PAST CLAP | ナノ



3rd





「サンジの手って綺麗だよね。」

思ったことを率直に言った途端、
彼は自分の手の平へ視線を向けた。

「そうか?」
「うん。」

褒められると照れるなあ、と
ニヤけるサンジに
せっかくのイケメンが勿体ないなあ
と心の中で呟いた。

「私すぐ荒れちゃうんだ。」

私もサンジ同様に自分の手を
まじまじと見つめる。
荒れても何もケアしない自分の
だらしなさが露わになっている様で
恥ずかしくなる。

引っ込めようとした刹那、
綺麗で大きなサンジの手が
私の手を優しく掴んだ。

「可愛い手だな。」
「...いいよ、そんな無理に褒めなくて。」
「事実を言った迄だ。」

先程のニヤけ顔は何処へ
行ってしまったのか。
私の手へ視線を向けるサンジに
ドキドキする。

私の手をサンジの手が包み、
時折撫でるように触る感覚に
心臓の音は速さを増す。

「さ、サンジ、」
「ん?」
「手、はなして...」

私の言葉を聞いたサンジは
少し考えたあと

「嫌だって言ったらどうする?」

といたずらに笑う彼に
勘弁してください...と小さく返した。






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