「俺への菓子またはご馳走を用意してねぇなら何されても文句はねぇな?」
悪魔だ…!
すんごく楽しそうにニヤニヤ笑ってるし!
人の部屋のソファーに偉そうに寝転がってネクタイ外す姿が卑猥だ。
でも帝、甘いよ。
習慣になってるのは帝だけじゃないんだよね。
「はいはい、どーぞ」
「チッ、用意してたか」
チョコやキャンディが山ほど入ったジャックランタンの形をした入れ物を差し出すと帝から舌打ちが返ってきた。
この悔しがり方を見て用意してて良かったって心底思った。
よっぽど凄い悪戯を考えていたに違いない!
悔しそうにしてもちゃっかり入れ物を抱えてお菓子を食べてる。
帝が好きなブランデーが入ったチョコを用意したからか段々機嫌直ってきたっぽい。
こういう子供っぽいとこを可愛いって思うようになったのはやっぱ帝を好きだからかな?
「くそー…予定じゃ悪戯にこれ着せる筈だったのによ」
「それってハロウィンの衣装?別に着ても良いよ」
「……そうか」
しまった。
何か嫌な笑い方してる。
どんな服か確認してから頷けば良かった!慌てて訂正しようとしたけど時既に遅しで帝が手に持ってた袋を押し付けて部屋に押し込まれちゃった。
あの張り切り方は尋常じゃないよ。
これで着ずに出ていったら何されるか…覚悟を決めるしかない!
「……帝ぉ」
袋から衣装を取り出して眩暈がした。
この際魔女の衣装とかは気にしないよ。女装ぐらいハロウィンに浮かれてしても良い。
でもこれは…黒のワンピースは胸元がざっくり開いててフリフリのスカートは丈が短い。
そして網タイツって…これはいかがわしいよっ!
桜慈なら着こなすんだろうなぁ…駄目駄目!
嫁入り前の可愛い妹にこんないかがわしい格好させられないっ!
ああでも見たい!魔女の格好をした桜慈も天使に違いない!
「おい、まだかよ」
「ま、待ってよ!」
ドアを壊す勢いでノックしてこないで!壊れたら困る!
仕方ない、着替えよう。
もし似合わないって笑ったら鼻にチョコ押し込んでやるっ。
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