SHORT | ナノ



Next me to you



※ぬるいですが性的描写ありです。
閲覧は自己責任でお願い致します。






それはとある夜、ドレッサーの前で髪を梳かす私にベッドの上に横になりながら唐突に問いかけられたナミからの質問から始まった。


「名無し、まだ無理なの?」
「...え、何が?」
「サンジ君との行為。」


ナミが言う"行為"が何か分かるまで少し時間がかかったが、それを理解した私は櫛を落としてしまった。


「な、どうしてそんな事聞くの...っ?いきなり...!」
「いきなりも何も、サンジ君と恋人同士になって結構経つじゃない。知ってる?最近サンジ君明らかに元気無いの。」
「え...で、でも、私の前ではそんな、」
「そりゃアンタに心配かけたくないからでしょ。ルフィでさえこの前サンジ君の事を元気づけてたわよ。理由は知らないでしょうけど。」
「そうだったんだ...」

サンジは私の前では笑顔を絶やさない。それでいて2人きりの時には真剣な眼差しで甘い言葉を囁いてくれる。
それを思い出すだけで私の顔は熱を持ち、心臓の音が耳に響く位早くなる。

前にもこの事で悩んだことがあった。
私だってそこまで無知じゃない。
男と女が恋人同士になれば、いずれそういう事をするのは自然な流れなのだろう。
だけどサンジは優しく、無理して恥ずかしがる私を傷付けたくない、と先に進める事をしなかった。


「ほ、本当にそれが原因なのかな?本人に直接聞いてみた方が...」
「それは野暮でしょ...でも他に心当たりあるの?サンジ君に元気無い理由。」
「う、それは...無いけど...」
「よし!ここは1つ手を打ちましょう!」
「え、何?手を打つって、」
「いい?名無し?アンタにかかってるの。」

その後ナミから告げられた事に私は無理!絶対無理だって!と半ば発狂した後、サンジ君の事本気で好きなら出来るでしょうが!と怒られてしまうのだった。




「明後日、次の島に着くわよ!」
「おー!何島だ!?」
「春島よ。街もあるから買い物出来そうね。」
「うおー!サンジ!ありったけの肉買ってくれよな!」
「へいへい、分かりましたよ船長。」

次の朝、朝食の時にナミが放った言葉にルフィが食いついた。ここの所栄えている島に着く事があまり無く、ほとんど釣ったお魚がメインディッシュになっていたからだろう。
肉を蓄えろと言うルフィに呆れたように返事をするサンジの声に、私は昨晩ナミから告げられた事で頭がいっぱいになった。



──────

「もうすぐ次の島に着くの。そこは栄えてるから、まあホテルの1つや2つはあるわ。」
「ま、待って!もしかして...」
「その、もしかしてよ。アンタ達どうせ食料調達って名目でデートするんでしょ?もうこの際名無しからサンジ君を誘いなさい。これしか無い。以上。」

──────



そしていよいよこの日が来てしまった。
寝れなかった。全然寝れなかった。
どう誘うか、そしてサンジをホテルに招く事が出来てもその後どうすればいいのか、まさかこんな事を考える日が来るとは。

でもサンジはいつも私の事を思ってくれて、私はそれに甘えて...の繰り返しで。
今度は私がサンジの為に動かなきゃ。

ナミがロビンを連れてショッピングに行ってくるから〜、と言いながら絶対成功させろよ、という目をしていたのは私にしか分からなかっただろう。
恥ずかしがり屋はもう卒業だ、と意気込むと私はダイニングへ向かった。




「サンジ...?」

ダイニングの扉を開けるとそこには誰の姿も見えず、絶対に居ると思っていたサンジさえも不在だった。
まさかの1人で街に行ってしまった...?いやいや私に何も告げずにそんな事サンジがする訳無い、と1人で悶々とする。



「お、名無しちゃん?」
「おわっ!!」

ダイニングの奥から姿を現したサンジに女っ気の無い声を上げてしまった。


「サンジ...っ、どこに居たの?」
「食料庫で残りの食材の確認をしてたんだが...そんなに驚かせちまったか?」
「いや、全然、驚いてないよ?」
「...嘘が下手クソだな名無しちゃん。そんな所も可愛いけどよ。」

この人はこういうことをサラッと言うんだから...もう既にサンジに翻弄されている自分にますます自信が無くなってきてしまった。


「街、行くだろ?」
「え、あ、うん...!」
「じゃあ俺の可愛いプリンセス。デートにお誘いしてもよろしいでしょうか?」
「はい...喜んで。」

じゃあ行こうか、とサンジに頭を優しく撫でられると2人でダイニングを後にし、街へ向かった。




街に出ると私はサンジの少し後ろを歩いた。
サンジは人前でに触れられると恥ずかしくなってしまう私を配慮してこういう場所で手を繋いだりする事は無い。
今日は私が積極的にならないと、とサンジの手はポケットに入れられている為長い腕に自らの腕を回そうとした。


「どこか見たい店あるか?」
「え!いやあ、お店は...別に、」
「お店はってことは何かしたい事でもあるのか?」
「え!!!したい事!!?」
「...すげえ反応だな。よし、買い物は名無しちゃんのしたい事の後にするか。」

いきなり声を掛けられてまたまた驚いてしまったが、それにサンジは気づいてる様子は無く少しホッとするのも束の間まさかのサンジを誘うチャンスを貰えたは良いが。


貴方と体を重ねたいです、なんて言える訳ないじゃん...!!

「あの、あのさ、」
「うん?」
「私ね、サンジと、サンジと、」
「名無しちゃん、1回落ち着こう。...今日はやけに様子がおかしいように見えるんだが、何かあったか?」

心配そうに見下ろしてくるサンジに胸が押し潰されそうになる。そして、好きで堪らない気持ちが溢れてくる。


「サンジ、私、サンジと、」
「俺と?」
「サンジと、したいの...!」
「......何をだ?」

何を、と聞かれたら何て返せばいいのか。
ストレートにセックスです、なんて言ったらどんな反応をされるか。
言葉を探しながらえーと、唸っているとサンジが私の肩に手を乗せた。


「まあ、その...だいたい名無しちゃんの言いたいことは何となく分かる気がするが...何回言わせるつもりだ?無理にそんな事しなくたって俺が名無しちゃんを嫌うことなんて死んでも無え。絶対にだ。」
「...サンジは、したくない?」
「............え!!??そ、そりゃしたくねえって言ったら嘘になるけどよ...!いつも頭ん中で名無しちゃんとあんな事やこんな事してるの妄想して...っ、何言ってやがる俺は!」

こんなに慌てふためくサンジを見るのは初めてかもしれない。いつも私がサンジに顔を赤くさせられているから。何だか立場が逆になったみたいで少し可笑しくなった。


「私は...したいよ。サンジと、もっと、」

最後まで言い終える前に、私の手をサンジが握りしめるとそのまま歩き出した彼に引かれる。



「すまねえな名無しちゃん。そこまで言われちまったら、さすがにもう無理そうだ。」

表情は見えないものの声のトーンが低くなった事に、そしてサンジがどこへ向かっているのか予想出来る事に私の心臓は速さを増す一方だった。



目的の場所に着くとサンジはちょっと待っててな、とフロントの窓口で手続きのようなものをして鍵を手にして戻ってくると再び私の手を取り鍵に記された番号の部屋へと向かった。



部屋の扉を開けてくれるサンジを一瞥するとこれまでに無い位真剣な表情をしていて慌てて中へ入るとガチャ、と扉が閉じる音と共に後ろからサンジの長い腕が伸びてきて抱きしめられた。

「...サンジ、」
「やっと、本当に2人きりになれた。」
「っ、」

サンジの吐息が耳にかかるのを感じるとフワリ、と体が浮きお姫様抱っこされたのだと気づいた。部屋の中央に置かれた大きなベッドの上に優しく私を仰向けに下ろすとそのままサンジに組み敷しかれる。

恥ずかしすぎて顔を背けようとするも、それは大きな手によって阻まれサンジの唇が私の唇を塞いだ。
いつの間にかサンジの口元にあった煙草は姿を無くしており、それでもその味が私の口の中にも伝わる。

ここまでは今まで幾度となく仲間も居る船内で2人になれる機会を探ってはしてきた行為。今回はその先に進む為にわざわざこうして、ナミの提案により場所を設けたのだ。

いつか、この時が来るのは分かっていた。
分かっていたけれど私の心臓は時限爆弾が仕掛けられたかのように、今にも爆発してしまいそうだった。


何度も角度を変えるサンジの唇が離れたと思うと、彼は上半身を起こし羽織っていたジャケットを無造作に脱ぎ去り、首元に巻かれたネクタイを取り払った。

その仕草に見惚れてしまい、見つめているとサンジと目が合ってしまった。
慌てて目線を逸らすと再びサンジが私の顔の脇に手をついて、今度は首元に唇を這わせた。


「ん、っ、サンジ...あ、あのさ、」
「ん...?」
「シャ、シャワーとか、浴びるものじゃないの?こういう時って...」
「...このままで良い。名無しちゃんの匂いが薄まっちまう。」
「へ、変態、」
「今回誘ったのは名無しちゃんじゃなかったか?」
「そ、そうだけど...」

サンジの頭は段々下に下がっていき、私の胸に到達するとその大きな手で優しく包んだ。
服の上からとはいえその手つきに私の中の何かがもっと、もっと、と言っているようだった。


「俺が脱がしても構わねえか?」
「え...あ、うん...」

私のブラウスのボタンが一つ一つ丁寧に外されると、腕を引かれ上半身を起こされサンジに手伝われながら袖から腕を抜く。
下着だけで隠された胸を再びサンジの手が包むと先程よりも少し強く覆われ、その手は動きを増し揉みしだかれる。


「...っん、」

その感触を感じると共にもう片方の手で顎を掬われるとまた2つの唇が重なる。
深く交わったそれが離れると名残惜しそうにサンジはもう一度私に軽い口付けをした。

ブラジャーのホックが外されるのを感じると私は慌てて落ちないように両手で胸元を覆った。


「ちょ、あの、サンジ、恥ずかしい...から、」
「どうして欲しい?」
「電気消して、欲しいです。」
「...仕方ねえ、少しだけな?」

サンジが枕元の電気のスイッチを操作すると段々暗くなる室内は先程よりも厭らしい雰囲気に変わった。
私の手をそっと退けると顕になった胸が何度もサンジの手に優しく揉まれる。


「ん、はっ...あ、」
「クソ堪んねえなその声...」

サンジの手がついに私のスカートを捲りあげるとショーツの上を往復する。


「私だけ...サンジも...脱いで...っ、」

私の言葉に辛うじて見えるサンジの顔は少し驚いた表情をした後ニヤリ、としてワイシャツを脱ぎだした。


「そんなセリフ、どこで覚えたんだ?」
「ちがっ、私だけ脱いでるから...っ」

サンジがワイシャツを脱ぐといつもスーツに纏われほっそり見える上半身は思ったよりも筋肉が付いておりそれにまた見惚れそうになってしまう。

そんな事を考えているとサンジは私の胸に頭を持ってくるとそれを口に含んだ。


「あ...っ、!」

吸われ、舐められると下半身をくねらせてしまいそれを制止するようにサンジの手が今度は私のショーツの中に侵入してきた。

「サン、ジ...っ、」
「これだけ濡らさられたら手加減出来なくなっちまいそうだ...」

厭らしい音を立てて動くサンジの指が私の中にゆっくり入ってくる。大丈夫か?と聞きながら、それでも動きを止めないサンジにコクコク、と首を縦に揺らして返事する。


「すまねえ名無しちゃん、」
「いいよ、」
「え、」
「入れるんだよね...?私も早く、サンジと繋がりたい...」

サンジは歯止めが効かなくなったように私の両膝裏に手をくぐらせると自身のものを当てがうとそのままゆっくり私の中に挿入させた。






「初めてって、あんなに痛いんだね...」
「本当にすまねえ...クソ...俺とした事が...!」
「サンジのせいじゃないよ。初めては痛いって知ってたから。」
「だが俺が傷つけたことには変わりねえ!」

サンジに腕枕をされながらいわゆるピロートーク的な事をしているが、正直な感想で何だかサンジに負い目を感じさせてしまった事に後悔した。
腕枕をしていない片方の手で顔を覆いながら嘆くサンジに私は必死に言葉を探した。


「でもさ...!私は、サンジとこうして最後まで出来た事の喜びの方がずっと大きいよ?だから、」
「名無しちゃん...俺は幸せすぎて怖え...!」

何言ってんの、と苦笑いしていると不意に額にチュ、とリップ音を立ててキスをされた。


「愛してる。」
「...もう、恥ずかしい。」
「あークソ可愛い...名無しちゃん。」



その日以来、サンジはルフィも驚くほど元気になったとナミから聞かされるのはもう少し後の話。





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