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ハロウィンになると毎年俺の元に悪魔が来てた。
いや悪魔なんて可愛いもんじゃないか。
悪魔よりもあいつの方がよっぽどタチ悪い。
今年からは寮生活だし来ないよねと思ってたけど甘かった。


部屋にインターホンの音が響く。
誰かが来るにはこの時間は遅すぎる。
陵は今晩帰らないって言ってたし…明日学校だし帰ってきたのかな?
そんな事を考えてる間にも小刻みにリズムを作って何回もインターホンが鳴り響く。
このインターホンの押し方…まさか!

「……帝?」

「Trick or Treat.」

予想通り帝だったけど何で帝が寮にいるの?
というか何でうちの制服着てるんだろ。
そういえば帝ってこの学校の卒業生だっけ?
似合うけど同じ制服を着てるって違和感が…

「取り敢えず中に入んぞ」

「あ、うん」

貴重な帝の制服姿を眺めてたら手を掴まれて部屋の中に入ってリビングに着くなり父さんと母さんの前の時みたいに愛想が良い笑顔で振り返った。

「Trick or Treat.」

発音良くまたその言葉を紡がれる。
帝は子供の頃から毎年ハロウィンになると必ず俺の所に来る。
そして俺が貰ったお菓子を全部持っていった。
子供ながらに理不尽だって思ったなぁ。
俺がお菓子を取られるといつも桜慈がお菓子を半分くれてたっけ。桜慈もお菓子大好きなのに…本当に天使だよっ!
それに比べて、帝はこの年にもなって俺にお菓子をたかりにくるとは。
年下だし一応その…恋人なのに。
習慣になっちゃってるね。








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