8 「よっしゃー!」 「負けた...」 遊びなのに、結構本気で悔しい。 なかなかの長期戦となった結果私達のチームは負けてしまった。 イエーイと喜ぶウソップ達が腹立たしい。 「くそー!もう1回やるぞ!」 「そろそろ夜ご飯じゃないですか?結構暗くなってきましたし...」 ブルックの言葉に私はしまった、ゾロの所に行くんだったのに...とガックシとその場に座り込んだ。 飯だぞーというサンジの声が聞こえビクッとすると同時に愛しさが溢れ出す。 やっぱりこんな好きなんだ、貴方のこと。 「...お前ら、手洗ってから来いよ。」 「「「「はーい!」」」」 ダイニングの扉をから出てきたサンジは私達の方を見ると手を洗ってくるよう促す。 ボールを抱きしめながら彼を見ていると不意に視線が合ってしまった。 ドキ、と思わず視線を逸らす。 「(しまった...)」 立ち上がりルフィ達の後に続き私も手を洗いに向かった。 「なー!明日もう1回やろうぜー!?」 「しょうがねえなあ。ま、この狙撃の名手のウソップ様に勝てるとは思えんがな!」 ははは!と笑うウソップに、ルフィはむー、と悔しそうにしていた。 「くそ!ブルック!名無し!明日は勝つぞ!」 「ヨホホホホ!リベンジですね!」 「え!?私も!?」 当たり前だろ!とルフィに返されため息をつくと、私は視界に入ったゾロの方をじっと見る。 「...何だよ。」 「ルフィ監督、ゾロ選手と交代します。」 「何で俺なんだよ!?」 「たまたま目に入ったから。」 意味わかんねえぞ!と言うゾロに、ルフィはうーんと唸る。 「ゾロは補欠だ!名無しはスタメンだからな!」 「「は!?」」 そうゆうことで明日よろしくな!と言うルフィに肩を落とす。 「そうだ!お前らもやろうぜ!」 「絶対イヤ。」 「楽しそうだけど、私は観戦に徹しようかしら。」 ナミとロビンに断られたルフィはサンジは!?と声を上げると私は彼をチラ見した。 「あ?断る。マリモが居れば十分だろ。」 「なんだとラブコック!!」 冷静に煙草を吹かしながら返すサンジに大人びてるなぁ、と胸が高鳴る。 その仕草が、たまらなく好き。 視線を料理に戻し食事を再開するとサンジはそれと...と続けた。 「あんま名無しちゃんを振り回すんじゃねえよ。」 その言葉に思わずゲホッ、と咳き込んでしまった。大丈夫かよ?とウソップに心配される。 サンジの口から私の名前が出てきたことに動揺してしまった。 「なんでだ?楽しいよな!名無し!」 「え、あ、うん、まあ...」 ほら!とドヤ顔をするルフィにサンジは口を開くことをやめた。 また泣きそうになる。 私のことを気にかけてくれた事が。 その優しさが、辛いよ。 食事を終え食器をサンジの元へと持っていきご馳走さま、と言うと名無しちゃん、と呼ばれた。 「な...何?」 「あいつらに無理して付き合う事無えんだぜ?」 「無理してないよ...本当に楽しかったし。」 「それなら良いんだが...名無しちゃんは優しいからよ。」 心配になる、と言うサンジが今はただ憎らしい。 ありがとう大丈夫だよ、と返すとサンジの目を見ないようにダイニングを出た。 ( それ以上優しくしないで ) 前へ / 次へ [しおり/もどる] ×
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