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I want to scream that your lover is me



このお話はMEDIUMにございます、幼なじみの女の子のその後のお話です。

※この作品を読むにあたって
・現パロ、学パロ、年齢操作ありです
・ヒロインに対するサンジの言葉使いが荒いです

※ 名前変更にて友達の名前を設定してからお読みください。






「さあさあさあ、詳しく話してもらおうじゃないの〜!?」
「あ、おはようお友達。」
「あ、おはようじゃない!はぐらかすんじゃないの!」

サンジのお見舞いに行き、予想外の事の成り行きに私でさえまだ自分の置かれた立場を信じられないでいるというのに。翌日教室へ入るや否やクラスメイトで1番の仲良しであるお友達は私の姿を見つけると物凄いスピードで迫ってきた。

お友達は私がエース先輩に呼び出された所までは知っており、その後必ず報告しろと念を押してきたので昨晩私は言葉通り報告したのだが。


「先輩に呼び出された理由は結局何だったの?告白されたんじゃないの?」
「お友達…ちょっと場所変えよっか。」

何でよ!と喚くお友達の手を掴むと私は人気のない階段の踊り場へ早足で歩き出した。




「エース先輩に告白された。でも断った。その後サンジのお見舞いに行った。付き合う事になった。報告は以上です。」
「ちょ、ちょっと待って!情報量多すぎ!脳が追いつかない!てか何気に大事な部分飛ばしてない!?」
「私もまだ夢見てるみたいなんだよ…」
「何急にお姫様みたいな事言ってんのよ。」

確かに、こんな平凡な女子高生が実際に言葉にする事ではない。それでもずっと片想いしていて、その気持ちを押し殺していた私にとってサンジと彼氏彼女になれた事はまるで夢を見ているかのような気分としか言いようが無い。


「それじゃあお姫様、サンジ君と付き合うまでに至った経緯を聞かせて頂けます?」
「え…と、何か、」
「何か?」
「私の気持ち、バレてたっぽい。」

そう言いながら改めてお友達へと視線を向けるとニヤリと口角を上げながらホレ言わんこっちゃない、とでも言いたげな表情。ジト目で見返すと同時に朝のホームルームが始まる事を知らせるチャイムが響く。
もっと詳しい事は後でじっくり聞くわ、と言うと今度はお友達が私の手を取り教室へと急いだ。




午前の授業中も私はフワフワとした感覚に陥り黒板に書かれた文字をノートにつらつらと写すので精一杯だった。


"俺はお名前にどうしようもないくらい惚れちまってんだ...覚えとけよ"

サンジの昨日の言葉が頭の中で何度もリピートされては胸の奥がキュ、となる。
小さい頃はあんなに恥ずかしがり屋だったはずの幼なじみが、あんなセリフを口にするようになったとは。歳を重ねるにつれて女性への意識も人一倍、いやそれ以上に強くなり誰それ構わず女性なら褒め称える世間から見たらいわゆる"女好き"になっていた。それに加えて身長もどんどん伸びて女の私でも羨むスタイルの良さから彼を気に留める女子が増えた。

だからこそ近くに居るのに遠くて、私自身も彼から離れようとしていた。その距離を私達は一気に縮めたのだ。サンジに気がある女子は彼に彼女が出来たらどう思うだろうか。




「気にしなくて良くない?」

昼休み、私はいつもの様にお友達とお昼ご飯を向かい合って食べ始めた。そこで根掘り葉掘り聞かれる前に私は授業中考えていた事を彼女に相談してみた。しかし、見事にその事はあっけらかんと一言で跳ね飛ばされた。


「だってさ、サンジ君って実際今まで彼女作ってないじゃん。それって本命がお名前だったからでしょ。逆に皆納得するんじゃない?」
「そうかな…でもほら私ってサンジに告白の伝言とかラブレター届ける依頼とか受けてたし。」
「それでもサンジ君が好きなのはお名前、あんたなのよ。というか彼女なの。もっと胸を張りなさい。これからはそんな依頼受けれないってね。」
「…うん。あ、」

ラブレターを届ける、という言葉で私は大事な事を思い出した。まさに昨日その依頼を受けたばかりだった。サンジは今日も学校を休んでいてその返事をしていない。もしサンジと私が付き合ったという事が広まれば、あの女の子の耳にもすぐ届いてしまうだろう。
それはまずい、と考え込む私にどうかした?と尋ねるお友達に何でもないよ、と誤魔化すしか無かった。





「よお、いらっしゃい。」
「…お邪魔します。」

私は今日も同じマンションに住んでいるサンジの家へお見舞いと称して足を運んだ。昨日の事もあり心臓がずっと煩くて仕方ない。
そんな私とは違いすっかり体調が回復したのか涼しげな表情のサンジ。


「どうした、座れよ。」
「え、あ、うん。ありがとう。」
「…お前、」
「な、何、」
「緊張してんのか?」

は!?と大声を出してしまい咄嗟に口元を抑えるとニヤリと口角を上げるサンジの表情。
なんかムカつく、と視線を落としながら思ってしまった。

「まあ仕方無え、お前男に免疫無いしな。」
「緊張してるなんて言ってないでしょ…」
「はあ、お前な…」

なに、と再び視線を上げると間近にあるサンジの顔に思考が一瞬停止する。そんな私の頭に大きな手をポン、と優しく乗せると耳元でこう囁いた。

「まーた前髪弄ってんぞ。」
「うる、さいな…」
「素直じゃねえな。」

昨日指摘されたばかりの私の癖をまたも囁くサンジのやけに色っぽい声が全身に響いて鼓動のスピードが更に加速する。そんな私を他所にサンジは頭に乗せていた手を今度は頬へ、顎へと下ろし掬い上げると私の顔を自分の方へ誘導する。
こんな手つき、どこで覚えたの。
本当に今まで彼女作ったこと無いのか、と疑いたくなる。
それでも私は恥ずかしさから瞼をそっと閉じるしか術が無く、サンジの唇の感触を感じかなら彼のシャツをぎゅっ、と握りしめた。




「あー、あのラブレターな。勿論ちゃんと返事するに決まってるだろ。」
「…サンジっていつも何て言って断ってるの?」
「んー、そうだな、俺には1人のレディだけを愛するという事が出来ねえんだ、許して欲しい…って。」
「殴っていい?」

昨日私にあんな事言っておいて良くそんな台詞口に出来るなコイツ。ギロり、と睨むと相変わらずの余裕そうな表情でお盆にカップを2つ乗せるとソファに座る私の隣に腰を下ろしたと同時に紅茶の良い香りが鼻を掠める。
サンジが淹れる紅茶は他のものと違いが良く分からない私でさえ思わず声に出してしまう程美味しい。
静かにテーブルに置いてくれる彼にありがとう、とお礼を言うと膝に肘をつきながら此方を見つめてくるサンジ。


「な、何?何か付いてる?」
「何でだ?」
「は、何が?」
「何でお前がそんな事気にしてんだ?」

"そんな事"とは恐らくラブレターの件についてだろう。何で、と言われたら何と返したら良いのか分からない。
渡してくれと頼まれたから?一応彼女という立場だから?

何て返事するのか、気になるから?

「そんな心配しなくてもキチンと断るから、」

安心しろ、と私の頬に手を添えると優しい力で自分の方へ顔を向けさせるとあっという間に私の唇を掻っ攫う。咄嗟に閉じた瞼をゆっくり開けながら別に心配なんてしてない、と言い放つと本当に素直じゃねえな、と笑うサンジに下唇を噛み締め、こんなにもコイツに惹かれているんだと改めて思い知らされた。




やはり今は周りに気づかれたくないという私の意見に分かった、とすんなり了承してくれた。今まで通り登校も下校も別々で学校にいる時も極力接しない。
翌日、密かに憧れていた彼氏が出来た時の学園生活は暫く送れない事に項垂れながら1人学校への道のりを歩いた。




「お名前、おはよう!」
「おはよー、お友達。」
「お?何か元気無いね。サンジ君今日から来てるんでしょ?一緒にラブラブしながら来たんでしょ?」
「いや、それが…」

教室に入り数名のクラスメイトに挨拶しながら自分の席に着くと耳に入ったお友達の声に顔を上げると勘の良いというか察しの良いというか、さすがとしか言いようが無いお友達の言葉にまた肩を落とす。
昨日サンジと話し合った結果、というか私の要望で暫くの間は恋人らしい事は学校ではしない旨を伝えると表情が曇っていくお友達。


「馬っ鹿だねえ、あんた。」
「そう言われると思ったよ…」
「何をそんなに不安になる訳?サンジ君の事好きな女子に苛められる〜、とか?」
「いや、そうじゃなくて…でも確かにそれも有り得るな。」
「そんなの無視無視!私も居るんだよ?何よりサンジ君が居るんだから。」

分かっている、こんな私には頼れる人が沢山居るという事。だからこそ、もし苛められたとしてもその時の不安は拭われる。私の心に引っかかっているのは1つだけだった。


「ありがとう、お友達。私が気になるのは、サンジの事を好きな子のこと。」
「お名前…」
「もし私が一昨日ラブレターを渡して来た子だったらって考えたら…想像出来ない位、辛いと思う。」

私だってサンジに片想いしていた女の1人だ。諦めていたとは言えやっぱり頭に浮かぶのは彼だけで。全てを独り占め出来たらどんなに幸せか。でもそんなの叶わない事を考えただけで胸が苦しくて。今の私は例え1日の少しの時間だけしか彼の隣に居れないとしても、罰が当たるんじゃないかと言う程幸せ過ぎるほどで。


「サンジ君はさ、そういうお名前だから好きになったんだろうね。私も大好き。」
「お友達、」
「そんなに言うなら私はこれ以上口出し出来ない。何よりアンタとサンジ君が決めた事だしね。」

ありがとう、と私には勿体なさすぎる友達を持った事に泣きそうになり唇を噛み締めているとお名前、と私の腕を揺するお友達。

「サンジ君じゃないの?あれ。」




「どうしたの?」
「いや、その、何だ。」
「…?」
「やっぱり今日一緒に帰らねえか?」

え、と思わず声を漏らす。少し照れたように後頭部を掻きながら私を見下ろすサンジ。
本当に恋人同士になったんだ、と実感すると同時に先程考えていたあの子の顔がフラッシュバックする。

「家、行くからさ。」
「どっかで待ち合わせして、とかでもダメか?」
「さ、サンジ、今日図書室行かないの?ロビン先輩居るよ?」
「おい話し逸らすんじゃ、」

キーンコーンカーンコーンと鳴るチャイムにサンジの言葉の続きを聞くこと無く私は精一杯の笑顔で早く教室戻りなよ、と言い残し自分の教室の中へ戻った。
ごめんサンジ、と心の中で呟きながら。




下駄箱の中からローファーを出しながら溜息を吐いた。授業中も朝のサンジの顔が離れず、はやり何処かで待ち合わせして帰れば、いやでも…と悶々として居たら、すっかり放課後になってしまっていた。
学校が終わり部活に励む声や帰れる喜びではしゃぐ声の中に埋もれるように靴を履き替え校舎を出た。


「(サンジ、あの子に返事したかな…)」

一昨日本人ではなく代理の私の前でも緊張からか手が震えていた女の子。お節介な事を言ってしまったが彼女にとってはアレで精一杯だったのだろう。きっと返事を待っている間、気が気じゃないんだろうな。もしかしたら、と期待で胸を膨らませているかもしれない。
そうした彼に思いを寄せている女の子達に向けて、この陸上部やサッカー部が部活動しているこの大きなグラウンドの中心で叫びたい。
サンジのハートを射止めたのは私だ!と。

アホか、と自分で自分に突っ込みを入れながら校門へ向かう途中体育館の裏に2つの人影が目に入る。なんてベタなんだろう、と思うと同時にその2人が誰なのかすぐに分かった。サンジと、返事を待っているあの女の子だ。しかし女の子は俯きながらどこかへ駆けて行ってしまい、罰の悪そうなサンジだけが残った。
ちゃんと断ってくれたんだ、という安堵と振られてしまった女の子への罪悪感で胸が締め付けられる。嬉しいのに、悲しい。


気付かれる前に帰ろうと顔を上げると紛れも無く此方へ歩いてくる金髪。しまった、と足を踏み出そうとした瞬間腕を掴まれた。



「盗み見とは良い根性してんなあ、お名前ちゃん?」
「ち、違う…!たまたま!本当にたまたまなの!!」
「…帰るぞ。」


そのまま私の手を掴むと歩き出すサンジ。周りの生徒達の視線が此方へ向いている気がして俯く。サンジ、と名前を呼んでも振り向かずに校門を通り人気が少なくなった所で漸く立ち止まって貰えた。




「サンジ、あの、」
「お前の、」
「え?」
「お前の彼氏は誰だ?」
「な、に…急に、」
「誰だって聞いてるんだよ。」

私を見下ろすサンジの目に射抜かれて、まるで催眠術に掛けられたかのように身体が動かない。サンジ、でしょ、と震えた声で言うとはあ、と溜息をつかれる。


「何でもっとハッキリ言えねえんだよ。」
「…言ったじゃん。」
「言えてねえよ。」

どうすりゃいいのよ、と心の中で呟くと不意に頬に宛てがわれる手。あ、キスされる、と思ったのも束の間、私の唇に自身の唇を重ねるサンジ。サラサラと金色の髪が揺れるのを最後に瞼を閉じると感じる違和感。


「…っ!?さ、ん、…んぁ、」

触れるだけのキスかと構えていたのに、いきなり侵入してきたサンジの舌が私の口内をゆっくりかき乱す。サンジのシャツを強く握り締めたまま解放された唇に手を宛てこんな所で、と口にするのが必死だった。


「…お前の彼氏は俺だ。そして俺の彼女は、お前だ、お名前。」
「っ、分かってる、よ、」
「だったらもっと堂々と歩け。あと、これからはお前が何と言おうと一緒に帰るからな。」
「えっ、」

そう言い放ち再び私の手を掴むと今度は所謂恋人繋ぎという形で引かれる手に早まる鼓動を聞こえないフリをして、命令しないでよ、と可愛げの無い声で呟いた。
どうしても上がってしまう口角を隣を歩く彼にバレないように隠しながら。





「しかしあの子結構可愛かったなあ。」
「…ねえ本当に殴っていい?」
「そんなニヤけた顔で言われてもな。」
「はっ!しまった!」


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志高様へ
大変大変大変、お待たせ致しました…!!!
リクエスト内容、幼なじみの女の子の続きで我慢をやめたあとのサンジということですが普通に続編を書いてしまいました…すみません…!!
ヒロインに対しての言葉遣いがやはり難しく何故か友達との会話の方が多い気がしますね、本当に申し訳ないです泣
大変お待たせしましたが、読んで頂けたら幸いです。
満足頂ける物になっているかは分かりませんが、このお話を志高様に捧げます!
改めましてこの度はリクエストありがとうございました!!


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