…『肉貰ーらいっ』あぁあああ俺の牛肉ぅううううッ!!〉



↓おまけ(塾の職員室にて)
僕は今、浦島太郎の気分になっている。

「この度、ヴァチカン本部から日本支部に移動して来ました霧隠シュラ18歳でーす。初めましてー…なーんちゃって、この2か月半ずっと一緒に授業受けてたんだけどな〜ニャッハハハハハッ!!」
「な、なんで酒乱姉がいるの?」
「おい変換」
「じゃあヤマタノオロチ!」
「蛇繋がりやめろ」
「霧ヶ峰〜♪」
「お前いい加減にしろぉおおおッ!!」



To be continued…
*H27.3/23 執筆。



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