4 だからサンジは記憶喪失になんかなってないぞ...と言うチョッパーを残し私達は再び女部屋へ戻ってきた。 「チョッパーの話を聞く限り、サンジ君の記憶が戻る可能性はかなり低いわね。」 「もう一度告白したら解決ね。」 「何サラッと言ってんの!!??」 面白そうに言うロビンに思わず突っ込む。 「でも名無し、ロビンの言う通りかも。もう一度サンジ君と恋人同士になれば良いじゃない。」 そう言うナミに、この人達もしかして面倒くさくなってる?と心の中で呟いてしまった。 さっきは自分で決めなさいって言ってたくせに... 「...でも、昨日のサンジの様子からして、今度こそ振られると思う。」 「あんたね、もう一度サンジ君を振り返らせる!それくらいの気持ちはない訳?」 ナミのいきなりの問いかけにはっ、としつつ、でも...と考え込む。 「一度は両思いになったのに、記憶が無くなった位でサンジの名無しに対する気持ちはこれっぽっちも無いと思ってる?」 ロビンの言葉に顔を上げる。 「彼の昨夜から今朝のあなたに対する態度を見ていると、そうは感じないわよ?」 私に対する態度...?朝は最低限接してないけど、ロビンは何を見てそう感じたの? でも確かにサンジの記憶が戻るのを途方も無く待ち続けるのは嫌だ。 この状況は、私が行動しないと変わらない。 「私、もう一度頑張ってみようかな。」 「そうこなくっちゃね。」 「ふふ。」 とはいえ、何から行動したら良いのか分からなかった。ナミとロビンが女部屋を出た後、私は1人部屋に篭って考え込んだ。 2ヶ月前の、あの時の事を思い出しながら。 ────2ヶ月前 「はぁーー...」 風邪なんてひくのは何時ぶりだろうか。 しかも高い高い熱付きの。 冬島から夏島から、と温度や湿度の大きな変化に身体がついて行かなかったらしい。 身体はすごく熱いのに、背筋に寒気が走る。 「喉乾いた...」 医務室のベッドでどのくらい寝ていたのか目覚めた時には喉がカラカラになっていた。 額に乗せられた濡れタオルを取り、だるい身体を起こし何か飲み物を取ってこようとベッドから降りようとした。 ギィ──... 「あ、...」 「あれ、名無しちゃん起きてたのか。」 扉が空く音がする方へ目をやると、顔を覗かせたのは私の想い人。この船に乗ってから絶賛片思い中の相手。 「サンジ、」 「何処か行くんだったか?」 「あ...喉乾いて...」 「分かった、ちょっと待っててくれ。」 きっと私のために飲み物を持ってきてくれるのだろうと思った反面行かないで、と思う自分が居た。 「お待たせ。」 早すぎない?とサンジの動きの速さに驚きつつ発熱による動悸なのか、傍に彼が居ることによる胸の高鳴りなのか分からない。 はい、と渡されたのはレモンの輪切りが乗ったアイスレモンティー。 「温かい方が良かったか?」 「ううん、冷たいのが良かった。ありがとう。」 熱い身体に冷たいレモンティーが染み込む。 「あー...美味しい。」 「それは良かった。」 「私これ大好き。」 「存じてます、プリンセス。」 何で知ってるの、と言いかけた私の疑問に答えるようにサンジはいつも美味そうに飲んでくれてるからな、と優しく微笑んだ。 その顔に胸が撃たれる感覚に陥り、こうしてサンジと2人きりになれる事なんてもう今後無いかもしれない、と思った瞬間想いが口から零れた。 「...サンジ、私サンジが好き。」 ( 思い出す程溢れる想い ) 前へ / 次へ [しおり/もどる] ×
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