Everything is due to kindness ※ぬるいですが性的描写ありです。 閲覧は自己責任でお願い致します。 海賊が、ましてや仲間に恋をするなんてやっぱり馬鹿なことだった。 「恋だとか愛だとか、俺には全く興味無えな。」 好きな彼との他愛も無い会話の中で探りを入れた時に返ってきたその言葉は私の心にグサリと刺さった。この人はそういう人だと何処かで分かっていたけれど、本人の口からこんなにハッキリ言われてしまうとさすがに堪えた。 彼の真っ直ぐな目に、戦う姿に次第に惚れていった。その上ぶっきらぼうなのに優しい一面もあるなんて、そんなの卑怯じゃん。 惚れた方が負けなんて言うけれど、貴方は私の気持ちを知らずにそれさえも伝えさせてくれなかった。この気持ちを葬る方法を誰か教えて。 「今日は宴だ〜〜!!!」 前の島を出発してから随分と日が経った。 長い事船内で過ごしていたクルー達はやっと着いた島で開放感を得た。 その勢いから船長であるルフィから宴の言葉が発せられ、他のクルーも大賛成と言わんばかりに今夜はダイニングでは無く芝生甲板で食事と酒を嗜もうと用意を始める。 もうこれは良い機会だ、とこの行き場を失ってしまった恋心を忘れる為にに宴が始まるといつも以上にアルコールを喉に流し込んだ。 「あっらー!名無し今日はやけに飲むじゃない〜!」 もう既に半分出来上がっているナミが普段はそんなに飲まない私に声を掛けてきた。 「うーん…今日はちょっと飲みたい気分なんだ。」 「へえ〜、よし!あんたがどれ程飲めるか知れる良い機会だわ!これはゾロと3人で飲み比べするしか無いわね!」 「え、い、良いよ私は…」 「私から逃げようっての〜?許さないわよ、そんなこと〜!」 ナミが酔っているなんて、もうどれだけ飲んだんだろうか。 私の腕を楽しそうに引くナミが微笑ましく思うと同時に連れていかれる先に居る人と顔を合わせたくないのに、と少し抵抗したが思ったよりも腕を引く力が強くズンズンと強制的に歩かされる。 「(せっかく忘れる為に飲んでたのにな…)」 周りのクルーも各々が盛り上がっており、こうなってしまったナミを止めてくれる人なんて居るはずもなく。 仕方ない、意識しているのは私だけ。 別に告白して振られた訳じゃないし。 だが、もう諦めて腕を引かれるまま歩くそんな私に思わぬ救世主が訪れた。 「レディの皆さ〜ん!デザートのご用意が出来ましたよ〜!!」 後ろから聞こえた声の主の方を振り返るとホールケーキを手に持ったサンジの姿があった。 「もーサンジくん!私達今お酒しか飲まないの!邪魔しないでちょうだい!」 「酔ったナミさんも可愛いなあ〜!でも俺には名無しちゃんは酒よりデザートの方が食べたそうに見えるんだが…」 「そうなの?名無し!」 「え!?あ…あ、うん!そろそろ甘いもの食べたいなあって思ってたの!!」 「ったく…残念。今度こそ飲み比べしてもらうからね!覚えておきなさいよ〜!」 再び歩き出しゾロの元へ向かうナミの後ろ姿を見つめた後、後ろでケーキを携えるサンジに振り返った。 「サンジ、あの、ありがとう。」 「ん?何がだ?」 「え、助けてくれたんじゃないの?」 「え!?いや、俺はせめて名無しちゃんにだけでもケーキを食ってもらいたくて…だが名無しちゃんのお力になれたなら良かった。」 今の私にとってはただただケーキを持ってニッ、と笑うサンジに感謝の気持ちが溢れる。 「あ、すごい美味しそうだねそのケーキ。食べていい?」 「もちろん、その為に持ってきたんだ。あ、中で食うか?ここじゃ落ち着かねえだろ。」 「うん…そうしようかな。」 サンジの気遣いが今は本当にありがたい。 ダイニングへ向かう彼の後ろをついて歩き、どうぞ、と扉を開けてくれるサンジは本当に紳士だと改めて思った。 ダイニングの中に入ると椅子に座り、テーブルの上で器用にケーキを切り分けてくれるサンジの手元をぼーっと見つめる。 美味しそう、と思う私の頭の中には未だにあの人の顔が浮かんでいて。今頃ナミと楽しそうにお酒を飲んでるんだろうな、とか考えてしまう自分が何て惨めなのだろうか。 「名無しちゃん?大丈夫か?」 「え…あ、うん!ありがとう、いただきます。」 いつの間にか目の前に置かれている切り分けられた美味しそうなケーキをフォークで掬うと口の中へと運ぶ。本当に、美味しい。 「良かったら話してくれねえか?」 「え、?」 「名無しちゃんの元気が無い理由。放っておけねえよ。無理にとは言わねえが。」 誰かに話したら少しは楽になるのだろうか。 でも、サンジは私の好きな人を誰なのか知ったらどんな反応をするのか。サンジには少し言いづらい相手だ。 「ありがとう…さすがだねサンジは。でももう大丈夫。」 「……」 「ケーキもう一個食べても良い?」 「大丈夫そうには見えねえな。少なくとも、俺には。」 「んー…失恋、しちゃったの。それだけ。」 それだけ。サンジに向けての言葉だけれど、自分の気持ちを少しでも軽くする為にそう言った。 立って私を見下ろすサンジは煙草の煙を吐きながら向かいの椅子に腰を降ろした。 「やっぱりそうだったか。」 「…どういうこと?」 「知ってたよ。名無しちゃんの好きな野郎が誰か。」 「え…」 「趣味悪いだなんて言いたく無かった。だが、こんな魅力的な女性を振るなんてやっぱりクソ野郎だな。」 どうして、知ってたの? 私そんなに分かりやすかった? 何でもお見通しのサンジに戸惑ってしまう。 「べ、別に直接振られた訳じゃないんだ…」 「ん…?」 「この間ゾロと話しててね、恋愛には興味無いって。だから、私が勝手に失恋したと思ってるだけなの。」 「あー…そういう事か。でもよ、それで本当に名無しちゃんは、」 「大丈夫だから…!これは、私が諦めれば済む話だから…」 「…そんな簡単に諦められる事じゃ無えだろ?」 分かってる、そんな事。 でもこのまま思い続けてたって意味無いじゃん。そう自分に言い聞かせる私にサンジの言葉が突き刺さる。 サンジがケーキをもう一切れお皿に取り分けてくれるのを一瞥した後、私は立ち上がると彼の傍まで回り込んだ。 「名無しちゃん?」 誰でも良いだなんて最低なのは分かっている。でもこうして今の私に優しくしてくれるサンジにとにかく縋り付きたくなってしまった。 不思議そうに私を見上げるサンジに、私は両手を伸ばした。 「…じゃあ、サンジが忘れさせてよ。」 少し上体を屈めサンジの首に腕を回すと煙草の匂いが鼻を掠め、サラサラの金色の髪の感触を頬に感じる。 少しの静寂の後何も言わないサンジにごめんね、と言いながら身体を離そうとした瞬間、背中に長い腕が回ってきて更に彼との接触が密になる。 「さ、サンジ…?」 「忘れさせる。あんな野郎の事、名無しちゃんとってただの仲間に戻してやる。」 「…っ。」 もしかしてサンジもお酒飲んでる? どうしてそんな事言ってくれるの。 やっぱり女の人には皆にこうして接してるの? 「さ、サンジ、冗談だよ。ありがとう、」 「俺は冗談で言ってねえよ。…何で俺が名無しちゃんの好きな野郎が誰か知ってるのか分かるか?」 「っ、分からないよ。」 「俺が君をずっと見てたからだ。」 サンジが、私を見てたから… お酒のせいなのか頭がちゃんと回ってくれない。サンジの言っている事をよく考えてみても、そりゃあ貴方は女性皆の事良く見てるだろうし…という結果にしか至らない。 「伝わってねえみてえだから分かりやすく言わせてもらうと…俺は君が、名無しちゃんが、好きだ。仲間としてじゃねえ、君があのマリモ野郎に対する気持ちと同じだ。」 確かに分かりやすすぎるが、いきなりの事で何て返したら良いのか分からない。 そんな事を考えているのも束の間、次の瞬間サンジは私の身体を少し離した後腕を私の腰に回し自分に引き寄せるとその膝の上に私を座らせた。そして大きな手を私の後頭部が包み込むと半ば強引に唇を塞がれた。 最初は触れる程度に、1回離された後すぐにまた角度を変えて2つの唇が重なった。そして私の唇から侵入してきたサンジの舌が私の口内を優しく掻き乱す。 「…ん…っ、」 「…可愛い声だな。」 唇が解放されたと思った矢先サンジの唇はどんどん下に降りていき、私の首から鎖骨にかけて舌を這わせていく。 「ん…っ、サンジっ、誰か来ちゃうよ、」 「大丈夫だ、皆寝てやがる。」 「でも…あっ、」 「頼む名無しちゃん、今は俺だけ見ててくれ。」 「サンジっ…」 服の上からサンジの掌が私の胸を包むと揉みしだく。抵抗しなくちゃいけないのに、首元に感じる舌の感触とその優しいのにどこか厭らしい手つきに声が漏れてしまう。 「好きだ…名無しちゃん。」 「…っ、でもサンジ、私は、」 「まだあの野郎の事考えてるのか?」 「ち、ちがう…!」 「俺だけの事しか考えられなくしてやりてえ所だが、ここから先は無理にはしたくねえ。どうしてほしい?」 答えなんて、決まっている。 だって、もう私の頭の中は目の前に居る男のことしか考えられなくなっているのだから。 「止めないで…このままゾロの事忘れさせて…」 「…分かった。」 サンジは膝の上の私をお姫様抱っこし、そのまま立ち上がりソファに降ろすとダイニングの明かりを消した。 そしてまた此方に戻ってくると仰向けになっている私に跨がった瞬間ギシ、というソファが軋む音が部屋に響いた。 窓から注ぎ込む月の灯りだけで十分すぎるほど、それでいて余計にサンジの顔が色っぽく見える。彼の口に咥えられた煙草はいつの間にか無くなっていた。 額に軽くキスを落とされ着ていた服を捲られ、下着の上からまた胸を揉まれると雰囲気も相まって厭らしい気分になるのが自分でも分かる。 胸に纏っている下着を器用に外され胸の頂点がサンジの舌によって刺激される。 「あ、ん…」 「気持ちいいか?」 「う、ん、」 「可愛いすぎだ、名無しちゃん。」 鋭い目付きで私の反応を見ながらいつの間にかスカートの中に侵入してきたサンジの長い指がショーツの中にまで入ってくると、割れ目をなぞる。 「あ…!サンジ…っ、」 「すげえ濡れてやがるな。」 「いや…っん、」 私の僅かな抵抗も無意味だと分かっていてダメだと内心とは反して声を出すが、いよいよサンジの指が私の膣内に入るとソレはゆっくりと動きを増していく。 「あ…っ、あっ、あ…!」 「名無しちゃん、今誰のこと考えてる?」 「そん、なの…サンジに決まってる、じゃん、」 「よし…」 その言葉と同時に私の中からサンジの指が抜かれカチャカチャというベルトを外す音が聞こえた後、代わりにもっと太いものが当てがわれた。 「入れて良いか…?」 「やだ、そんな事聞かないでよ…良い、から…」 返事を聞いた瞬間サンジは腰を私目掛けて押し付け、2人が繋がるとその腰は速さを増した。 「名無しちゃんっ…、好きだ…、っ」 服を着直し、2人並んでソファに寄りかかる。私の頭は隣で煙草をふかす彼の肩に預けて。 「ごめんねサンジ。」 「…それはどういう意味の謝罪だ?」 「何か、私最低じゃん。サンジの気持ちを利用して…」 「そんな事か。」 「そんな事って…!本当に良いの?私なんかで、」 「"私なんか"だなんて、そんな言葉次言ったらお仕置きな?」 サンジの肩に預けている頭を大きな手がやはり優しく撫ぜる。 彼に触れられた場所が全て熱く、ドクン、と脈打つ。こんなにも胸が煩くなるのは、もう私の心が貴方に奪われた証なのだろうか。 さっきまで違う相手に向けていた感情は完全に方向を変えている。 「それに最低なのは俺の方だ。名無しちゃんの傷ついた心に漬け込んだんだからよ…」 「サンジ、」 「ん?」 「…一晩の過ち、とか言わないよね?」 目線だけを上げてそう言うとサンジは一瞬目を丸くし当たり前だろ、と少し恥ずかしそうに微笑んだ。 前へ / 次へ [しおり/もどる] ×
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