PAST CLAP | ナノ



2nd





私が欲しがった
愛しの彼から貰ったネクタイ。
今日は久しぶりのデートなので
お気に入りのワイシャツに
合わせようと着けてみたが、
今まで結んだことの無いそれは
変な形の結び目が出来てしまった。



「サンジー...」
「ん?用意出来たか?
俺の可愛いプリンセス。」
「ネクタイが上手く結べない...」

俺があげたやつか、と
ダイニングのテーブルから
立ち上がる彼の首元にはお揃いのネクタイ。
いつも綺麗に結ばれたそれは、
彼の魅力を増している。

「やってくれる?」
「もちろんだ。」

サンジは私の真正面に立つと
首元からだらしなくぶら下がった
ネクタイを長い指ですくい上げ、
器用に結んでいく。

器用に結ぶその仕草に何だか色気を感じる。
彼の顔を見上げると、
煙草を咥えながら私の首元に向けられた
目線に思わずドキ、としてしまう。

「よし、出来たぜ。」
「あ...ありがとう!」

お揃いだね、と言う私の両肩に
黙って手を置く彼を見上げる。

「...どうしたの?」
「......クソ可愛いなって、思ってよ。」

低いトーンの彼の声が
私の心臓を早くさせる。
こんな状況になると思わなくて、
恥ずかしくなってしまった。

「...ありがとう。サンジは、格好良いよ...」

その言葉と共に目の前の彼に抱きつき、
そのの匂いを胸いっぱいに吸い込む。

「今日、ずっとこのままで居てえな...」
「だめ!デートするの!」
「はいはい、分かりました。」

じゃあ行こうかプリンセス、と
手を引くサンジに私も同じ事を
思ってしまったというのは、
秘密にしておこう。






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