PAST CLAP | ナノ



5th





今朝から心の中のモヤモヤ
したものが止まらねえ。

あんな事で嫉妬するなんて
器が小さいと言われるかもしれないが、
俺にとっちゃ結構ショックな事であって。


「サンジ、まだ怒ってるの?」
「...いや、怒ってねえよ?」

頑張って作り笑いをしながら
愛しの彼女に返事をするが、
どうやら誤魔化せて無いらしい。

「ごめんってサンジ。
これからはちゃんと気をつけるから。」
「怒ってねえから、謝らないでくれ。」

いや、本当はまだ全然
モヤモヤが止まらねえ。
その原因ってのは朝食の時に起こった事。

彼女が自分のコップだと勘違いして
隣に座るマリモ野郎のコップに
口付けてしまった事。

俺はその一瞬を見逃さなかった。
わざとじゃないと分かっているが、
彼女によるとその時の俺の表情は
怒りに満ち溢れていたらしい。

食後に謝られ俺が怒ってないと返す、
その繰り返しをして今に至る。

「どうしたら許してくれる?」
「...じゃあ、そうだな。
俺以外の男と話さない、
俺以外の男を見ない、
俺以外の男の事を考えない。」
「え...それは、無理じゃない?」
「...分かってる。嘘だ。
本当に怒ってねえから安心してくれ。」

内心じゃ半分本気で言ったつもりだったが、
流石に自分でも見苦しいと思った。
そんな俺を他所にニヤニヤしている彼女。

「...どうしたんだ?」
「いや何か、愛されてるなあって。
嬉しくなっちゃった。
1つ言っておくけど、
私が誰かの事を起きてから寝る前まで
考えたりするの、
サンジ以外居ないから。」

そう言う彼女を今すぐ抱き締めたい
衝動に駆られるのを我慢して
煙草の煙をふかしながら思った。

やっぱりちょっくらあのマリモ野郎を
一蹴りしてくるか。





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